第十五話「アウレラ街道」
七月十日。
三日間のペリクリトル滞在を終えた。俺たちは今日、ペリクリトルを出発する。
ここから目的地ドクトゥスまでは約二百km。かなり余裕を持った一日当たり二十五kmの移動でも八日間でドクトゥスに到着する計算だ。
受験の申請期限は七月二十一日だから、余裕を持った行程でも、三日前には到着出来る。
ペリクリトルからドクトゥスまではアウレラ街道を西に進むことになる。
アウレラ街道は全体で見れば、決して安全な街道ではない。特にドクトゥスの西側は魔物が跋扈する危険なところで、一流の傭兵が護衛につくほどの難所だ。逆にペリクリトルからドクトゥスまでは、見通しのいい平原地帯を行くため、かなり安全だと言われている。
だから今回は商隊に紛れることなく、四人で街道を進む計画にしていた。
午前八時。
薄曇りの湿った空気の中、宿泊していた“荒鷲の巣”亭の主人ヨアンに見送られ、宿を出発した。朝の混雑時間ということもあり、人や荷馬車でごった返す通りを西門に向かった。
西門を通り抜けてアウレラ街道に出ると、そこには荷馬車の長い行列が出来ていた。
ガラガラという荷馬車の立てる騒音が平原を響き渡り、その間を俺たちの四頭の馬が進んでいく。
俺は思わず、「さすがに凄い商隊の数だな」と声に出していた。
リディが俺に馬を寄せてきた。
「そうね。アウレラは商業の中心だから、カウムの金属製品、ラクスの食料、サルトゥースの工芸品なんかが集まっていくの。そして、そこからカエルム帝国の南部やルークス聖王国にも流れていくわ……」
ペリクリトルからアウレラまでは約八百km。その間は基本的には陸路しか輸送手段がなく、荷馬車による輸送に頼っている。
ファータス河の下流には大型の船が入れるため、水運という手もあるが、逃げ場のない狭い河で大型の水棲魔物と戦うことを嫌い、入ってくる船の数は少ないそうだ。
ペリクリトルからドクトゥス間の主要な都市は、五十km先にあるオートン、百km先にあるアーマスウェイトで、どちらもカエルム帝国の城塞都市だったところだ。
荷馬車の速度に合わせ、ゆっくりとしたペースで進み、何事もなく今日の目的である宿場町に到着する。翌日も曇り空だが、雨が降ることもなく、そして、トラブルに見舞われることなく順調に進み、今日の目的地であるオートンの街に到着した。
オートンの街の宿に入ると、商人たちがなにやら相談していた。
聞き耳を立ててみると、明日以降の天気が崩れるそうで、出発時間やその後の行程について話し合っているようだ。
雨が降ると荷馬車の運行に多少の影響はあるとは考えていたが、それほど深刻な話だとは思っていなかった。
そこで、ガイに「雨が降るって騒いでいるが、それほど大変なのか?」と聞いてみる。
「この辺りの雨はかなり激しいのです。激しい雨が降ると、ファータス河に流れ込む雨水で、街道が冠水してしまい、長いと三日ほど動きが取れなくなることもあります。商隊にとってはその分費用が掛かりますし、無理をすると街道で立ち往生ということもありえます」
地形的な問題なのか、夏のこの時期、アーマスウェイトからドクトゥスに掛けては、集中豪雨に見舞われることが多いとのことだった。
舗装されていない土の街道では、大雨で道がぬかるむと、荷馬車のスピードが極端に落ちる。
更に水はけが悪いところでは、道全体が大きな水溜りになり、荷馬車が道を外れて車輪を壊したり、馬が足を取られてケガをしたりするなど、かなり危険な状況になるそうだ。
「もしかしたら、ここで足止めされるかもしれないってことか……まだ、試験まで十日あるから、十分間に合うが、余裕がなくなるのは嬉しくないな」
リディも俺の意見に頷く。
