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Nice Fight!〜違う道が1つになって同じ夢を見ていた〜  作者: livingdead


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オープン戦ヘビー級

【 江波一成(薙沢県・国教大附属国際1年)ー梅田和満(唐河県・唐河中央2年LH級インターハイミドル級2位) 】


リングで対峙した重量級両選手、本来下の階級であるはずの梅田の方が大柄に見えている。


いや、実際に大柄なのだ。


実は梅田は身長が1m90cm あり、インターハイではミドル級で出場していたものの、現時点でミドル級のリミットを維持するのは厳しいということで、次回以降はライトヘビー級、もしくはクルーザー級での競技生活を模索している選手


インターハイの決勝戦でもこの巨体を絞り込んだ結果、スタミナ切れを起こしてしまい高南工業の3年生にRSCで敗退していた


しかしながらその実力は唐河中央高校の黒木監督も認める本格派の選手であり、キャリア半年にも満たず対外試合経験がゼロの江波には相当に荷が重い相手と言えた


ボクシング同好会に参加した頃から比べると相当に肉体が引き締まった様子の江波。


やはりリング上では少し落ち着かないのか、周囲をキョロキョロと見回してセコンドについている西木匠教諭にしきりに話しかけている。


対戦相手が下の階級にも関わらず、自分より大柄であることを知ると小さな目を見開いて


「ふんす!」


と、愛嬌のある気合を入れていた。


第1ラウンド開始!


減量苦から解放され、全身に精気がみなぎっている梅田は序盤から190cm の長身から繰り出す左ジャブで江波を突き放す。


江波もそれこそ初心者とは思えないほどの防御を見せ、梅田のジャブ、ワンツーをしっかりとガードを上げてブロックしている、が、手数が圧倒的に梅田の方に傾いており江波はなかなか緊張と戸惑いが抜けない様子のまま1ラウンドが終了


―――――――――――――――――


試合中にすみません!


江波です。


相手のスピードは想定内だったのですが、相手が僕より大柄だなんて想定外でした!


これからどうしたらいいんでしょうか?


① 降参する

② とりあえず殴り合ってみる

③ 蹴飛ばして首を絞める


サブセコについている井口くんに聞いたらこのうちのどれかを選べと言われました


え〜〜ん!(泣)


ーーーーーーーーーーーーー


2ラウンド目開始


緊張からかアクションが少なかった1ラウンド目と打って変わって江波が梅田の軽快な動きに合わせるように重量級にしては、妙に軽快なステップを踏んで左ジャブを差し合って対応を始めている。


梅田の長いリーチに対して江波はその差をまるで井口が使うステップのように小刻みに鋭く踏み込んでリーチの差を相殺し

結果ジャブの差し合いをするたびに、お互いの顔面が跳ね上がるシーンが何度も続いて2ラウンドが終了する。


インターバルでサブセコンドについている井口に何やら耳打ちをされた江波。


軽く頷いてコーナーを出た後、最終3ラウンド開始早々梅田が放ってきたワンツーの2をツーを左サイドにダッキングして避けると江波自身も左側に体を入れ替えて、


「そこだ!!」


と言った井口の声に反応して特別強打でもないワンツーを小さく出すと、それが梅田に絶妙のタイミングでヒットして、梅田は、たたらを踏んで危うくダウン!


江波はようやく緊張もほぐれた様子で、速い左ジャブをダブルトリプルで突いて梅田をのけぞらせ、更に右ストレートをつなげる。


これはさすがに梅田もしっかりとブロックしてクリーンヒットを許さず、ワン・ツースリーから一旦切り返して左ボディフックから上に左フック!


このコンビネーションで最後の左フックが江波の右テンプルにヒットしたのだが、しっかり顎を引いてダメージを最小限に抑えた江波は次の瞬間、左ジャブダブルから右ストレートを高速でつなぎ、さらに返しの左ストレートが梅田にクリーンヒット!


次の瞬間、梅田の足がふらつき、後方に2〜3歩よろけるとそのまま尻餅をつくノックダウン!


「薙沢県の選手は一体どうなっているんだ!?」


リングサイドのあちこちで騒然とした声が出始め、リング上ではノックダウンからゆっくりと立ち上がる梅田にレフェリーがカウントを数えている。


ニュートラルコーナーでは少し鼻血が出ているのを気にしながら江波が試合再開次第に追撃に入れるように、しっかりと構えを作っている。


「Box!」


レフェリーが再開をコール。ファイティングポーズを取って臨戦態勢に入った梅田に対し、江波がニュートラルコーナーを出て追撃にかかり始めたところで最終ラウンド終了のゴングが鳴った。


「ただいまの競技の結果をお伝えします。4ー1スプリットディションに寄りまして赤コーナー唐河県唐河中央高校梅田和満選手のポイント勝ちです。以上をもちまして、本日の競技を終了いたします」


――――――――――――――――――


初めての試合で、しかも相手はインハイ準優勝・・・・


下の階級とはいえ、体格は相手の方が明らかにでかかった・・・


リーチも相手の方が長かったよね・・・・


まあ、判定は前半のこともあるから妥当だと思うけど、ダウン取ってたよな!?


最終ラウンドなんか、むしろスピードでは上回ってたよな!?


ヘビー級じゃありえないスピードのストレートコンビネーションを当たり前のように使いこなしていたんですけど?


本当にこの同好会はとんでもないメンバーが集まっていると改めて思い知らされた。


それらをまとめて率いている西木先生には正直、頭が上がる気がしないなぁ・・・


井口崇通・談

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