ヒモ理論による新たな宇宙
召喚儀式は終わった。
室矢重遠が気づかないうちに……。
そして、咲良マルグリットの姿もない。
5巻目で、ベル女編がどうどうの完結!
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人気のある飲食店が集まり、展望台も兼ねているため、高層ビルの設備は一流だ。
そもそも、目立つランドマークという他に、若者から高齢者まで集まるサロン、話して自慢できるブランドの意味合いが強い。
とはいえ、テレビなどのマスコミが結論ありきで宣伝しつつ、有名人に裏で金を積んで知名度を上げるのが一般的。
(良ければ売れるってのは、幻想だよな……)
知らないものは買わないし、行きようがない。
他の人間にも言いにくい。
すると、インターホンの音。
立ち上がって玄関へ行き、相手を確認した後で開錠。
バタンという開閉音に、若い女が入ってきた。
「ごめん! もう大丈夫だから……」
肩で息をしつつ戻ってきた時翼月乃と共に、宿泊する部屋でまったりする。
2人で角の二面が窓になっているほうを向いたソファーに座り、そちらを見ていたが……。
「ボク、薄情かな?」
「その話をすれば、今日が潰れると思う。明後日まで、お前の予定を外しておけ」
驚いた月乃は言い返そうとするも、すぐに口を閉じた。
俺から視線を外し、色々な角度を見る。
「う、うん……。分かった! 重遠と一緒にいられるのは、今回ぐらいだし。言う通りにするよ」
ちょっと待ってて、と言いながら、スマホをいじり出す。
けれど、メッセージアプリらしき着信音のあとで、息を吐いた。
「これで良し、と……。お待たせ! 友人に、大学のことを任せたから」
「そうか……。じゃあ、落ち着いている間に、今後の予定をザッと説明するぞ?」
このホテルの宿泊費などは、全て俺が持つ。
余計な手間を省きたい。
どういう形であれ、いったん感情的になれば、翌日まで落ち着かないだろう?
だから、先に食事とドリンクの買い出しも済ませておく。
「とりあえず、吐き出せるものは全て出したほうがいい! でも、それを始めると他に何もできない。俺だけ外で買ってくるのは、嫌だろ? ルームサービスも、アレはアレで気を使って面倒だし」
「ああ、うん……。泣き腫らしたり、感情的になったりした状態で、部屋の外に出たくないよ。かといって、お腹がグーグー鳴る状態で話し合いもねえ……。たださ? 君、すっごく慣れていない!?」
ジト目になった月乃に、しみじみと答える。
「こんな事ばかりしているような気がする。もう慣れたが」
「そこは嘘でも、『君が初めてだよ?』とか言うべきじゃない!?」
「俺が言っても、説得力がない」
その返答で、月乃は俺の家族構成に気づいたようだ。
「あ、うん……」
何とも言えない表情。
その月乃に提案する。
「明日どうするのかは、明日に決めよう! とりあえず、明日も泊まるようにフロントへ行って――」
2人で外出して、フロントで延泊の手続きと支払い。
これで、チェックアウトの時間を気にせずに済む。
永 俊熙たちの見送りで、今はもう夕方だ。
――ステーキハウス
予約なしだったが、飛び込みでテーブル席へ。
高級ホテルのテナントだけあって、クラシックな内装。
ブラウンが主体で、グリル形式のステーキも味わえる。
高層ビルらしい絶景があるものの、俺たちの部屋で見られる。
広い空間で他の客の話し声や、美味しそうな匂いが漂う中で、話し合う。
「ステーキハウスは、もっとワイルドだと思ってた」
「海外のUSスタイルなら、そうだろうけどな?」
「お待たせしました! こちら、国産牛の――」
上品なホール係が嫌味にならない説明をしつつ、俺たちの料理を手際よく置いた。
そのままテレビや映画に出られそうな、外国人のイケメンだ。
カジュアルだが、気品あるスーツ。
「ごゆっくり、お楽しみくださいませ」
定型のセリフを聞きながら、サービス料は一定の割合で追加だったか? と思う。
彼が立ち去った後に、食事を始める。
オシャレな大皿の中心で、上品な盛り付け。
「美味しい! でも、お皿や分量は創作料理みたいだね?」
「場所的に、アッパークラス向けだからな」
足りなければ、他の店で持ち帰りのスイーツなりを買えばいい。
ともあれ、和気藹々と食事が終わり、俺はカードで支払った。
敵に襲われても優雅に撃退しそうなイケメンは、俺のカードを受け皿で丁寧に戻しつつ、店外まで見送る。
「またのお越しをお待ちしております」
気配だけで、深々とお辞儀をしていることが分かった。
やっぱり、ステーキという雰囲気ではないな?
ちなみに、俺は正妻の南乃詩央里の許可で他の女と泊まり、財閥の悠月明夜音のカードで支払い、月乃の親友である咲良マルグリットが超空間ごしに見守っている。
暇をしている室矢家の女たちも、全員……。
(どこのテレビ番組だ?)
最年少で中等部に上がった二条菫も、ちょこんと正座をしたままで見ている。
しかし、この超空間のネットワークに規制はなく、全て無修正だ。
菫もいずれ初夜となるため、予習している。
(どうせ、あいつらで好き勝手にダメ出しだろう)
女同士の会話を聞いても、ロクなことがない。
ともあれ、俺は高次元のヒモとなり、宇宙を再現できるまでに至った。
過去作は、こちらです!
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