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戦慄のアウディート  作者: 亥BAR
第八章 それぞれの戦い
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それぞれの戦い(7)

 ***


 龍巳は秋角と共に刑事を名乗る百々宮と将平に倉里市のカフェまで連れていかれた。


 確かに麻布田高校はかなり倉里市に近い場所に位置している。だが、倉里市、警察本部がある場所。そして目の前にはあの百々宮加奈子。龍巳には不安しかよぎっていなかった。


『ドラゴンアウディーターの正体がばれたのか?』

『まさか』


 ドラゴンはそう返してくるが、じゃあなぜ、警察は今目の前にいるのだ。

警察が学校に来ていた時から嫌は予感がしていたが、こうもピンポイントで来るとは。何かしら、情報を掴んで龍巳の存在に近づき始めているのだろうか。


 心臓がバクバク体中に鳴り響きプレッシャーに押しつぶされそうな中、最初に提示されたのは……龍巳の……出席表? いや、ほんの一部だけ乗った遅刻記録。なんで?


「これは……? 俺の……」

「ええ、まあ、本来これをご本人に見せるのはダメですが、話の持って行きやすさから、これを出させていただきました。そしてこの部分」


 そう言って指されたのは、記録表のプリントに掛かれた一つの遅刻理由。それを見てピンと来た。なるほどね、確かに警察が話を聞きたくなるわけだ。


「なんだこれ? 遅刻理由が化物に会ったから? タツ、お前そんな理由で提出したのか」

「まあ、ありのままの事実を書いただけだからな。ニュースでもやっていたぐらい、本当の事だし、普段遅刻なんてしないから先生も認めてくれたよ」

「はーん、それでもよくこんな理由書こうと思ったな。これって一番初めの時だよな」

「ああ、確かそうだった」


 少し安堵し、心の中で一つ呼吸を置く。ま、正体がばれていると言う事ではなさそうだ。


「なるほど、と言う事は本当に化物に遭遇したと言う事ですね?」

「ええ。あの初めて銀行に赤い化物が現れた時です」


 百々宮に合わせ、セリフを頭の中で整理していく。あながち間違った事は言っていないのだ。勿論、この百々宮相手に適当な事を言っては何を突き詰められるか分かったのもではないが、まさか目の前の学生が赤い化物の正体などとは思っていまい。


「では、是非化物の話を聞かせてください。その場の状況なども詳しく」


 百々宮はそう言うと隣の将平はメモを取る準備を始める。


 しかし、何故こんな事を聞くのだろうか。この刑事たちも同じ現場にいたのは対峙した自分が何より知っている。その場の状況などは誰よりもこの二人が知っているはずだ。


 つまりこれは、一般市民から見た状況を聞いているだけ。ならば、矛盾だけは絶対起こさないように野次馬視点から話せばいい。


「そうですね。登校中でした。他の人たちが銀行の方に集まりだして、強盗が現れたって話、それで駆けつけたんですよ。で、そしたら、あの確か……立神魁でしたっけ、今現在、逃亡犯の人ですよね。あの人が人質を取っている所を見かけました。

 それを見ていたら上からあの例の化物が降り立ったんですよ。すると化物は人質を救出して立神を無力化すると警察が拳銃を突きつけても気にせず飛び去って行きました」


 一応、ありのままの事実を簡潔に述べたつもりだ。矛盾点はないはず。刑事からおごって貰った飲み物を一つ口に含み、刑事たちを見ると何か話し合っていた。思わず、何かおかしい事を言ったかと思って秋角を見るとこれまた妙に驚いている。


「アッキー? 俺、なんか変なこと言ったか?」

「人質を救出したとか立神を無力化したとか言うのは初めて聞いたことだったから」


「え?」


「ネット上じゃ、そんな事一言も話題にないからな。流石だ、現場にいた奴は違うよ」


 ……もしかして、これでも口走りすぎたのか? ネット音痴のアダが来たか。


「いや、本当にその通りですよ。これは貴重な意見、いままでいくつかの方に事件の事を聞きましたが、ここまで化物の行動を詳細に答えてくださったのは初めてです」


 百々宮はそう笑顔で言ってきた。横にいる将平も必死にメモを取っている。別に変な方向に疑われている訳では無いと思っていいのだろうか。

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