黒猫はホラーパーティーに参加します
こんにちこんばんは。
秋を感じたのに暑くなると聞いてゲンナリしている仁科紫です。
それでは、良き暇つぶしを。
〜チェシャ in ホラーパーティー〜
「にゃっにゃーにゃっ♪にゃっにゃーにゃ♪」
ぐぉっぐぉおぐぉっ♪ぐぉっぐぉおぐぉっ♪
カタッカターカタッ♪カタッカターカタッ♪
ふゅっふゅーふゅっ♪ふゅっふゅーふゅっ♪
はい!皆さん、くるっと回って華麗にターン♪からのジャンブっ!
「にゃっ!」
ぐぉっ!
カタッ!
ふゅっ!
…はて。どうしてこうなったのかしら。踊るゾンビたちを眺めながらも、踊る私は少しばかり後悔していたわ。
〜数分前〜
ど、どどどーしましょう!?私、ホラーは苦手なのよっ!
こう、明らかに人的なものはすっごく楽しくて笑っちゃうのだけど、これはダメだわ…。
…あ。これだと、説明不足ね。正確には、驚かしに来る人を逆に笑っちゃうタイプなのよ。私。別にバカにしているわけではないのよ?ただ、そういう非日常って面白いでしょう?感情が昂ってしまって、ついつい笑っちゃうのよ。
まあ、そんなことはどうでもいいわよね。結局、どうしてホラーが苦手なのか、という話なのだけど。要は、ここで驚かしに来るんだろうなぁとか、想像のつくものは問題ないのよ。逆に楽しいくらいで。
でもね?こう、お面がたくさん無駄に飾られているお部屋だとか、本格的なお札が沢山はられた部屋だとか、ね?そういう怖い雰囲気っていうのが苦手なのよ。
そして、ここって、ほら。無駄にリアルな骨やら腐った死体やら、こう、フワフワした白い影みたいなのが沢山いるのよ。もう、考えただけで恐ろしいでしょう?
ということで、実際の状況なのだけど…。
ぐぉ?ぐぉっおー!
ぐぉぐぉ!
カタカッター!
カタカタ。
ふゅっふゅっー!
ふゅっふゅふゅ♪
…あ、あら?これ、全然怖くない気がするのだけど。
中央では台の周りをゾンビ達が楽しそうに話しながら踊っているし。
端ではカタカタ言いながら…?鳴らしながら、かしら。…とにかく、スケルトンがカタカタ鳴らしながら踊っている組とそれを眺める観客組にわかれているし。
ゴースト達は…?あれは、歌でも歌っているのかしらね?端にある高台に立って何かしている組と声援?歓声?をあげている組、空を飛んで追いかけっこをしている組…?あ。あれって、もしかしてダンスなのかしら。
ま、まあ、とにかく、よく分からないけれど楽しそうなパーティーよね。…参加者はみんなおかしいけれど。人外だけど。生きてな…生きてるのかしら。一応。別の意味で?
…あ。絵本の『ししゃ』。ずっと、死者だと思っていたけれど、あれってもしかして、使者の方だったのかしら。こう、人外種の使者、みたいな感じ?人外種に慣れるためにここで遊んで行ってね。みたいな意味でだったら、なんとか納得もできる気がするわ。
あ!それなら、この森をクリアする方法も何となくわかった気がするわ!つまり、私も参加してしまえばいいのよね!
そもそも、見ているだけでも楽しそうなんだもの。参加しないなんてもったいないわ!…それに、一人だけ除け者なんて嫌だもの。寂しく眺めるくらいなら勇気を出して参加しないとね。
まあ、とにかく、真ん中に一際高い台みたいなのがあるし、そこに登ってみればいいわよね。…イメージ的に盆踊りみたいね。
真ん中で踊ったら注目を集めれるし、踊ってみたら、案外仲良くなれそうじゃない?ということで、踊りに行くわよ!…猫の踊り方なんて知らないけれど。適当にそれっぽく動いてみればいいわよね。うんうん。
よし。ということで、あそこまでどうやって行こうかしら?バレてもOK?それともOUT?どっちかわからないのが面倒ね。今は端っこにいるからバレていないようなのだけど。
あ。普通に空を飛べばいいじゃない。なーんだ。大した問題ではなかったわね。
…と、思ったのだけど。案外難しいわね。これ。存在感がなさすぎて空を飛ぶゴーストのことを忘れていたわ。…まあ、ゴーストよりも高く飛べば問題ないわよね。うん。
すぃーっと到着っ!さぁ!ダンス開始よ!
