【番外編】願い事~ホリデーシーズン(6/7)~
エリダヌスと過ごすホリデーシーズン。
それはもう波乱万丈だった。
しかも私は……。
「あれは事故ですから気にしていません。それにいずれ、わたしとメリディアナは夫婦になるのですから。たとえ見られ、触れられたとしても、わたしは気にしていませんよ」
滑って湯船に落ちそうになった私をエリダヌスは助けようとして……。
本当に。
私は初対面で推しを脅し、娼館に連れ込んだが、今度は……。
で、でも、エリダヌスの体は完璧過ぎて、エロさはなかった! まるで博物館や美術館に展示されている神々の彫像みたいだった。だから……。
「わたしは怒っていませんし、気にしていませんよ?」
エリダヌスはそう言うが、ふとした瞬間にこの件を持ち出されると、私はすぐに全面降伏状態になる。
つまり。
完全に弱みを握られ、尻に敷かれている!?
……敷かれている気がする!
「メリディアナ。今日はニューイヤーイブです。ホテルではカウントダウンパーティーがあると聞いたのですが」
昨晩の件を思い出し、心ここに在らずになってしまうが。そうなのだ。もうニューイヤーイブ。そして今は朝食を摂り終えたところ。今日はスパ施設が開催している源泉見学ツアーに日中参加することになっていた。
これで半日が終わり、ツアーから戻ったらドレスに着替え、まずはニューイヤーイブのディナー楽しむ。そしてカウントダウンパーティーへ参加の流れを考えていた。まさにエリダヌスにそのプランを話そうとしたら、先にカウントダウンパーティーについて問われた。
そこで私は逆に尋ねる。
「カウントダウンパーティーは、ホテルの宿泊客であれば皆、参加できます。参加しますよね……?」
「わたしはメリディアナとカウントダウンを楽しめれば、パーティーだろうと何だろうと構いませんよ」
国宝級の笑顔を向けられ、朝から失神しそうになる。もしも部屋で2人きりでカウントダウン……なんてしたら、私は新年と同時に気絶するかもしれない。これは間違いなくみんながいるパーティーに参加し、意識をキープした方が良さそうだ。
そこで私はエリダヌスに伝える。
「花火の打ち上げもありますし、汽車も汽笛を鳴らし、鐘の音も鳴り響き、盛り上がりがすごいんです。カウントダウンパーティーに参加しましょう!」
こうしてパーティーへの参加を決め、源泉見学にツアーに向かった。
◇
滞在中、パーティーへの参加はあると思っていた。ゆえに素敵なイブニングドレスをいくつか用意している。聞くとエリダヌスは、アイスブルーのテールコートを着用するとのこと。
ならばとパールシルバーからセレストブルーにグラーデションするドレスを着ることにした。胸元やスカートに沢山のビジューが飾られ、銀糸の刺繍もあしらわれている。パーティー会場のシャンデリアを受け、実に映えるデザインになっていた。
髪はアップにして、パールの髪飾りでまとめた。
大ぶりのパールのネックレスやイヤリングをつけ、完成だ。
私は寝室で着替え、エリダヌスは隣室で着替えをしていたが……。着替えを終え、隣室に向かうと、完璧に正装した推しが…… エリダヌスがいる!
アイスブルーのテールコートに合わせたセレストブルーのマント! 私のドレスとのコーデはまさに満点。
サラサラの前髪は分け目をつけ、片側を後ろに流し、普段と雰囲気を変えている。背筋をピンと伸ばし、凛として、拝みたくなる素晴らしさだった。
「またわたしに祈りを捧げていますね」
「エリダヌスがあまりにも尊くて」
もはや照れる余裕もなく、本音を口にしてしまう。
すると。
エリダヌスは……。
その透明感のある肌をポッと桜色に染める。
なんて、なんて色っぽいのだろう!
男性なのにこんなに艶めいた姿を見せるなんて、ズルいと思います!
「そんなに拝んで、何がお望みなのです?」
「望み……そんな望みなんて。ただ本当に。エリダヌスが素敵なのでつい……」
「メリディアナ、君は本当に……」
エリダヌスが自身の左手で顔を覆い、絶句したところでマルシクが遠慮がちに声を掛ける。
「今日はレストランも立て込んでいると聞いています。予約の時間に来ていただきたいと」
「ああ、そうでしたね。メリディアナ、行きましょう」
それからのエリダヌスは、パーフェクトなエスコートしてくれた。レストランに着いてからも、スマートにドリンクを注文し、饒舌に話をしてくれる。料理も美味しく、時があっという間に流れてしまう。
「このままカウントダウンパーティーの会場に移動しましょうか」
パーティーは私達がディナーを摂っている時から既にスタートしていた。
ディナータイムの時間帯はクラシックコンサートが行われていたという。
用意されている軽食をつまみ、お酒を飲み、優雅な演奏に酔いしれる。
一時間程の演奏が終わると、今度は歌手が登場し生歌を披露。
それが終わるとこの地方の伝統的なダンスをダンサーが踊り、それが終わると、いよいよダンスタイムが始まる。エリダヌスと私は、まさにそのダンスがスタートした時に、パーティー会場に到着した。
「せっかくなので、まずは一曲踊りましょうか」
エリダヌスに誘われ、ダンスを始めると――。