「そうね。明日は無理してでもアーマスウェイトまで行っておいた方が良さそうね」
「私もリディアさんの意見に賛成です。明日の朝の天候を見て、アーマスウェイトまで行っておく方がいいでしょう」
ガイもリディと同じ意見のようで、明日は夜明けと共に出発し、五十km先のアーマスウェイトを目指すことになった。
翌七月十二日。
夜明け前に起床し、朝食を取りに食堂に下りていく。
商人たちも俺たちと同じ考えなのか、まだ薄暗い中、食堂はかなり混雑していた。
食事を取り、出発の準備を整えると、夜がゆっくりと明けていくが、黒い空が灰色になるだけで、一向に夜明けという感じがしない。
空を見上げると、雲は重く垂れ込み、南に見えるはずのポルタ山地は、灰色の雲に隠れていた。更に前方に見えるはずのサエウム山脈も同様に姿は見えず、時折西から吹く風には、にわか雨の後のような冷気が含まれていた。
俺が空を見上げていると、ガイが宿の前に馬を連れてきた。
「宿の主人に聞きましたが、この天候なら今日一杯はもちそうとのことでした。予定通りアーマスウェイトに向けて出発しましょう」
「そうだな。雨が酷いようなら、無理せず途中の街で泊ればいい。その辺りの判断はガイに任せるよ」
俺たちはまだ薄暗い中をアーマスウェイトに向けて出発した。
同じように早朝に出発した荷馬車たちが並んでいたが、軽装の俺たちはすぐに追い抜き、障害物のない街道を西に進んでいく。
何度か休憩を入れながら、正午前に中間地点にある街に到着した。
まだ、雨は落ちておらず、アーマスウェイトを出発した東向きの旅人たちに聞いても、雨は降っていないとのことで、俺たちはそのままアーマスウェイトに向かうことにした。
午後一時頃、ついに雨が落ち始める。
雨具を兼ねているフードつきのマントを羽織って、前方から来る荷馬車を避けながら、街道を西に進んでいく。
午後二時。
徐々に雨脚が強くなり、目を開けていることが難しくなっていく。
そして、街道の路面もぬかるみ始め、時折馬が足を取られるようになる。
通過した町から既に十kmほど進んでおり、目的地まではあと十五kmほど。順調なら三時間ほどで目的地に到着出来るが、雨脚が強くなっており、先に進むかの判断が難しい。
「ザック様、お疲れではありませんか? もし、お疲れのようなら、引き返します」
ガイにそう聞かれるが、雨の中で馬を操るため、精神的に多少疲れている程度で、体の方はまだ問題はない。だが、俺より体力のないシャロンの方が心配だった。
「俺は大丈夫だが、シャロンはどうだ?」
雨のため、額に髪の毛を貼り付けたシャロンは、「大丈夫です」と気丈に答える。
ガイが「皆に迷惑が掛かる。無理ならはっきりとそう言うように」と確認するが、首を横に振り、「大丈夫」と答えていた。
「では、予定通りアーマスウェイトに向かいましょう。多少遅くなっても構いません。疲れた場合や、馬に異常を感じた場合は、すぐにお伝え下さい」
俺とシャロンが頷くと、ガイはリディに声を掛ける。
「リディアさんは最後尾でザック様とシャロンの様子を見てください。異常があればすぐに止まります」
リディが頷くとすぐに馬に跨り、出発した。
雨脚は強まる一方で、マントの隙間から雨が入り込んでくる。油を塗り込み防水性を上げてあるはずの革のマントが、ぐっしょりと重くなっていた。
更に一時間進み、大きな木の陰で休憩を取る。
まだ、三時を過ぎたところだというのに、辺りは分厚い黒い雲のため、黄昏時のように暗くなっていた。
シャロンは体が冷え切っているのか、唇が少し紫色になっていた。大丈夫かと聞いても首を縦に振るだけで一切弱音を吐かない。
俺は水筒のハーブティを暖め、「体が冷えているから、これを飲んで」と言ってシャロンに手渡す。
