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着いたところは異世界でした.  作者: 千野恵
第二章 魔法使いスシロー
16/18

16.天界にて(1)

 女神との謁見はすぐにできるとの事だった。

 ファンが女神に取り次いでもらうと、あっさりと女神の前に行けるという。

 長い廊下を通る時、ファンの言う「お姉さまたち」に会った。

 なんというかファンのような羽根つきの妖精でなく、しっとりとした大人の女性といった感じだった。

 妖精の髪と目の色は、自分の属性の花の色をしているというので、花の色と同じくらいの種類があるので、色とりどりで綺麗だった。

 ちなみに、ファンの属する花はピンク色だったから、髪も目もピンクだった。


 「あたしのおねえさまは、おなじなかまのおはななの。だから、かみのいろもめのいろもおそろいなんだよ。」


 そう言って、同じ属性の姉妖精や違う属性の妖精に紹介された。


 「まあ。オウラの光を隠しているけど、綺麗でまばゆいわよ。少年は力が強いのね。」


 「ほんと。外見には黒い色があるのに、内からのオウラの光はとても美しいわね。」


 「ノヴァさまに似てとても綺麗。」


 「あら、まだ誰もお手つきしてないのね。五年間で綺麗なままなんて、どうやったのかしら。」


 「体は小さいけれど、筋肉の付きはいいみたいよ。」


 「私あの子が欲しいわ。」


 「だめよ。ここでは手が出せないわよ。下界に行かなくちゃ。」


 「下界には行きたくないわね。あんまり綺麗じゃないもの。」


 何だか色々と喋っているが、聞き捨てならない事も言ってるなあ。

 姉妖精と言えばおしとやかなイメージを持っていたが、人間界の女の子みたいに、かしましく元の世界のOLみたくおしゃべり好きなようだった。


 俺はこれでも二十八歳になったんだが。

 小さいだとか少年はないだろって思ってたら、彼女たちは羽の妖精から姉妖精になるまで百年たたないとなれないことを思い出して、そりゃ俺でも少年に見えるかと納得した。

 

 女神は俺が異世界に着いて一番初めに目が覚めた神殿に、手を広げて下を見ていたあの甲冑の女性で、何と言うか神々しいんだけれど、勇ましいと言う感じもあった。

 神代の時代、異次元から侵略者が押し寄せて来た時に、光の神ノヴァと闇の神スキアーが手を携えてともに戦い、侵略者達を撃退したというのだが、その戦に臨んだ時のノヴァの姿が甲冑だったという。

 それを、人間は垣間見る事が出来たので、その姿をあがめることになって今に至るという。


 特に照明を当ててるわけでもないのに、体から光があふれているというか、目を向けるのも眩しくて目をすがめてしまったが、そんなことをしても眩しさは変わらなかった。

 ファンに聞くと、オウラの光が溢れているからだという。


 そういえば、ファンが俺を初めて見たときには、同じようにオウラの光で眩しかったと言っていた。

 あの時は、オウラも俺がどれだけあるのかも分らなかったな。

今なら、自分でもオウラを見る事が出来るから、人がどれだけの量があるか分かる。

 俺は自分のオウラ量を見てみたが・・・。

 はっきり言って測定不良と言うか、どんだけあるのか不明だ。

 はっきり言おう。

 底が知れないんだなこれが。

 ファンが言った眩しいくらいのオウラ、というのはホントに間違いがなかったと俺は思ったものだ。

 あまりオウラが強く見えると、精霊だけでなく魔物も寄ってくるというので、当初はイカルスが俺に遮蔽しゃへいをかけてくれたが、今では自分でも出来ているので問題はない。


 こう言っちゃなんだが、女神の眩しさは俺のオウラの光とあまり変わりがないくらいかもしれない。

 それだけじゃない。眩しさもそうだが、オウラの光の色が似通っているのだ。

 オウラの光は一人一人違うし、似通ってるというのは同じ属性を持つと言う事でもある。

 俺と似たようなオウラの光は今まで見たことがない。

 女神と同じような光も見たことがない。


 ちらりと横のイカルスを見ると、素知そしらぬ顔をしている。


 それを見て、やはり何かあると思った。


 大体、俺がここに来るための理由が弱かった。

 何かあるだろうとは思ったので、取りあえず大人しくついてはきたが。


 俺はイカルスに視線をやっていたが、一向にこちらを見ようとはしなかった。


 そうして俺がイカルスをガン見していると、早速女神にこの天界に来た旨を上申していた。


 『 ・・・知ってはいましたが、そこまで闇の力のバランスが強くなっているとは、思いませんでした。近頃は、私もあまり下界と接触しないので分らないことが多いのですよ。さっそく闇の神と話をしましょう。』


 「ありがたきお言葉ありがとうございます。よろしくお願いします。」


 さて、気になることはあるが要件も無事に終わった、と俺がホッとしていると、イカルスが女神に突然とんでもないことを言い出した。


 「さて、ノヴァさま、少しこの件ではなく、お聞きしたい事があるのですがよろしいでしょうか。」


 『 構いませんよ。その男性の事ですね。』


 「ご慧眼痛み入ります。この者は異世界からの漂流者ですが、これが持つ力についてノヴァ様に是非お尋ねしたいのです。」


 おいおい。本人無視していきなりなんだよ。

 俺の力について聞きたいって、女神さまに聞くことなのか?

 女神もイカルスが何を聞きたがっているのか、察しているようだが。

 自分のことを目の前で相談されるって、ちょっと照れるっていうか極まりが悪いっていうか。

 俺はイカルスが何を聞きたいのか分らず、彼が言い出すのを固唾をのんで待った。

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