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ドリーム・ライフ~夢の異世界生活~  作者: 愛山 雄町
第二章「学院生時代:学術都市ドクトゥス編」

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第十六話「学術都市ドクトゥス」

 学術都市ドクトゥスは、北はサエウム山脈、南はファータス河に挟まれた街で、元々はカエルム帝国北部の軍事拠点として作られた城塞都市だった。

 当初は寂れた辺境に設けられた都市であり、一辺が一kmの石造りの城壁に囲まれた市街地だけだった。だが、魔術師ギルドが本拠を置き、更にアウレラ街道の往来が増えるに従って、城壁を囲むように新しい市街地ができ、現在では南北二km、東西四kmの都市に発展した。

 ドクトゥスは新市街と旧市街の二重構造になっており、城壁に囲まれた旧市街が学術都市、その外側の新市街が商業都市になっている。人口は旧市街で五千人、新市街で一万人の合計一万五千人が住む大都市だ。

 新市街の周囲には簡単な柵しかないため、新市街に入る入市税は不要だが、学術都市側の旧市街に入るためには、入市税二(クローナ)(=約二千円)が必要になる。


 俺たちはとりあえず新市街に宿を取り、翌日以降は旧市街で宿を探すか、このまま新市街に宿を取って、一回一回入市税を支払うかを選ぶことにした。

 そう思っていたのだが、午後三時頃に新市街で宿を探し始めて、それが間違いだったことに気付いた。どの宿もほとんど埋まっていたのだ。

 宿で事情を聞いてみると、魔術学院の入試のため、多くの受験生が集まっており、そのため、宿が空いていないとのことだった。

 十軒ほど宿を当たり、ようやくキャンセルで空いた三人部屋を一部屋確保することができた。


「この状況は考えていなかったな。魔術学院の受験者の数なんて考えていなかったよ」


「そうね。私も忘れていたわ。確か合格者が二百人くらいで、受験者はその三倍くらいだったはずよ。ドクトゥスに家を持つ人もいるけど、大半が他所から来ているはずだし、付き添いの家族を合わせれば千人以上が宿泊することになるわね」


 リディの説明に運が良かったと胸をなでおろすが、三人部屋ということで、ベッドが一つ足りない。

 エキストラベッドがあるか聞いてみたが、既にすべて出払っていると言われてしまう。

 困ったガイが、シャロンと一つのベッドを使うと言い始めたが、それを聞いたシャロンが嫌そうな表情を浮かべていた。それに気付いたガイは、地味に傷付き、寂しそうな表情を浮かべていた。

 リディがその様子を見て笑いながら、「私と寝ましょう」とシャロンを誘った。シャロンが大きく頷くと、更にガイはダメージを受けていた。


(十歳の女の子か……父親が鬱陶しくなり始める年頃なんだろうな。日本では子供がいなかったから判らないが、この世界で子供が出来たら、ガイの気持ちが判るようになるんだろうか……)


「今日はともかく、この部屋じゃ狭い。明日は別の部屋を探したほうがいいかもしれないな」


 俺がそう言うと、リディが首を横に振る。


「多分、探してもないわよ。明日には足止めされていた受験生たちがやってくるんだから」


「それなら、試験が終わったら大丈夫なんじゃないのか?」


「試験の結果は筆記試験の後の実技試験が終わらないと出ないの。全員が受け終わるのに短くて十日間、結果が出るのにもう五日間くらいかかるから、半月はこの状態よ」


 ティリア魔術学院の試験は、七月二十二日に行われる筆記試験と、試験官の前で行う実技試験の二本立てになっている。

 筆記試験は共通語、算術、歴史、地理、魔法学の五科目で、筆記試験自体は一日で終わる。

 実技試験は筆記試験受験者全員が受けることになるため、数百人が対象になる。一人十分としても、六百人だと百時間掛かるため、十日から十二日くらい掛かるそうだ。

 それなら、筆記試験で実技試験者を減らせばいいと思うのだが、合否は実技試験の結果が物を言うそうで、実技試験の結果が良ければ、筆記試験の結果で落ちることはない。

 なら、筆記試験をやめればいいということになるが、実際の実技試験の結果は最低ランクの者がほとんどで、筆記試験の結果が合否の決め手となるそうだ。実際、実技試験の結果で合格するのは、合格者全体の二割ほどしかいない。


