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戦慄のアウディート  作者: 亥BAR
第三章 警察の驚愕
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警察の驚愕(1)

 倉里くらさと警察本部。倉里市の他、立月市、麻布田市、理戸りと市などを管轄に置く警察署である。倉里市は今日もいつも通り街独特の騒がしさに包まれていた。


 だが、倉里警察の一刑事である一本のアホ毛が特徴の丹山将平にやましょうへいは、そんな騒がしい街から離れ、むしろやたらと静かな麻布田高校の近くにある路地裏に足を運ばせていた。先輩である百々宮加奈子とどみやかなこの後に付き添って。


「百々宮先輩。なんでこんなところに来るんですか? 化物事件とは何のかかわりもないでしょう? この事件は俺たちとは別の管轄ですよ」


 後ろの黒髪ロングを揺らしている百々宮はため息をつくとくるりと振り返る。


「そんな事は分かっている。ただ、気になる事があったのよ。いいから付いて来なさい」


 腕を組む百々宮の手に乗っかる大きな胸がより際立ち、さらに百々宮の眼から放たれる鋭い視線は容赦なく新人である将平の胆を縮めさせてくる。それは最早「はい」以外の返事は受け付けないも同然だった。

 スーツをビシッと着こなすまさに恰好いい女性と言える百々宮と違い、冴えない将平。よく、スーツを着ていると言うよりはスーツに着られていると言われる始末。


「将平! だらだら歩かない。アホ毛抜くぞ」

「やめてください! 俺の唯一のトレードマークを!?」


 けど、そんな風に脅されても刑事として一流と言える百々宮の背中を尊敬しながら付いて行くことが出来ている。


「この路地裏、近所から何か普通じゃ無い物音がしたって報告があったやつですよね?」

「ん? ああ、そうだ。と言っても、うちではちょっとした騒ぎがあったんだろう程度で何一つ問題視されてないやつだけれどね。でも……」


 百々宮は双途中で言葉を止めると急に足を止めた。靴でちょんちょんとアスファルトを叩くのでのぞき込むとその意味を理解する。


「もしかして、靴擦れ起こしました?」

「………………アホ毛抜こうか?  いいからアスファルトを見ろ」

「ああ、そっちですか」

「なぜ、この状況でそっち以外を取れる?」

「って、あ、……焦げ……跡? に、ひび割れ……」


「……聞いてないしな。うん、ああ、そうだ。報告書にちょこっと目通したのよ。焦げた痕跡と大きなヒビが入った場所があったって。尤も、ひび割れはよくあること。焦げ跡もタイヤのスリップだとか花火の跡、程度で終了しているけど……、将平ならどう思う?」


 急な質問に一瞬戸惑った。焦げ跡、スリップ後なら特に問題は無いだろうが、後のつき方がどうも、そうじゃない。何か火種がここに付いたなら、厳重注意を呼びかけるだろうが……。とその時火種と言う言葉に活性化した。凛とした顔を保つ百々宮に顔を向ける。


「まさか、こんなところでバーベキューしやがったのか? どこのどいつだ、そんな不良野郎は? ちきしょう! 俺も混ぜろよ。最近、肉すらまともに食えてないんだぞ!」

「うん、お前の私情はどうでもいい。だまってもやしでも食ってろ。で、まあ、勿論その線もあるが、今わたしたちが追っている事件と関連付けてみるって選択肢はないのか?」


「え? …………、あ、レッド!?」


 百々宮はそれに対し、無言で頷く。それの意味を受け取り、焦げ跡をもう一度見つめた。


 レッド。先日、銀行に現れたあの赤い化物のことだ。こちらではレッドと呼ぶようにしている。突如現れたレッドは人質に銀行強盗、立神魁を襲い、空に逃亡。ネットでも既に化物のうわさは広がりつつある。そのレッドの素性を調査することが課せられた任務。


「でも、なぜ、レッドだと? 別にヒビや焦げ跡、火と関係ありますかね?」

「奴は完全に未知の生物だ。どんな力があるか分かった物じゃない。少しでも近づくにはありとあらゆる可能性を片っ端から当たっていく必要があるのよ。違う?」


 百々宮がそう言い切るとこちらに有無も言わせず、辺りの写真を撮り、いろいろ見て回るとスタスタと本部へ向かって歩み始める。


「ぼさっとしない! アホ毛抜くぞ」


「分かりましたよ。行きますから!」

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