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カールホルス父娘の瞑想会1

 

 夕食を早めに終わらせると、守生は椅子を輪になるように並べてもらってから【場の設定】を行なった。これは瞑想会……【MAX瞑想システム】のための特別な準備だ。様々な光の存在の召喚や、形而上学的なシステムに則って守生自身のエネルギーを調え、高めていく。

 複雑な手順だがやり方はすでにノートにまとめてある。守生が無事に終えると、守生はいつものメンバーを呼んで、椅子に座らせた。

 

 うさぎ頭のウーナウヌトがおずおずと前に出る。

 

「あの、シュー様。私たちも参加してよろしいのでしょうか……?」

「うん、人数が多い方がいいからね。王様のために僕が参加をお願いしてるわけだし、お金のことも気にしないで」

 

(と言いつつ、ウーナさんたちにもぜひ瞑想してほしいんだよねぇ)

 

 ウーナウヌトは元大臣パトリックハピからひどい折檻を受けていた。体の傷はポーションで治っても、心の傷はなかなか癒えないものだ。年単位で気長に付き合うしかない。だからこそこの【MAX瞑想システム】は、その手助けになるだろう。

 親を殺されたレネーレネネトやアリーアヌビスにもそれは言えることだった。

 

「アリーくんは無理して座ってなくていいからね。眠たくなったら寝ちゃってもいいし。退屈だったらアベルに言って、外に連れ出してもらってもいいし」

「はーい、シューさま!」

「わかりましたっ、シューさんっ!」

 

 今回アベルアヌビスは護衛のため、瞑想には参加しない。侍女頭ヘレナヘケトは散々渋り、最終的には国王の許可があれば参加すると折れた。

 また、この場にドムトートはいない。本日の夕食後に賢者トリスタントートの指導の元、回復の水薬を作る予定が入っていたのだ。国王の近衛騎士もいるので、ドムトートは泣く泣く、王城の地下にある調合室へ出かけて行った。

 

「あの、でも、国王陛下がいらっしゃるんですよね? 私たちが同席するのは、失礼なことなのでは……」

「王様だけじゃなくエリス姫も来るから、ウーナさんやレネーさんがいた方がリラックスできると思うんだよね」

「……そう、なのでしょうか……?」

 

 ウーナウヌトとレネーレネネトが不安そうに顔を見合わせる。その間の椅子に座るアリーアヌビスだけは、ぶらぶらと足を揺らして遊んでいる。

 

 守生とアベルアヌビス以外が緊張に包まれ待っていると、国王カールホルスが娘のエリスイシスと共にやって来た。はやぶさの頭と羽を持つ三十代の男と、有翼の十歳の美少女だ。

 守生と護衛中のアベルアヌビス以外が一斉に跪く。

 カールホルスはまた守生と【シャンバラ・アクティベーション】を交換すると、くちばしを開いた。

 

「まさかとは思いますが、奴隷たちも参加させるつもりじゃありませんよね?」

「彼女たちはもう奴隷ではありませんよ?」

 

 守生はしれっと答える。カールホルスの眉間に皺が寄った。

 

「元、奴隷でしょう!? 大体、貴人でもない者と同席するなんて」

「貴人? 羽持ちということですか?」

「ぐっ」


 妻が羽持ちでないことを即位時から非難されているカールホルスが、言葉に詰まる。もちろん守生は確信犯だ。

 

「彼女たちは僕の家族です。妹、あるいは従兄妹です。そう思って接していただければ、うれしいですね」


 守生の言葉に、王女エリスイシスが一歩前に出た。そして跪くウーナウヌトとレネーレネネトの前で両膝を突き、目線を合わせる。

 

「エリスイシス王女殿下!?」

 

 ヘレナヘケト以下、女性陣が声を上げた。

 

「カールホルスの娘、エリスイシスと申します。チドーでもご一緒させていただきましたわね。本日は共にメイソウできること、嬉しく思います。改めて、お名前をお聞かせいただけますか?」

「あの、あの……」

「レネーレネネトです、王女殿下。こっちはウーナウヌト。恥ずかしがり屋なんです」

 

 長いうさぎの耳を忙しなく動かし動揺するウーナウヌトを、コブラ頭のレネーレネネトがフォローする。だがその背中にびっしょりと汗をかいていた。

 

「そうなのですね。レネー、ウーナとお呼びしてもよろしいかしら?」

「あの、あの……」

「光栄です、エリスイシス王女殿下」

 

 レネーレネネトが頭を下げ、ウーナウヌトがそれに追随する。

 それを見て、垂れた犬耳がかわいいアリーアヌビスが立ち上がって言った。

 

「あのねぇ! ぼくアリーだよ! 王女殿下も、アリーって呼んでいーよ!」

「ちょっ、アリー! 黙って!」

 

 義姉のレネーレネネトが止めるが、エリスイシスがそれを手で制す。

 

「ありがとう、アリー。アリーもメイソウに参加いたしますの?」

「うんっ! でもねーえ、眠たくなったら寝てもいーし、動きたくなったらお部屋の外に出てもいーって! アベルおねえちゃんがいるから、お外もアンゼンだしね!」

「そうなのですね。わたくし、じっとするのは得意なのですけれど、皆さまと一緒にちゃんとメイソウできるのか心配で……」

「シューさまが、ムリしなくていーって言ってたよ! しんどくなったらねーえ、ぼくとねんねしよー?」

「ふふふ、そういたしましょう」

 

 ちびっこたちの会話にカールホルスはこめかみを指でタップし、ヘレナヘケトとレネーレネネトは顔を青ざめさせる。

 ウーナウヌトはすでに気絶して大理石の床にへたりこんでいる。

 

「ウーナさん!? しっかりして!」

「あ、シュー様……あの、恐ろしい夢を見ました……アリーちゃんが、アリーちゃんが……」

「夢じゃないけど、大丈夫だから! ヘレナさん、ドムのお水をお願いします!」

「は、はいっ!」


 動揺したままのヘレナヘケトから守生は水差しの水を受け取るとカップに注ぎ、ウーナウヌトに飲ませる。

 ついでに全員に水を飲ませるようにヘレナヘケトに指示する。元々、瞑想会の前に水を少し飲んでもらうつもりで準備していたのだ。

 

 

本日夜22時頃にも投稿します。

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