 話を戻すが、合格発表が出るのは、全員の試験が終わってから五日ほど後になるため、その間、受験生はこの街にいることになる。ドクトゥスや近隣の町や村からの受験者もいるが、一割にも満たない数であり、その他の受験生と付き添いは宿住まいになる。

 更に不合格者もドクトゥスに十数校ある私塾を受験することが多く、八月一杯は受験生たちで溢れることになる。


「なら、この状態が一ヶ月くらい続くのか。そういえば、俺とシャロンは寮に入るんだよな」


 リディは「普通ならそうね……でも、私に考えがあるの」と怪しげな笑みを浮かべている。

 俺はその考えに不安を持ち、「考え? 聞いていないが、変なことじゃないだろうな」といぶかしげに彼女を見た。


「家を借りて一緒に住むのよ。魔術学院の寮費は結構高いの。まあ、食事もついているし、学院にも近いから便利なんだけど、新市街に家を借りた方が遥かに安いわ。あなたたちなら、入学金免除を受けられるんだろうけど、授業料と寮費の負担は減らないわ。確か寮費だけでも年間千(クローナ)(=約百万円)くらいだったはず。家を借りれば、その分を浮かすことができるの」


「だが、家の賃貸料が掛かるだろう。それに食費も。それなら、そんなに負担は変わらないんじゃないか?」


「それは私が出すわ。どうせ、私はここに家を借りるつもりなんだし、一人が三人になっても、それほど家の大きさが変わるわけじゃないし。食費もそうよ。一人だと外食が多くなるから、三人にした方が安く済むと思うの。それにシャロンは料理も上手だしね」


 リディの言葉にシャロンが目を輝かせている。


「確かに全寮制じゃないと聞いているから、それでも問題ないんだろうが……ところで新市街から旧市街に入るのに入市税がいるんじゃないのか。それを考えたら……」


「大丈夫よ。魔術学院の生徒は魔術師ギルドの準会員になるの。魔術師ギルドの関係者が門をくぐっても入市税は必要ないのよ」


 ティリア魔術学院は魔術師ギルドが運営する学校であり、入学と共に魔術師ギルドのオーブを与えられる。但し、在学中は正式なギルド会員ではなく、卒業と共に正式な会員となれる。

 ティリア魔術学院以外の私塾にはそのような制度がなく、魔術師ギルドに入るには、会員による推薦と入会審査、更に入会料千Cが必要になる。私塾の生徒の場合、卒業するまで魔術師ギルドの会員になれないことが多いそうだ。


 俺はリディの立て板に水のような説明に違和感を覚えていた。


「村にいるときは、ドクトゥスについて聞いても、“昔のことだから忘れた”とか言っていたのに、ここについた途端、スラスラと出てくるな。最初から企んでいたんだろう?」


 俺の言葉にリディの目が泳ぐ。


「まあいい。ガイが許可を出さなければ、その話はなしだからな」


 リディは「えっ!」と驚き、「一緒に住みたくないの」と目で訴えてくる。


「俺だけ一緒に住むわけにはいかないだろう。シャロンと三人という条件じゃなければ、俺も寮に入るぞ」


 正直な話、リディと一緒に住むことにかなり魅力を感じていた。だが、今回の魔術学院入学は自分を鍛えるという目的のためで、彼女と同棲(・・)すれば、必ずその目的を忘れてしまう。

 シャロンが一緒なら自制が効くし、第一、シャロンだけを仲間外れにするのはかわいそうだ。シャロンが自立したいなら、それはそれで問題はないと思うが、少なくとも友達が出来るまではできるだけ近くにいた方がいいだろう。