小さく頷くと、水筒のお茶を飲み始め、少しだけ頬に赤みが戻っていた。
俺はその間に、「シャロンが心配なのだが」と小声でガイに確認する。
「大丈夫です。もし、足手纏いになるようなら置いていきます」
口ではそう言っているが、彼の表情の端々から娘を心配していることが垣間見える。
俺は自分の荷物を馬から降ろし、「シャロンの馬に俺の荷物を載せて、二人乗りでいく」とガイとリディに伝える。
ガイが首を横に振り、それなら自分の馬に乗せると言い出したが、
「俺の方が軽い。その分、馬に負担が掛かりにくいだろう。それにガイとリディは自由に動ける方がいい」
リディも仕方ないわねと賛同してくれたが、当のシャロンが納得しない。
「大丈夫です。ご迷惑は掛けませんから……本当に大丈夫なんです」
だが、どう見ても疲労のピークに達しており、あと二時間の騎乗に耐えられるとは思えない。
「駄目だ。あと二時間でアーマスウェイトに着くんだ。それまで、俺にしっかりと掴まっていてくれ」
半ば強引にそういうと、彼女は小さく頷いた。
馬術の練習のときに弟や妹がせがんできたので、二人乗りは何度かやっていた。だから、それほど苦手ではない。
俺が先に乗り、手を差し出すと、彼女は恥ずかしそうに「お願いします」と呟きながら、手を掴む。リディが「あらあら」と言いながら、笑っているが、ガイの表情がやや厳しくなっているような気がした。
(合理的な判断なんだが……とりあえず、ガイのことは忘れて馬の操作に集中しないと……)
シャロンが俺にしっかりとしがみついたのを確認し、再び街道に出て行った。
再出発したものの、雨脚は一向に弱くならず、バケツをひっくり返したような豪雨が続いており、マントのフードを叩く雨の音がうるさい。
街道は完全に水に浸かり、僅かに轍の間の盛り上がった部分の草だけが見えている。
既に前方から来る旅人の姿はなく、後ろから軽装の旅人が追い抜いていくだけ。
背中にシャロンの体温を感じているためか、濡れそぼった服も暖かく感じられていた。
途中で休憩を挟むが、シャロンの体調もかなり回復しており、顔色も赤みを完全に取り戻していた。
シャロンは「もう大丈夫です」と言ってきたが、「あと少しだ。嫌かもしれないが、我慢してくれ」と、再び二人で馬に乗るように伝えた。
午後四時を過ぎた頃から、雷鳴が響き始める。近くに森があるが、障害物の少ない街道では落雷の危険がある。
「雷が鳴っているが、どうする?」
俺がガイにそう尋ねると、
「まだ距離があります。それにこの辺りでは避難するところもありません。先を急いだ方が安全でしょう」
確かに稲光から雷鳴が聞こえるまで二十秒以上ある。だが、稲光は俺たちの進む方向、西から見えていた。
(今はまだ五、六km先だが、落雷は目的地近くで起きているんじゃないのか? それに雷雲の移動速度は結構速かったはずだ……と言っても、森に逃げ込んだ方が落雷の危険は高くなるし、ガイの言うとおり、先を急ぐしかないのか……)
午後五時半過ぎ、目的地アーマスウェイトに到着した。懸念していた雷だが、運がいいことに雷雲が北に去ってくれたため、危険を感じるまでに至らなかった。
アーマスウェイトの街は城塞都市だ。
この雨のため、俺たちが到着した東門にはほとんど人はおらず、すぐに入市手続きを行うことができた。
アーマスウェイトは人口五千人ほどの宿場町だが、以前はカエルム帝国の最前線の城塞だった。
周囲は一辺一kmほどで、カエルム帝国の標準的な城塞都市の大きさになっている。
城壁は高さ十mほどの石造りのもので、ところどころに尖塔があり、外から見ると本当に城にしか見えない。
街の中に入り、すぐに宿を目指した。
東西を貫く大通りを進むが、大雨のせいで人通りはほとんど無く、店舗も閉められている。
