こういう時は男が悪いにされる
明らかになった、召喚儀式の実行犯。
今日、ベル女で召喚された存在によって世界が終わる。
4巻目は、ついにバトルへ!
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永 飛龍は、話を続ける。
「日本から短期留学でウチに来たのが、お前の母親だ! 当時は……高校生になるかどうかのはず」
ジト目の時翼月乃が、こちらに顔を向けないままの永 俊熙を見た。
その間にも、飛龍の説明が続く。
「板村迦具夜は、ウチの本拠地で門派の1つである水平波状拳で印可を授けられた。分かりやすく言うと、俺と親父が修行している開門搏撃拳が父親で、その子供のようなものだ。それらをまとめて、門派と呼んでいる」
つまり、枝分かれした流派の数だけ宗家がいて、序列もあると……。
興味を持った月乃が、飛龍を見た。
「さっきの重遠のように戦うの?」
「水平波状拳のことだな? ああ、そうだ! 見ての通り、カウンター狙いのため、女の弟子が多い流派と言える。来たばかりの板村はその流派を選び、形ばかりの下積みから体験コースへ進んだ」
聞けば、外国人や観光客のために、楽しみながら修行できる、お遊びがあるらしい。
「昔とは違うからな……。俗な言い方をすれば、『お金と知名度がなければ』という話だ! それなりに払ってもらい、現地の料理や滞在する家も提供する」
「へー! でも、奥義に属する技は教えないんだろ?」
俺のツッコミに、飛龍は頷いた。
「ああ……。板村は筋が良く、本格的に修行する運びになったようだ」
言葉を切った後で、付け足す。
「本来は、部外者にそこまで教えん! 例外にしたのは、叔母上と仲が良かったからだ……。ちょうど同年代で、同じ水平波状拳を学んでいたから、気が合ったのだろう」
国籍と立場が違うものの、宗家の血筋となれば、対等に付き合える同性はいなかったらしい。
姉妹のように一緒だった2人は、迦具夜の妊娠と帰国により、今生の別れとなった。
「叔母上は、親友を失ったことを嘆いた。今でも原因となった兄を恨み、合同稽古のたびに痛めつけている」
そういえば、釣りのネトゲで俊熙が、妹と仲が悪いと言っていたな……。
本人が、反論する。
「俺も後悔しているんだぜ!? だけど――」
「板村が死んだことは、自分で叔母上に言え! 俺は知らん」
息子に突き放されたことで、低く呻き出した俊熙。
今の水平波状拳の宗家はその叔母上であることも、判明。
ヤベーよ。
真実を伝えたら、殺人事件が起きてしまう。
そう思っていたら、飛龍がこちらを向いた。
「ちなみに、室矢は水平波状拳の免状がいるか?」
「どういう意味だ?」
「もし必要なら、その叔母上と会え」
すぐに否定する。
「いや、面倒になりそうだから遠慮するよ」
「それが賢明だ! あとで言われても困るのでな? 今、確認した」
話を戻すべく、声をかける。
「それは分かったが……」
「俺の母親と婚約を解消した親父は、時翼がお腹にいる板村を正妻にするべく、根回しを始めた。業腹だが、ここまではいい」
腕を組んだ飛龍は、目を閉じる。
「板村に逃げられた親父は、俺の母親を婚約者に戻した」
…………
えっと?
「そんな大事なことを、切れた電球を交換するみたいに言われても」
「やはり、おかしいよな!?」
すごい勢いで、飛龍が同意を求めてきた。
その時に、俊熙が口を挟む。
「宗家の妻になれて子供を産める女は、数えるほどで……」
飛龍は、それを無視する。
「そういうわけで、俺は板村迦具夜に言いたいことが山ほどあった! 今となっては墓を暴くわけにもいかんし、室矢が代わりにケジメをつけたがな? 時翼は、自分の母親がいきなり帰国した理由を知らんのか?」
月乃は、首を横に振った。
「自分の母親だと知ったのも、大きくなってからで……。写真が少しあるぐらい」
「そうか……。悪かったな?」
全員で話しているうちに、月乃の細かいことを気にしない性格は父親似と思えた。
飛龍が、話を締めくくる。
「宗家の直系を孕んだ板村が暗殺されずに帰国できたのは、亡くなった老師が庇ったことに加え、叔母上の親友であったことも大きい! 子供ごと始末すれば、女たちも動揺する」
俊熙が手を出したのが、悪い。
そう言ってしまえば、終わり。
言い方から察するに、迦具夜は俊熙に許嫁がいたことを知らなかったようだ。
ただでさえ、国際結婚は難しい。
それに、宗家の利権やらメンツが加われば……。
現地に留まり、寿命の問題がなくても、2人は幸せに過ごしましたの一言では済まなかったと思う。
俺のようにハーレムでどんどん女が増えていくのと、どちらがマシかは、何とも言えない。
正妻の南乃詩央里は、高校時代とは違い、リラックス中。
式神である猫又のルーナの前足に両手をかけて、縦にビローンとしつつ、長ーい! と喜んでいる。
その時のルーナは、達観した顔のまま、ニャッ! とお愛想の鳴き声。
けれど、室矢家の女はまだ増える気配。
大学は自由で、サークルや付き合いがなければ、よっぽど大丈夫だが……。
過去作は、こちらです!
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