朝陽の気持ちの答え合わせ 翔
待合の椅子の座って、すぐに、
「朝陽が心配だった」
「え」
「目に見えるキズは、わかっても、心に負ったキズは朝陽が話してくれなきゃ、わかんない」
「それは、お互い、でしょ」
「朝陽は言ってくれない、いつも。俺や母さんに、負担になるような心配や問題なんてしてないつもりだから」
「つもりじゃないよ、ないもの」
「だったら、男に声かけるなよ。よく知りもしない奴となんて、もう話すな。あのホストの奴なんて、諦めるんじゃなくて、離れる、って言ったんだろ。いつか、戻ってくるかもしれない」
「会うの最後って」
ふと、口元を押さえた。確かに、かもって、言ってた。
私のその仕草で翔の眉間に深いシワをよせた。
「奴なんて、わざわざ朝陽を巻き込んで、自分の落とし前つけさせてる。また、現れるかもしれない、それで、朝陽を巻き込むかもしれない」
自分が細かいことを気にして、首を突っ込んだことが招いたこと。
瀬戸さんも田辺さんもキズまでではないけど、後腐れの悪さが残った。
秘めた恋を暴いて、ゲスいことして。
田辺さんに至っては、扱いに困った石まで手元にある。
「あの瀬戸ってのに、朝陽は惹かれてた、無意識に。相田さんがいなかったら、どうなってたか、わかりゃしねぇ、危なかった」
「危ないって?」
翔は、さっと〝ストップ〟みたいに、手のひらを私の方に向けた。
「通りすがりだけで済ませられるとこなのに、細かいとこに目ぇつけて、話して、さ」
「違うよ! いつもいるおばあさん達の姿が見えなくて、心配だったから」
「ナニ言ってんの。しゃべったこともない相手なのに? どんなひとかも知らないのに? 今までだって、こういうことあったかもしれないのに?」
「でも」
「ホストの奴だって、そいつと仲良く話してたからの興味だったけど、直感で、気になる存在になったからだろ?」
「翔が好きそうな色の石をつけてたから、つい、だよ」
「そんなの、瀬戸に頼めばよかっただろうが、石の名前、聞いといてくださいって」
言われてみると、その通りだ。
なのに、あの時は、それができなかった。
「田辺って奴にも、惹かれはしないけど、想う気持ちがあった。母さんのパートナーにだってそうだ」
翔が私を追い込んでくるのがわかる。
これ以上、聞きたくなくて、拒否するように耳をふさいだ。
けれど、翔は、その手を外して、そのまま握りしめて、私を覗き込んだ。