 俺はガイに意見を求める。


「真面目な話、俺はともかく、シャロンはリディと一緒に住んだ方がいいと思う。今から、大人になっていくんだ。母親に相談したいようなことも出てくるだろう。その時、知り合いの大人の女性が近くにいた方がいいと思うんだ。男と同じ屋根の下が不安だというなら、俺は寮に入る。どうだ、ガイ?」


 ガイはこういう事態を想定していなかったのか、呆けたような顔になっていた。


「……母親に相談したいことですか……ああ、何となく判ります……ザック様は信頼していますから、一緒でも問題はありません。ですが、リディアさんにご迷惑が……」


「迷惑じゃないと思うぞ。多分、シャロンがいた方がリディにとってはいいはずだ。リディは基本的には怠け者だからな。誰かが家を管理しないと、大変なことになるだろう。その点、シャロンなら安心だ。料理は出来るし、家事も出来る」


 その言葉にリディが「私だってちゃんとしているわよ」と口を尖らせている。


「じゃ聞くが、リディは一人暮らしをしたことがあるのか?」


 彼女は「えっと……」と言って視線を外す。


「そういうことだ。ガイ、リディの面倒を見るためにシャロンを貸してくれないか」


 俺はガイを説得するため、リディの世話をするという話に持っていった。本当のことをいえば、リディがそこまで生活破綻者だとは思っていない。料理もできるし、割ときれい好きだから、家の中にゴミが溢れるということにはならないだろう。

 だが、リディの言う経済的な条件で話を進めると、ガイが了承しない可能性があると思ったのだ。ガイは俺とリディに迷惑を掛けることをよしとしない。もちろん、娘のことは愛しているし、経済的に厳しいことも事実だ。だが、それを理由にすれば、リディからの援助を受けることに首肯するとは思えなかったのだ。

 シャロンが俺たちの役に立つということなら、彼の心の葛藤を弱めることができる。そう考えて、あえてリディを貶めるような話に持っていったのだ。


 ガイは少し考えた後、「判りました」と頷き、シャロンの方を向く。


「お前の考えはどうだ? 勉強と家事。その両方を両立しないといけないんだぞ。ここは家とは違う。母が手伝ってくれるわけじゃない。その状況でザック様の健康を損なわないようにしないといけないんだぞ。それでも出来ると言い切れるのか」


 強い口調のガイに対し、シャロンはしっかりと目を見つめながら、大きく頷く。


「大丈夫です。村では私より小さい子でも家のことをやっていました。私も頑張ればできるはずです」


 強い意志を感じたのか、ガイは彼女に小さく頷く。そして、俺たちの方に向き直り、深々と頭を下げてきた。


「判りました。ザック様、リディアさん、シャロンのことをよろしくお願いします」


 これで俺たち三人が借家を借りることになったのだが、この後、へそを曲げたリディのご機嫌を取るのに無茶苦茶苦労した。



 翌七月二十日。


 宿で朝食を取った後、受験申請をするため、ティリア魔術学院に向かった。

 新市街の外れに宿を取ったため、旧市街の城壁を見ながら、正門に到着した。

 正門には既に受験者らしい少年少女が、付き添いの大人と入門手続きを行っていた。


(結構いるな。俺たちと同じように雨で足止めを食った連中かな)


 正門の前で俺たちもその列に並ぶ。

 正門は灰色の石を使った重厚な物で、市街地にあるのが不自然な感じがするほど実用的な城門だった。


(これを見ると、新市街がなかったというのが判る気がするな。明らかに敵を防ぐ目的の門だからな……)


 検問で入市税を支払うが、剣を背負った少年である俺が珍しいのか、守衛は不思議そうな顔で俺を見ていた。だが、特に何も言われず手続きは終了した。


 正門をくぐると、新市街と異なり、石造りの町並みが広がっていた。ここに来る途中に見たアーマスウェイトと同じような灰色の石で造られた家が立ち並び、学術都市という感じはしない。