門衛に聞いたところでは、中心からやや北に行ったところに宿があり、今日は商隊の到着数が少ないため、どこも空いているだろうとのことだった。
雨の中、宿を見つけたのは、午後六時を回った頃だった。
宿に入ると、ようやく人心地つけ、ホッと息を吐く。
ガイが手続きをしている間に、俺はシャロンの様子を確認する。
「体調は大丈夫か? 寒気がするとか、熱っぽいとか、何か異常があれば、すぐに治してやるよ」
彼女は首を横に振ってから、少し恥ずかしそうに「ありがとうございました」と言って、ぺこりと頭を下げてきた。
俺は「気にしなくていいから」と手を軽く上げ、横にいるリディに話しかける。
「この分だと、明日以降も動けそうにないな。まだ、時間的には余裕があるが、ペリクリトルで時間を潰したのが悔やまれるな」
「ここからドクトゥスまでは百kmくらいよ。三日もあればつけるから、焦る必要は無いわ。それより、結構長いこと濡れっぱなしだったから、風邪を引かないようにしないと」
俺は「大丈夫だ」と答え、「治癒魔法で何とかできる」と笑う。
「そうね。あなたの治癒魔法って、不思議なほどよく治るのよね」
普通の治癒魔法は内科系の病気に対して効きが良くない。水属性の治癒魔法を使えば、風邪などもある程度治せるのだが、普通の治癒師では魔法を使うより、薬草を使った方が治りは早いと言われるほど効きが良くない。
俺の場合、人間の体の構造を理解しているからか、病気の原因を多少知っているからか、治癒魔法の効きがいい。風邪の場合は水属性魔法で血液中の免疫力を高めるイメージを与え、更に木属性魔法で喉や肺の炎症を抑えると、割と短期間で治ってしまう。
もちろん自分でも、医者でもない俺のイメージで治ることが不思議だと思っている。
だが、これには一つの仮説を立ててある。
魔法というのは、術者の魔力を精霊に与えて力を得ている。俺の場合、免疫力を高めるというイメージが、精霊の力を魔力=生命維持力として直接患者に投与している可能性があると思っている。すなわち、生命維持に必要な魔力を点滴のように直接体に注入することにより、体調が良くなっているという考えだ。
俺自身、病気に対する抵抗力が強いため、寝込んだことはないから判らないが、MPというのは病気にかかることにより低下するのではないかと考えている。
「風邪はともかく、疲れたから早く着替えたいところだな」
ガイが手続きを終えて戻ってきた。
「夕食はすぐ食べられるようです。やはり、宿泊客は少ないようですね」
そう言うと、俺たちに部屋の鍵を渡して、馬を厩に連れていくため、外に出て行った。
俺たちは部屋に入り、ようやく濡れた服を着替えることができた。
翌七月十三日。
いつものように夜明け前に目覚めるが、木窓を叩く雨の音が聞こえていた。
どうやら、昨日の雨が降り続いているようだ。
いつものように裏庭に向かうが、雨脚は昨日よりやや弱まったものの、出発できるほどではない。
(今日はここで足止めだな。まあ、昨日無理をしたから休養をとってもいいか)
俺は雨の中で素振りを行う。
ロックハート家では雨でも朝夕の鍛錬は欠かさない。
革のロングパンツが濡れると手入れが面倒なため、布のものに着替えて外に出る。雨の中ではすぐにずっしりと重くなるが、夏の雨と言うこともあり、寒さは感じない。
足元、手元が滑るため、いつも以上に慎重に素振りをしていく。
食堂の窓から、何人もの宿泊客が物珍しそうに俺たちを見ている。物好きな奴だとでも思っているのだろう。
さすがに雨の中で模擬戦は危険なため、ガイと二人で素振りを行っていた。シャロンも加わろうとしたが、ガイが昨日の疲れを考えて止めさせていた。