〜回想終了〜
はい。というわけで、今に至るわ。
楽しくなって、クルクル回りながら踊っていたら、気づけばバラバラに動いていたはずのゾンビやスケルトン、ゴースト達がみんなご茶混ぜで私を真似して踊り出していたのよね。不思議だわ。
それにしても…これ、楽しいのだけど、いつまで踊っていればいいのかしら。うーん?適当に終わりを決めなければいけなさそうね。
こう、くるっと宙を二回転くらいして着地、からの伸び〜♪
「にゃぁ〜ん♪」
ぐぉお〜♪
カタ〜♪
ふゅ〜♪
…だからって、全員伸びをしなくてもいいのよっ!?
シュールだわっ!シュールすぎるわっ!何この光景。一度、他の人にも見せたいぐらいなのだけど!?…あ。スクショしとこっと。パシャリ。
さて、降りましょうか。これで道が現れるとは考えにくいけれど…!?…え?ええ!?なんか、下に重力を感じると思ったら!地面に真っ暗な穴があるんですけどっ!?お、落ちるーっ!?
なんか、周りは手を振ってるし…どういう事!?ていうか、助けてぇえええええええっ!
「にゃ、にゃぁああああああああああああっ!?」
《名もなき死者たちとの好感度がMAXになりました。》
《それにより、プレイヤー名:チェシャ は
称号【死者を統べるもの】 を手に入れました。》
結局、ししゃは死者なんかーいっっ!あの推理、間違っていたのだけど…。恥っ。
□■□■□■□■
ぎゃふっ。
…落ちたわね。それも見事に頭から…。久しぶりに受け身も何もとれなかったわ。
それはさておき、ここはどこかしら?頭上を見上げれば、空はなくて、まるで鍾乳洞の中のようね。
そして、見渡す限りは廃墟、廃墟、廃墟…はい。見事に廃墟しかないですねー。…これは、完璧に来てしまったわね。ゴーストタウンにっ!
救いなのは、全てがシステム上の物体である事ね。よく分からないものではないのなら、恐るるに足らずよ。殴れば通じるものならば何も問題ないのよ。ええ。問題なしっだわ!
「あれ、猫、様…?」
「狂い猫がなんでこんな所に!?」
「わーい!猫様だーっ!!猫様ー!」
…それに、周りにはプレイヤーと思しきスケルトンとか、ゴーストとか…あら。ゾンビは少ないのね。とにかく、プレイヤーが私を見て、口々に何かを言っていたわ。
まあ、この状態で怖がるなんてありえないっていうくらいには、ワイワイガヤガヤとしているわね。
これ、どうしたらいいのかしら。徐々にプレイヤーが近づいてきている気がするし、スケルトンやらゴーストやらに囲まれて困惑状態なのだけど。…え。本当にどうしたらいいのかしら。というか、押されると大変困るのだけど…骨と骨の間に挟まれそう…?
ムギュっ
あら。挟まれないのね。いい事を知ったわ。って、それどころではないわね。
「猫様ー!なんて可愛らしいのかしらっ!
撫でさせてぇえええ!」
「ちょっと!抜けがけは禁止よっ!」
「そうだそうだー!」
ちょ。やっぱり離れて。押さないでー!私は珍獣ではないのよ!?ただのプレイヤーでしかないのだから、撫でられても困るのよ!
というか、撫でるんだったら許可を貰ってからにしてちょうだいっ!多分だけど、それ、ハラスメント警告出てるわよ!?きっと、イエローカードだから!それ!!
…まあ、とりあえず、ここから離脱しましょうか。箒術で空へ!
・
・
・
ふぅ。満員電車から抜け出したような疲労感が…。
はぁ。これからどうしようかしら。
白うさぎの洞穴には到着したときに登録を済ませておいたから、次にまた来ようと思えば来れるのよね。
うーん。それでも、もう少しここで遊びましょうか。白うさぎの洞穴は出来るだけ使わないと決めているもの。それに、ここの観光は気が進まないけれど、案外楽しいかもしれないし。
よし。とりあえず、あの大きな建物を目指すとしますか!
それでは、これ以降も良き暇つぶしをお送りください。




