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オレの副業は夢占い師  作者: 野松 彦秋


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1.オレの嫌いな本業とその理由

オレの名前は酒井俊哉(さかいとしや)、今年で40歳になる男だ。

中小企業の商社に勤めている。


仕事は、会社の海外の営業所やグループ会社の製造工場から来る部品の発注を受け、それを国内で調達し、出荷するまでの責任を取らされる仕事をしている。


正直、嫌な仕事である。


時間に厳しいと言われている日本でさえ、納期調整は(まれ)ではない。


俺から言わせると、日常茶飯事(にちじょうさはんじ)である。


正に、何時も食べる飯の様に、納期の遅延、また客先の事情による早めて欲しいという無理な要望が来るのである。


事情があって、早めて欲しいと電話で弱弱しい声でお願いする担当者もいる。


『知るか馬鹿野郎!そんな事できるか、無理無理、自分で交渉して・・・』


オレは、正直ワザとそういう、汚い言葉を第一声に、先ずは相手を突き放す。


これを聞くと、大抵の人はオレが嫌な奴だと思うだろう。


否定はしない、オレが嫌な奴なのは間違いないから、だけどオレにも理由があるんだ。


泣きつく奴は、一度助けられると、恩にきて次同じ事をしない様にする努力をする・・・正直そんな奴はいねえ、オレの経験上、40年の短い人生ではいない。


大抵、泣きつく奴は、泣きつく事がクセになり、同じ事を繰り返す。


オレの偏見だが、弱弱しい声とは裏腹に、心で舌を出しているのだ。


日本のメーカーから出される納期は、運よく在庫が無い限りは、ほぼほぼ覆る事が無い。


そういう時、どうするかと言うと、輸送手段を変えるしかないのである。


船で運ぶのを、飛行機にするだけである。


簡単だ。実に簡単なのだが、費用は数倍、重量によっては数十万、100万近くになる事もある。


当然、そんな事をしたら赤字商売である。


その原因になったモノは、金額によっては配置転換、又は降格させられるのは常識である。


其の赤字の責任を取る、客にその原因があるなら、客に取らせるのが当然である、がそれをしようとしない営業マンが多すぎる。


営業マンは、注文を取ってくる仕事と勘違いしている(やから)が多いからだ。


客に嫌われたくないからと、奴らは客の前では良い顔ばかりするのだ。


そして、奴らは心の何処かで、客と自分達を同じ側と考えているからだ。


注文はもらいました。後は、本社担当者オレタチの仕事でしょと心の中で呟いているのだ。


経験の無い時、新人だったオレは、無理矢理押し付けられた納期を、必死に守ろうと努力した。


泣きついて来た海外拠点の担当者を自分の友人の様に思い、助けようと頑張った。


しかし、それを必死に努力し、納期を守っても、誰も評価してくれなかった。


事実未だに誰もが、俺を酒井さんと呼ぶ。なぜなら入社して15年、オレは未だに役職につけず、ヒラ社員だからである。


泣きながら、助けを乞うてきた同期の奴が、今では●●係長と、役職で呼ばれている。


奴は係長、オレは、未だ係長の下の主任にもなれていない。


オレは、いつしか今の会社と仕事が嫌いになっていた。


恩も返さない無責任な奴らと、オレの努力の御蔭で評価される者がいるのに、オレの努力を評価してくれない会社が嫌いだったのである。


しかし、年齢が重なるにつれ、いい意味で諦めがついた。


飯を食う為の手段として、淡々と仕事をする術を身につけた。


簡単にいうと、現実を受け止め、出世と言う夢を諦めたのである。


それから、オレの人生がすこしづつ楽しくなった気がする。


強がりでは無い。


無理な残業を止め、変に気負わなくなると、人にも優しく出来る様になったのである。


アイツから電話が来たのは、そんな時だった。




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