濡れた服を着替え、朝食を取りにいく。
途中でガイが宿の主人に今日の天候を確認していたが、やはり今日一日はこのまま降り続くという予想だった。
四人で朝食を取りながら、今日の予定を話し合う。
「今日の出発は見合わせましょう。昨日からの雨で街道は酷い状態になっているでしょうから」
ガイの意見に俺とリディも頷く。
俺はこれからどうするか、三人に意見を求めた。
「そうだな。この雨の中だと街の見物もできないし、店も閉まっているだろう。ギルドの訓練場を借りて訓練をするか、それとも一日休養するか」
「そうね。普通の受験生なら宿に篭って勉強するんだろうけど、あなたたちに限ってはその必要も無いし……私は宿でゆっくりするわ」
リディは一日、宿でゴロゴロするつもりのようだ。
リディは体を動かすことがあまり好きではない。その割に結構な量を食べているのだが、全く太る気配が無い。ペリクリトルの街で見たエルフも、皆スリムだったので種族的な特性なのかもしれない。
ガイは「私は体を動かしに行きます」と答え、シャロンも頷いている。
俺もそれに付き合うことにし、朝食後、マントを羽織って雨の街に出て行った。
ちなみに濡れたマントや服などは、俺とリディが魔法で乾かしていた。害虫駆除用に考えた温風魔法なのだが、衣類乾燥にも使え重宝している。
アーマスウェイトの冒険者ギルドは街の中心近くに、傭兵ギルドと並んで建っていた。
訓練場はそのすぐ裏手にあり、既に何人かの傭兵や冒険者たちが訓練に汗を流している。俺たちも蒸し暑い訓練場に入り、久しぶりに本格的な訓練に汗を流す。
そんな中、一人の傭兵の姿に眼を奪われた。
その男は三十代半ばの人間だが、二m近い巨漢で、それに見合った大型の両手剣を手にしていた。横には仲間らしいエルフの男性がおり、時折二人で模擬戦を行っている。
その男は巨体にも関わらず、動きは鋭く正確だった。祖父の剣速も速いが、それを遥かに上回る速度で振られた剣は、十m以上離れたところからでも風切音が聞こえるほどだった。
横にいるエルフは飄々とした感じだが、その手に持つサーベルの動きは祖父に匹敵するほどの腕に見える。
俺は思わず、「あの二人は凄いな」と呟いていた。
ガイも俺と同じ感想を持っていたのか、「世の中は広いですね。先代様以外であれほどの使い手がいるとは思いませんでした」と賞賛していた。
(ドクトゥスの西は危険な地域だから、一流の傭兵を雇うと聞いた。その傭兵なのかもしれないな。それにしても、名のある剣術士なんだろうな……もう少し、俺に腕があれば教えを請いに行ったんだが、今の俺の腕では教えを請う資格すらない)
俺たち以外にもその二人に気付いたのか、何人かが話しかけていた。
二人は煩わしいと思ったのか、三十分ほどで訓練場を出て行った。
「もう少し見たかったんだが……きっと名のある傭兵なんだろうな」
結局、彼らの名は判らなかったが、彼らは俺に強烈な印象を残していった。
正午前に訓練を切り上げ、一旦宿に戻る。そして、昼からも訓練に時間を費やしていった。
翌日も雨は降り続き、更に二日経った七月十六日の夜になって、ようやく雨が止んだ。
(暖かい海も遠いし、山に囲まれている盆地に近い地形だ。この地形なら長雨が降ることはないと思うんだが……地図がいい加減なのか、それとも地球とは異なる要因があるのか……どちらにしても、明日には出発できる。急がずに進んでも四日、期限の前日、二十日にはドクトゥスに到着できる)
翌日の七月十七日。
朝から青空が広がり、俺は五日ぶりに太陽の光を浴びた。
その日の街道はぬかるみ、順調とは言い難かったが、翌日以降は天候も完全に回復し、翌々日の七月十九日、俺たちは学術都市ドクトゥスに入ることができた。