 正面に立派な城砦が目に入ると、リディがその建物について説明してくれた。


「あれは図書館なの。蔵書数は世界一よ」


「図書館か。入学したら入れるのか?」


「入れるわよ。魔術師ギルドのオーブがあれば無料でね」


「オーブがないといくらするんだ?」


「昔と変わっていなければ、保証金として金貨一枚(=百C=十万円)と、入館料の半銀貨一枚(=五C)が必要だったはずよ」


「入るだけで五Cか……かなり高いんだな」


「貴重な文献が一杯あるから仕方がないわよ。私も昔は結構入り浸っていたのよ」


 そんな話をしながら、旧市街を歩いていく。少し歩くと、商店が立ち並ぶ地区に入っていく。ここの建物は正門と同じ、灰色の石で作られており、全体には少し重苦しい感じがする。だが、商店らしい建物は、カラフルな(オーニング)や木窓の下に花を飾るなどして、できるだけ明るい雰囲気を作るようにしているようだ。

 まだ、開店準備中なのか商品はあまり並べられていないが、本屋や文具、魔道具の材料などを売る店が多いようだ。


 更に進むと右手に石造りの立派な建物が目に入ってきた。

 周囲を板塀で囲まれ、門から中を覗くと、三階建ての建物と中庭のような広場がある。


「ここがティリア魔術学院よ。あそこで受付が出来るはず」


 リディが指差す先には、大きな立て看板があり、「受験受付」と書かれていた。


「普段はここで武器を預けるんだけど、受験期間中は付き添いの護衛もいるから、武器を持ち込むことができるのよ」


 よく見ると敷地に入るところに注意書きがあり、学院の門で武器を預けるよう書かれていた。


 俺たちは立て看板の指示に従い、建物の中に入っていく。

 既に受付らしいテーブルの前に十人ほどの受験者が並んでいる。


「向こうで待っているわ。係の人の指示に従えばいいだけだから」


 リディはそれだけ言うと、心配そうなガイの腕を取り、付き添いの待合室に入っていった。

 俺とシャロンは列の最後尾に並んだ。

 すぐに俺たちの番になり、三十代くらいの優しそうな女性職員が申請書類を渡してきた。


「名前、年齢、出身地、種族を書いてくださいね。もし、判っているなら、使える属性もその下に書いてください」


 俺とシャロンは渡された書類に必要事項を記載していく。


(全属性って書いてもいいのかな? 適性検査で調べると言っていたから、書いても問題ないか)


 書類を書き終わり、職員に渡す。

 俺の書類を見た職員の表情が一瞬固まり、俺の顔と書類を何度も見比べていた。


「えっと、ロックハートさん。ここに書いてあることは本当?」


 俺はあえて答えを外し、「はい。年齢はまだ十歳です」と頷く。


「ええっと……そうじゃなくて……全属性って書いてあるけど、意味は判っているわよね」


 動揺している職員に対し、「はい」と満面の笑みで頷く。


(やっぱり全属性持ちっていうのは珍しいんだな。どうせ、この後判るんだから、そんなに驚かなくてもいいような気がするんだが)


「……判りました。えっと、受験番号は五百二十五番です。順路に従って進んでください」


(五二五か。誕生日と同じだな。何か幸先がいい感じがする)


 そんなことを考えていると、シャロンの手続きも終わり、二人で順路を進んでいく。

 校舎の奥に進んでいくと、再び十人ほどの受験生の行列に出会った。

 二人でその後ろに並び、順番を待つ。

 並んでいると、ここでは魔法に対する適性検査をするとのことで、大人しく待つようにとの指示を受けた。


 受験生は一人ずつ部屋の中に入り、一分ほどで外に出てくる。

 十分ほどで俺の順番になり、部屋の中に入っていった。

 中にはオーブ――身分を証明する魔道具――を作った時に入った大きな木箱が置いてあり、その横には若い男性職員が立っていた。


「申請書類とオーブを見せてもらえるかな」


 職員に書類を渡し、オーブを見せる。


「ザカライアス・ロックハート君だね。ぜ、全属性!?……そ、それじゃ、この中に入って」


 ここでも全属性という文字に驚かれるが、それに構わず木箱の中に入っていく。

 中に入ると、すぐに蓋が閉められ、


「それでは測定を開始するよ。すぐに終わるから、じっとしているように」


 その声が終わると同時に、原色のレーザー光が体を走査していく。

 オーブを作ったときよりも短い二十秒ほどで光は唐突に消え、蓋が開けられる。


「こ、これで終わりだよ。書類を持って順路に従っていくように……それにしても本当だったとは……」


 職員は額に汗を浮かべ、動揺しているように見えた。


(全属性持ちは、かなり珍しいって聞いたが、それほど驚くことなのか? どうも過剰反応のような気がするんだが……それにしても、具体的には何を調べたのだろう?)


