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第186話 圧倒的なる破壊者たち

 アリアが西門を防衛していた頃。クロノスは東門へと向かっていた。彼女もニーアの伝達石で状況を把握しており、門を守るために行動していた。


「全く。ずいぶんと酷い状況ですね」


 東門付近では、既に何十体もの偽熾天使(フラウド・セラフィム)が暴れまわっており、兵士たちの死体があちこちにある。王都の中央へ向かう天使も数多くおり、西門よりも酷い防衛状況となっていた。


「面倒ですが、カイツ様に負担をかけるわけにもいきませんし」


 自身の周囲に青い火の玉をいくつも生み出していく。


「クリエイション!」


 火の玉は黒い槍へと変化し、一斉に撃ち出されて天使たちを貫いていく。


「Aaaaa!」


 何体もの天使たちが一斉にクロノスめがけて襲い掛かってくる。


「邪魔ですよ。消えろ!」


 そう言った瞬間、天使たちの肉体は煙のように消えてしまった。


「ほんと、めんどくさい敵たちですね!」


 彼女は青い火の玉を周囲に展開していく。


「スピリットショット!」


 火の玉から放たれたレーザーが何十体もの天使たちを一斉に貫いて殺していく。そのまま攻撃しながら壁の外へ出ると、外も惨憺たる状況だった。門を守る兵士たちは皆殺しにされており、防衛は機能してないも同然だった。前方には何百体もの偽熾天使(フラウド・セラフィム)が向かってきている。


「……はあ。本当に酷い状況ですね。まあどんな状況でも、私はやれることをやるだけです」


 彼女は再び、自身の周囲にいくつもの青い火の玉を生み出していく。


「人がいなくて良かったですよ。一々手加減する必要もないですから」


 火の玉は黒い槍となって一斉に放たれていく。侵攻してくる天使たちを貫いて殺していくが、その勢いは衰える様子がなく、武器の数も足りていなかった。


「ちっ。無駄に数が多いとこうなるから嫌なんですよ。これでどうですか」


 彼女は火の玉から黒い狼を何匹も作り出し、それを向かわせていく。狼は天使たちの肉を食いちぎって殺し、縦横無尽に動き回っていく。天使たちも狼を殺そうとするも、動きの素早さについてこれず、反撃が遅れていた。


「魔術結界内ではないので威力は低いですが、あなたがたのような雑魚ならこの程度で十分ですね」


 彼女は追加で何匹もの黒い狼を生み出し、追加攻撃をしていく。天使たちは狼によって徐々に数を減らしていき、十数分も経つ頃には1体もいなくなってしまった。


「この程度の数なら、どうとでもなりますよ。さて。あの女はどんな褒美を与えるのでしょうかね」






 南門。そこではニーアが門と兵士たちを守りながら天使たちを殺していた。


「崩衝大時雨!」


 上空に緑色の巨大な魔法陣が出現し、そこから緑色のレーザーが雨のように降り注ぎ、100体以上の偽熾天使(フラウド・セラフィム)たちを消し炭にしていく。天使たちも負けじと彼女に近付いていくが。


「崩衝波動!」


 消滅の力をまとった衝撃波が飛び出し、近づいた天使たちは跡形もなく消滅する。


「全く。カーリーもこんな数の偽熾天使(フラウド・セラフィム)をどこから調達したのやら」


 彼女は愚痴を言いながら、何十発ものレーザーを放って天使たちを消し炭にしていく。攻めてきている天使の数は数百体ほどいるが、それらは門前に着く前にすべて消滅していった。兵士たちはその光景を唖然としながら見ている。


「な、なんつう化け物だよ。こんな威力の魔術をポンポンと」

「やっぱ、ヴァルハラ騎士団ってすごいなあ」


 彼らは棒立ち状態で観戦することしか出来ない事実に、情けなさよりもニーアへの、騎士団への恐ろしさを強く感じていた。やがて、数分も経つ頃には全ての天使が全滅していた。


