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僕の推しが僕推しだった件  作者: 神崎あやめ
推しから恋人

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Ex(3日目) 4

 柚子さんに問われた僕達は、2人して考え込む。別に、質問が難しかったわけじゃなくて、推しという存在から好きな人になるまでの心の移り変わりを思い出として頭の中に思い浮かべていた。

 そんな中、先に声を上げたのは三月の方だった。


 「私のきっかけは、推しとしての一瀬太陽くんと、クラスメイトの鳳太陽くん、2つの姿を見るようになったことが1番です。推しとファンだった距離にいたはるくんが同じクラス、隣の席で一緒に過ごす存在だった。そんな身近な存在としてはるくんの事をより深く知ることができるようになったから、私の心の中に恋愛感情としての好きが芽生えたんだと思います」


 「まるでどこかの物語の世界みたいなお話ですね。トップ声優とトップアイドルが同じクラスの隣同士だなんて」


 「これを、運命だなんてありきたりな言葉でまとめたくはないですけど、それ以外の言葉が思い付かないくらいには、この繋がりは運命的で必然的だったんだと思います」


 僕が答えようと思っていた事を先に三月が全部話してくれたので、正直僕は何を話そうか悩んでしまったけれど、三月が僕を見てニコニコしている姿を見ると自然と頭を撫でてしまう僕がいた。


 「あらあら、お2人はとても仲睦まじいようでなんだか私もほっこりとした気持ちになります。ねぇ、天君」


 「そうだな。俺も太陽の新たな一面を垣間見ることができて嬉しい気持ちだよ」


 まぁ、だからといって僕だけが質問から逃げられるはずもなく、天と柚子さんだけじゃなくて三月の視線まで集めてしまったので、僕の話をすることにした。


 「僕も大まかには三月と同じです。でも、三月の事を好きになったのは白鳥月としての声を聞いた時からずっとなので、そこはちょっと違うかもしれません」


 「そうなのですか?」


 「アイドルも声優もどちらも好きで、兄の影響で声優を目指すことも考えていたものの、自分にはそこまでの力は無いと最初は妥協のような形でこの世界(アイドル)に入りました。もちろん、やるべきことはやったしありがたいことにみんなから応援もしてもらえました。それでも僕は僕自身に対して満足することもできず、2つの夢の間で揺れていたんですよね」


 「はるくん……」


 「そんな中で兄が声優を引退して事務所を立ち上げた。そこからデビューしたのが三月です。正直な話をすると最初は懐疑的な目から入った。兄の目は信用してましたけどね?でも、三月の演技を聞いてそんな浅はかな考えは崩れたんです。絶対に三月に会いたいと、いつか隣に立ちたいと思ったんです。その時からですね。憧れと共に恋に落ちたのは」


 長々と語ってしまったけれど、3人とも静かに僕の話を聞いてくれた。

 今の僕があるのは、三月のおかげ。三月がいなければこんなに活動することはなかったと思う。


 「お2人とも、とても強い心の結びつきで繋がっているのですね。私達も見習わなければ、ね?天君」


 「そうだな」


 そんな会話を柚子さんと天がしてる。

 この後も、昨日の告白の話とかも聞かれたんだけど、そこは長くなるからここでは割愛して……


 「それじゃ、僕達はそろそろ出るね!」


 「そうだな。2人とも、また東京で会おう」


 「三月さんも、また色々とお話しましょうね」


 「はい!ぜひ」


 お昼前に、僕達は天の別荘を後にするのだった。

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