もらったアクセサリーの行方 翔
翔には、恋の話しをしていたつもりなのに。(他人のだけど)
ふたりで、微笑むところだったと思ったのに。
お互い、どうも視点が違ってようだ。
モニタの中には、肘をついて、上目づかいで私を見る翔と、コツコツと指先で何かを叩く音。
「で、そのピアスと指輪、どうしたの」
「え、と、これよ。綺麗でしょ、翔が好きそうな薄いブルー」
と、手のひらに置いて、モニタの前に差し出して見せる。
すると、翔は、とたんに口元をへの字にして眉をしかめた。
「どうするんだよ、それ」
手のひらで転がして、首をかしげる。
「翔、いる? ピアスするつもりないし、サイズの合わない指輪なんてね。お役御免で手放したんだと思うし、嫌がらせ感もあるのよ。おまけに、いい値段もする」
彼は、唇を尖らせて横を向いた。
「いらん! ナニ言ってんの? いるかよ、そんなん」
「ん、ん……だよね」
強い口調に対して、小さい声で返事した私を翔は、ちらっと横目で見てから、顔を画面に戻して、
「そもそも、そんな簡単に、男からアクセサリ貰うなよー……」
翔は声をだんだん小さくして、肩の力を抜き、椅子の背にもたれた。
「は? いや、だって、これは勝手に押しつけられた物で、男の人から貰ったアクセサリって感じもないよ?」
「で、持て余してんだろ。使い道もないんなら、いっそ、捨てたら? あと売るとか、さ。結構、いいお金になるぜ、ソレ」
顔がこわばった。
〝捨てる〟〝売る〟それは、ない。
ひとときでも、想いがあったことを知ってる物を私が。
それを平気で口に出した翔に愕然とした。
なにかを言いたい。
けれど、翔を見つめたまま、唇は、結んでいく。
一瞬、彼の瞳が揺れて、背筋が伸びた。
薄いため息が聞こえて、翔はまた椅子の背にもたれた。
そして、睨むように私を見据えて、
「いらんもん受け取った時、そういう方法で手放せる。それが、その物に対して残酷だと、できないのは、それに自分が想いがあるからだろ」
こくんと喉が鳴った。
そして、手のひらのブルーの石を見る。
この石には、田辺さんの人知れずの想いがある。
彼の想いを知って、心に残しておくのは私だけかもしれない。
瀬戸さんは、目隠ししたままだから。
モニタの中から、ちっと舌打ちが聞えた。
視線を石から、翔に向ける。
「しょうがねーな。持ってるしかないんじゃ、どっか見えないとこに仕舞えば? そんなもん」
「うん、そうか。そうだね」
彼は、さっきからずっと機嫌が悪くて、言葉遣いが荒い(態度も悪い)から、逆らわないような返事をしてしまう。