 シャロンが出てくるまで、外で待つことにし、その間に申請書類を眺めていく。

 俺が書いた申請書類には、赤いインクでチェックが入っていた。

 名前、年齢、出身地の他に、属性に関する箇所にも丸が打たれ、更に“再チェック完了”という文字が書かれていた。


(オーブで申請書類に書かれた本人か確認して、あの魔道具で属性を確認したのか。それにしても“再チェック”か……全属性だからなのかもしれないな)


 シャロンが出てきたため、彼女の書類を見せてもらう。

 彼女の書類にも俺の書類と同じようなチェックした跡があるが、再チェックという文字はなかった。


 順路に従って廊下を進んでいくと、教室のような机の並んだ部屋に到着した。

 中には三十人ほどの受験生が座っていた。

 四十代くらいの男性が入口に待っており、書類を見せるように言ってくる。

 書類を渡すと、


「自分の受験番号が書かれた席に着くように。席が埋まったら、試験に関する説明をするので、おとなしく待っていなさい」


 書類を返され、シャロンと自分の番号札が置かれた席に着いた。

 番号札は木製で裏にはピン止めできるように針がつけてある。


 俺は周囲を見回し、「教室か……懐かしい感じがするな」と呟く。

 俺は小学校の頃にあった木造校舎を思い出していた。


(使いこまれた木製の机と椅子。磨かれた床。少しがたつく扉……取り壊されたあの木造校舎を思い出すな。そうそう、床に木の節があって、時々、穴が開いているんだよな……窓がガラスだったら完璧なんだが……)


 この教室の窓は木窓になっており、今はすべて開け放たれている。


 十分ほどで定員になったのか、先ほど書類を確認していた男性職員が教壇に立っていた。


「皆さんの受験申請は正式に受理されました。試験は明後日、七月二十二日です。今持っている書類は後で回収します。代わりに机においてある番号札を持ち帰ってください。当日はオーブで本人確認を行いますが、我々に判るよう、その番号札を胸に付けて来るように……」


 職員の説明は簡単で、七月二十二日の午前九時にこの部屋に集合すること。試験は九時三十分からで、午前中に二教科、午後に三教科で、午後五時に終了すること。その際に番号札を胸につけてくること。筆記用具は学院が用意することなどだった。


「……当然のことですが、不正行為が行われた場合、魔術師ギルドは厳正に対処します。どのような身分の方でも、二度と魔術師ギルドと取引することはできなくなります。そのことを肝に銘じておいて下さい。これは脅しではありません。以前、ある国の公爵家の関係者が不正を行い、発覚しました。現在、その公爵家は魔術師ギルドとの接触は一切できません。ギルドに登録されている魔術師たちはすべて引き揚げさせています。もう一度言います。不正を行うつもりなら、それだけの覚悟をして下さい。以上です」


 最後はかなり厳しい口調で不正行為の禁止を訴えていた。


(それだけ入りたい学校ということなのか? 確かにティリア魔術学院を卒業しただけでも箔が付くと聞いたが……筆記用具を学院が用意するのもカンニング防止対策なんだろうか……)


 職員の話が終わると、受験生たちはゾロゾロと教室を出て行った。


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本作品とは毛色が違い、非転生・非転移ものですが、こちらもよろしくお願いします。
最弱魔術師の魔銃無双(旧題:魔銃無双〜魔導学院の落ちこぼれでも戦える“魔力式レールガン戦闘術”〜(仮))
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