「さて。これで急場は凌いだか。問題は北門の方だが、あの審判者(ジャッジメント)はどれほどのものなのだろうな」






 北門。そこではバルテリアが何百体もいる天使たちの侵攻を前に、仁王立ちしていた。


「さて。美しき百合の花を脅かす下劣なる兵器。前の時みたいに殺すのも良いが、せっかくだから俺の全力をプレゼントしてやるよ!」


 彼が指を鳴らすと、緑の粒子が体から溢れ、それが形を作っていく。それは黒い筒が束ねられたような形となっている武器だった。筒の先端は穴が空いており、反対には持ち手がある。近くにいた兵士がその武器に疑問を抱いて質問してきた。


「バルテリアさん。その武器は?」

「こいつはガトリングガンといってな。別世界の知識を元にして生み出した武器だ。危ないから離れてろよ。こいつの威力は凄いからな」


 彼が穴のあいた方を敵の方に向けて持ち手を握る。


「距離200メートル。そろそろだな。ファイア!」


 そこにあるスイッチを押すと、ドドドドド、とバカでかい音を鳴らしながら、穴から大量の弾が放たれていく。弾は天使たちの体を紙切れのように貫き、その白い体を真っ赤に染めていく。その威力は凄まじく、天使たちはただの的にしかなっていなかった。


「ひゃっほーーーい! やっぱりこういう武器は最高だな。男の武器はこうでないと!」

「な、なんて威力だ。弓や大砲とは比べ物にならないぞ」


 兵士たちはその圧倒的な武器の威力に恐怖を覚えていた。自分たちの知らない未知の武器。それを扱う騎士団の人間。兵士たちはバルテリアが仲間であることに心から安堵した。


 天使たちの数は減っていたが、途中でガトリングの弾が尽きてしまった。


「おっと。もう尽きちまったか。なら今度はこいつだ」


 彼はガトリングガンを捨て、新たに服のポケットから青いビー玉のようなものを取り出した。


「ウェポンオープン」


 玉を投げてそう言うと、玉が光を放ち、新たなる形へと生まれ変わっていく。現れたのは4門の巨大な鋼鉄の大砲へと変わった。


「ば、バルテリアさん! それはなんですか」

「こいつはブラスター砲。俺様のとっておきの兵器だ。さて。これで片付けようか!」


 4門の大砲から巨大な光の砲弾が放たれる。それが天使に着弾した瞬間、超巨大な青い爆発が天使たちを包み込んだ。その爆風と衝撃波は遠くにいた兵士たちにも及んだ。


「おわあああああ!?」

「なんだこの威力は! まさか、これは魔術なのですか?」

「魔術じゃねえ。技術だ。これらの武器は、別のミズガルズを元にして生み出したんだよ」

「別の……ミズガルズ?」

「おうよ。ヘルヘイムやアルヴヘイムが複数存在するように、俺たちが今いる世界、ミズガルズも複数存在しているのさ。俺の魔術、世界図書館(ワールド・ライブラリ)は全てのミズガルズの知識を得ることが出来る。さっきの武器は魔術ではなく、技術が発展した世界の知識を元にして生み出したものなのさ」

「な……なるほど」


 兵士はとりあえず相槌を打ったが、話の半分も理解できていなかった。


「さて。これで鬱陶しい天使共は全滅したか」


 彼が爆風の止んだ先を見つめると、大量にいた天使たちは1体もおらず、砲弾によってできたクレーターがいくつもあった。


 こうして、四方から侵攻してきた天使たちの脅威は消え、王都ヴァルハラには一時の休息が訪れた。




 そして、その光景を見つめる貝殻水着の青い天使が1人。


「素晴らしい。これこそが人間たちの力。異なる種族の者と協力し、脅威を退けるあの姿こそ、私が見たかったものなのだ。ああ、やはり試練に立ち向かう人間というのは、この世の何よりも美しいな」


 彼女はうっとりとした顔をしながら王都にいる人々を見つめていた。そんな彼女を茶髪に青い瞳の女性、ミルナは少し引いた感じで見ていた。


「ほんと、天使ってのはよく分からない性癖してるにゃんね。気持ち悪いにゃん」

「酷いことを言うねえ。それで? 例の改良品はまだ使わないのかい?」

「まだ使わないにゃん。あれを使うのはヴァルキュリア家が本格的に攻めてきたときにゃん」

「そうか。人間よ。お前たちには更なる試練が待ち受けている。心せよ。ふふふふふ、試練に苦しみ、あがく姿を見るのが楽しみだよ」



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