真夏のホラーその二
夜も明けて参りました……。
こんな時には爽やかな朝に相応しい怪談話を一つ……。
あれはそう……私が高校一年生の秋頃の事でした。
間違えました。
高校一年生の冬ごろの事でした。
授業が終わり、下校中。
その日は、もう何があったのかはよく思い出せないのですが、普段より帰るのが遅くなり辺りは真っ暗でした。
私は自転車で一人、急いで帰ろうと……。
田舎故に街灯も極めて少なく、人通りも皆無。
その日だけは、何故だかいつもと違う。
何かが。
そこはまさしく魔的とも言うべき、異様な、瘴気の立ち込める異空間でした。
私は恐怖に駆られ、狂ったようにペダルを漕ぎます。
こぎっ……
こぎっ……
その時です。
何か声が遠くから聞こえてきます。
なんだ。
声がする。
周りに人の気配は無い。
なんなんだ。
声がだんだん大きくなってくる。
よく聞くと、人の声というよりも、何か、別の何かのもののように感じる……。
何より恐ろしい事に、私はその声にとても親しみを覚えていたのです。
まるで自分の一部であるかのように。
はぁ……
はぁ……
漕いでも漕いでも……。
声が近づいてくる。
自分を呼ぶかのように。
声が。
声が。
声。
ひぃっ。
ひ。
もう逃れる事は出来ない。
夕闇の中、はっきりと姿を現したそれは。
猫でした。
猫カワイイ!




