市民の探偵(4)
理戸市、倉庫……が元あった場所。
周りは警察に囲まれ、野次馬がうようよと群がっている。この先に何があると言うのだ?
「うわ~、人がいっぱい。見れないのか?」
後ろから声が聞こえ反射的に振り向く。
「君らも来たのか!?」
龍巳と秋角がこの人ごみに圧倒されながらも真の後ろを付いてきていた。
「二人とも、危険ですから。もう帰宅してください」
「いやぁ、鈴さんに言われましてもね~」
「何? わたしが同級生みたいだとでも言いたいわけですか?」
後ろで鈴と学生らが言い争っているが、それに参加する気はない。鈴を呼び出すと人ごみの中を「すみませんね」と言いながら、掻き分け入り込んでいく。相当人が集まっている所を見るとこれは想像以上にとんでもないことになっているのかもしれないな。
そんな思いをはせながら、最前列にまで入り込むとその現場が視界に入る。黄色いテープが張られ進入禁止。辺りも警官が警備しているが、その様子はよく分かった、その無残さが。想像以上だ。と言うよりは、これを想像しろと言う方が無理に違いない。
すでに倉庫だった面影すら残っていない。まるで、大爆発でも怒ったように辺りに倉庫の残骸が散らばっている。その中を二人の男女刑事が色々探っている。今彼らがやっている作業は女性刑事が男性刑事の髪の毛を引っ張っているようにしか見えないが……。
ただ、仕事柄上、こういった倉庫も何度か訪れたりはした。あんまり人が寄らない場所だった。確かにここなら化物が暴れまわっても不思議では無いと思う。
しかし、これはなんだ。爆弾か? にしては色々矛盾がある。倉庫はそれなりの大きさがあった。これを跡形なく吹き飛ばすにはそれ相応の爆薬が必要になる。
だが、ここの倉庫以外、周りには一切の被害がないピンポイントで倉庫だけ爆破できるほど威力を調整できるとは思えない。いやまず、倉庫をこうまであとかたなく吹き飛ばすにはどうしても周りにまで被害が及んで仕方がない。だとすれば爆弾ではないのか?
「う~ん、ネット情報によるとどうやら化物が三体現れたらしいな」
「何!? 三体もだと……なるほど、もしかすれば争っていた可能性も……争いによって倉庫だけがバラバラになった……って、ガキども!? ここまで来やがったのか!?」
思わず返事をしてしまったが、その声の主は秋角。いつの間にか、龍巳と秋角も最前列まで来ていたのだ。何て学生だ……よくこんな人ごみの中に突っ込んでまで恐ろしい事件現場を見ようとする……いやむしろ、学生は恐怖よりは好奇心が強いのだろうか。
「三体!? 二体じゃないのか?」
急に龍巳が秋角に質問を投げかけた。すると鈴もその学生の会話に反応し、真の隣を離れ学生たちに近づいて行った。
「そうですよ。あの赤い化物とライオンの化物だけじゃないんですか?」
「え?」
「ん? 龍巳君、わたし、違うこと言いました?」
「え……、あ! いやあ、ああ、そう。その二体だけだろ?」
何か鈴、龍巳、秋角がその化物について何か話し合っているが、真はあんまり詳しくないのでその話には付いて行けず。しかし、鈴、いつの間にそんな事を知っていたのだろう。
「うん……どうやら、ここにその赤い奴は現れなかったらしい。ライオンはいるけど、それ以外の二体はまた別物。一体は黒い奴でもう一体は何かよく分からない化物らしいね」
「何なんだよ……、そいつ」
「って事は、もしかして既に化物は四体いるって事になるんでしょうか?」
「でしょうね。赤い奴、ライオン、そして黒い奴にこのよく分からんこいつで」
秋角がスマホで画像を出し、それを龍巳と鈴に見せている。その画像を遠目で真も見た。
なるほど確かに化物だ。ライオンのようなヤギのような、ピンボケもひどい物だが。若い子らはネットで何でも情報を手に入れてくる。鈴もそうなのだろう。そうやって簡単に情報を入手できるのもこうやって好奇心を上げる引き金になっていることには違いない。




