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戦慄のアウディート  作者: 亥BAR
第三章 警察の驚愕
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警察の驚愕(3)

 それから、しばらく捜査は続いたが一向に成果が上がる事は無かった。一応、岩手のコスプレと、路地裏の事も事件の一環として視野に入れ捜査してみた物の、結局は同じ。また、新たな化物出現情報も無い。悶々とした日々が続いていた。


 だけれども、そんな事などすべて吹き飛ばすかのような事件が起きる。あの、前回レッドが現れた銀行に再び化物が現れたと報告が入ったのだ。それを聞き、すぐさま飛んできた将平、百々宮は機動隊と混ざりながら現場に到着した時だった。

 目の前に光景に驚愕した。


「な、なんだよ、アイツ!?」


 思わずそう口にしてしまうその光景。非常ベルが鳴り響き一般人を一定の距離話すように警備が張られている。機動隊が周りを囲み、厳重に現場は作られていたが、そんな事は最早、驚く要素などに無い。本当の驚愕はその先にいる化物。


 レッドでは無い。かといってあの黒い奴でもない。一言で言い表せば、人型のライオンだった。体全体が毛深く覆われていて、銀色に光る爪が目立つ。そして何より、顔がレッドのように人間に近い容姿では無く、完全なライオン。獣の顔。


 ライオンの化物は機動隊が向ける銃口に何一つ怯えることなく、大きな咆哮を上げ始めた。途端に耳を塞ぐ。それは百々宮も同じで耳を塞いだのだが、そこは流石百々宮と言った所か、すぐさま拳銃を引き、警戒。機動隊の前に出ようとした。が、それよりも先に機動隊の前に姿を現したのは、もう一体の化物、赤い怪物、レッドだった。


 前回と同じように何の前触れもなく空から勢いよく着陸。風が舞い上がり一瞬の暴風となって体に突き刺さる。それに危険視したのか百々宮は機動隊長に数歩下がらせるように指示。突如の出来事から一つ落ち着きが戻ると将平はやっと目を化物に移すことが出来た。


 その光景は、信じがたい物だった。明らかに人間では無い得体のしれない化物が今、目の前で睨み合っているのだ。レッドは肩を上下に動かし息をしている。確かに生きてはいるが、それを地球上の生物と認めたくはなかった。恐ろしい、おぞましい化物。


 これから一体どうなるのか、想像もできない。どうするべきなのか、それを思考するために百々宮の方を見たが、百々宮はただ化物に視線を向けているのみだった。だが、その百々宮の眼は決して恐れている者ではないと悟れた。観察する用に見据えるその目。


「将平、あのライオン。レッドが現れてから少し様子が変だと思わないか?」

「え?」 


 思わずライオンの方を見た時。ライオンの口から人間の言葉が放たれた。


「やっと見つけたぞ! 借りは変えさせてもらう!!」


「「「何?」」」


 そう疑問の言葉を漏らしたのは、将平、百々宮、そして赤い化物、レッドだった。


 次の瞬間、ライオンは大きく跳躍したかと思うとレッドに向かって銀色に輝く爪を振りかざしていた。その後に響いたのは甲高い擦過音。レッドはそれを受け止めていた。赤い爪で。……、いや、違う。火で出来た爪だ。


 さらに続いて、衝撃音。ライオンがレッドに向かって蹴りを放っていた。レッドは弾き飛ばされ、機動隊の方に吹き飛ばされていくが、間一髪で翼を広げ空中に逃げるように飛行。また、とてつもない暴風が将平らに襲う。


「全員下がれ! 今すぐ、下がれ!」


 機動隊の隊長が必死に指示。機動隊、さらに将平たちも反射するように一気に化物との距離を取る。するとレッドはそれを確認したかのように後ろを振り向くとゆっくり地面へと降り立った。


「お前、何者だ?」


 ライオンに向かって告げるレッド。どうやら、レッドもまた、ライオンの事は知らないらしい。一体、この現場で何が起こっているのか、理解できる範囲などとうに越している。


「ふん、お前が知る必要はない。今すぐ、ここで引導を渡してくれる」


 ライオンが再びレッドに向かって飛びかかった。再び強烈な擦過音が鳴り響き、火花が散る。正直、そのスピードは計り知れない物だった。目で追うことこそ可能だが、それはとてもじゃないが人間が動けるスピードでは無い。衝撃が何度も響き渡るその元は、目にもとまらぬ速さで動く四つの爪、銀二つと赤二つ。さらには蹴りも混ざりながらの攻防が繰り広げられていた。


 そこに刑事や機動隊が入り込む隙間などあるわけがない。


 そんな攻防が繰り広げられる最中、遂に決定打が入り込んだ。ライオンの爪が深々とレッドの右肩にかかったのだ。一気にすべての攻防が止まり、一瞬静けさが訪れる。最初、レッドも何が起こったのか分からなかったのだろう。自分の肩を見つめた後、短き苦痛の叫び声を上げると同時にやられていない左手で爪を振り出すが、ライオンは素早く後ろの跳躍。レッドの攻撃は掠りもしない。レッドの右肩からは赤い血が滴り始めていた。


 化物も赤い血なのか。そんな関心に浸りかけるが、そんな瞬間もまるで許さないとでもいうようにレッドが動いた。左手をライオンの方に向かって突き出したのだ。

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