入籍後の夜会2
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ルーベンスが帰宅した後もランドルフはまだ夜会会場に居た。
「さっきの青年はサザンと一緒に行ったきり帰って来ないな。」
「サザンも帰って来ないからまだ、話をしているんじゃないのか?」
ランドルフの友人たちがサザンとルーベンスを心配していると
「彼は本当にイケメンだよね。今まで会ったことないけど、どちらのご子息だろうね。」
ランドルフが訪ねると、
「サザンは知っているんじゃないのか?」
「お前は知らないのか?」
「お前こそ色々と顔を出しているんだから、知っているんじゃないのか?」
と、皆が顔を見合わせて、誰とも知らない青年の貴族籍を探る。しかし、誰も知っている様子はない。
「ルード卿なら、慌てて帰られたみたいよ。蒼い顔をして廊下を駆けて行ったわよ。」
ラビィが口元に閉じた扇子を当てながら応える。
「えっ!何それ、気になるなぁ。サザン公爵家を継いだけど、ギャンブルで破産寸前らしいじゃん。彼は取り立て屋だったって事かい?」
「サザンの家が破産なんて無いだろう?」
ランドルフが、笑いながら応えると、
「カジノに毎日入り浸りだったじゃないか。知らないのか?お前は知らないか。女と毎晩イチャイチャしてお楽しみだったもんなぁ。そういやランドルフ結婚するんだろう。奥方の手前いつまでも社交にばかり目を向けていていいのかよ。」
「大丈夫だよ。ラビィも安心してね。今までと変わらないから。」
「えっ。何ラビィとエメとの関係続けるの?」
「当り前じゃないか。僕を愛してくれているのに政略結婚の為に捨てるなんて僕には出来ないよ。」
「かっこいいなぁ。ランドルフ。良かったな。ラビィ。まだまだ、ランドルフに甘えられるってよ。」
「嬉しいわ。ランドルフ。貴方を愛しているわ。」
和やかに聞こえるやり取りの中、周りはランドルフの爆弾発言に興味を引かれて皆が耳を大きくして傾けている。公爵家のバカ息子が愛人を囲う宣言をしているのだから、興味も引かれるというものだ。
「ランドルフにお願いがあるのよ。」
「なぁに。聞けることなら聞いてあげるよ」
「あのね、結婚式の時の誓いのキスなんだけど・・・。するの?」
ラビィは上目遣いにランドルフを見る。目を潤ませながら。おねだりをするときにはエメのように愛らしく、誘う時には妖艶にとその都度使い分ける線が上手なだけにランドルフは毎回騙されている。周りも騙されていることを知りながら、誰も注意をしない。
ランドルフがどこまで落ちていくのかを楽しんで見物しているから。そしてその事実を知らないのは、当のランドルフ本人だけだった。
「誓いのキスねぇ。しないとそこは不味くない?」
「私達以外の愛してもいない女性とするの?そこはヴェールを上げなければ良いんだから、そのままで。出来ればしないで欲しいわ。」
「そっかぁ。そこまでラビィが僕との関係を大切にしてくれているなら、解ったよ。誓いのキスはしないよ。約束するよ。」
笑顔で応えるランドルフを周囲は囃し立てる。
「男だな。ランドルフ。」
「やっぱり女性にもてる男は違うよね。」
「流石はランドルフだ。」
誰も心から思ってもいないことを口にする。この結婚式がダメになれば良い。
ランドルフの周りにいる男性たちは、誰もがそう思っていた。
それは、その相手が、ケニア・カナガンだと知っていたから。
あと二年経ったらデビュタントを迎えるケニアを狙っていた。商会も一目置くケニアを手に入れることが出来れば、自分の家は安泰になる。ケニア自身も見た目も悪くなく、愛らしいと評判だったから。
何故、毎度、毎度、良いと思う女性がランドルフの周りに来るのか。歯痒い思いをしていた。
結婚式の誓いのキスをしないということは、白い結婚を示唆することで、ランドルフ自身も、エメとラビィと暮らすと宣言をしてしまった。しかも夜会会場で高らかに。
ランドルフ達の傍で聞いていたジェラとジェロは、怒り狂うルーベンスをイメージして頭を抱えた。
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