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26 咲坂家でのお昼ご飯

会話が並んでいますが、下地になります。

普段はここに手を加えて、添削して分割して、さらに説明や状況の展開を加えて話を作成していきます。

執筆過程をご覧いただくのも珍しいと思い、公開投稿してみました。

「こんにちは。お部屋の案内が終わったので、優くんを連れてきました」


 怜良が玄関から声をかける。


「あら、やっと来たわね。こっちへどうぞ」


 優たちがリビングキッチンに入ると、すでにたくさんの料理が用意されていた。


「よくきたね。お腹が空いただろう。昼ご飯にしよう」

「うん! ありがとう」

「怜良さんも一緒に食べよう」

「ありがとうございます。ご馳走になります」


 咲坂家が全員集まり、食事を始めた。


「おいしい! この天ぷらおいしいね。かぼちゃ好きなんだ」

「優はかぼちゃが好きか。天ぷらにするのがいいのか?」

「うん。天ぷら大好き」

「そうか、他の天ぷらも食べてごらん」

「うん。山菜の天ぷらもおいしそう。あ、菜の花の天ぷら取って」

「ほれ、食べてみろ。ここは野菜ならいくらでもあるからな。いつでも天ぷらにしてやろう」

「うん、ありがとう」

「食事はこれからも変わらないんだろう?」

「ええ、私が用意して優くんと食べることになっています」

「たまにはうちに食べにおいでよ」

「はい、その機会を多くとるつもりです。他の家にもお呼ばれすれば、積極的に伺う予定でいますよ」

「そうだな、みんな優を家に呼んでご飯を食べさせたいだろう。みんなに声をかけておくから、呼ばれたら行ってくるといい」

「うん。楽しみにしてるよ。早く村の人たちと仲良くなりたいしね」

「結構子供がいるから、仲良く遊んでやるといいぞ」

「うん、八弥も一緒に遊んであげるよ」

「やったー」

「あ、太巻き取って」

「私が取ってあげるわ」

「ありがとう。おいしい。かんぴょうの味がちょうどいいよ」

「優はちょっと年寄りに好みが似ているわね」

「そう? 大人びているって言って」

「優は四歳の頃から大人びていたから、もうじじいかな」

「ひどいよ。まだぴちぴちだよ」

「ぴちぴちだよー」

「わっはっは」


 咲坂家と優と怜良。

 これからの新しい生活だ。


「優、家はどうだったんだい。やたらと大きな家を建てていたが」

「そうよね、なんか警備のために大きな家にしたとか聞いてるわ」

「始めはどんなビルが建つのかと思うくらい、派手に工事してたからな。そこらじゅう掘返していたから、湖でも作るのかとみんな本気で思ってたぞ」

「あの敷地のために、何軒か土地を入れ替えたのよ」


 みんなあの家の大きさに関心が大きいみたいだね。

 しかも敷地面積が前世の学校の何面分くらいもあるらしい。前世の大きな大学の敷地よりも大きいと思う。建物もいっぱい。飛行機の発着もするらしいし。この世界の飛行機は滑走路はいらないみたいだけど。


「いま見てきたばかりだから、まだよくわからないんだけど、沢山の人が出入りするみたいだね。賑やかになるよ」

「ああ、そのことは聞いてるよ。優は頭がいいし、何か特別扱いらしいね」


 ユリばあさんがそう言う。


「うーん、どうも特別扱いらしいね。さっきすごく背の高い人たちがいて、警備の人だって。みんなもこれからよく会うんじゃないかな」

「すっかり優は大物になって帰ってきたな。まだちびっ子なのに」


 巴がからかう。


「僕は前から変わらないよ。でもこれからこの村で生活するから、いろいろ教えてね」

「もちろんだ。優は今後の予定を立てているのか」

「ここに来るまでに、水泳と習字と外国語と、高校生の勉強は終わったよ。続けるのは発声練習だけだね。でもここで何をするかは、まだ決めてないんだ。今までは限られた区画に住んでいたから、いろいろ見て回りたいな。お花見も楽しみだったんだ」

「もうすぐ見頃だから花見をしよう。その後は、まずは村の探検だな」

「うん。村の人に挨拶にまわらなきゃね。二十世帯だから、後で連れていってもらっていい?」

「ああ、私が連れていってやろう。みんな楽しみに待っていたからな。彩たちの案内じゃ、引き留められて今日中に帰ってこれないだろう」

「そんなに?」

「そんなにだ」

「優はこの村ではスターだからな」

「そうね、その表現がピッタリな感じよね」

「直に男の子を見るのは滅多にない経験だから、なおのこと注目を浴びるな」

「この村に男の子が住むから、男性保護官を志望する者が増えるんじゃないか」

「そうね、身近に見るようになったら、仕事に選びたくなる子も多いわねきっと」

「優の家には男性保護官がたくさん出入りするだろうから、それも影響があるな」

「そういえば優の家の名前って、男性保護局の名前よね」

「うん、そうだよ。正式には内閣男性保護局第三十八支部第四市出張所って言うんだって。だからあそこは家じゃなくて保護局の事務所なんだよね。そこに間借りしてる感じ」

「居候する家にしては立派すぎるな」

「今度皆さんでいらしてください。自由に出入りすることはできませんが、時々ならご案内できますから」

「それは是非見てみたいな。村のみんなも見ることはできるんだよね?」

「ええ、数世帯ずつになりますが、中をお見せすることができますから順次ご招待しますよ。お見せできない場所も多くありますが」

「ああ、みんな喜ぶよ。新しい施設は謎が多いから、少しでも見れば安心するだろう」

「はい。皆さんにご心配をおかけしていますから、交流を積極的に行っていくつもりです」

「そうしてもらえると有難い」

「あの家は僕もびっくりしたから、みんなもびっくりするよきっと」

「そんなに変わってるのかい」

「うん。ここに来るまでは普通の一軒家があるのかと思っていたからね。こぢんまりとした家で怜良さんと静かに暮らすと思ってたよ」

「そりゃあ、想像と違い過ぎただろう」

「うん。自分たちの部屋に入るまで、家に来たのを忘れてた。玄関に入ってあんなにほっとしたのは初めてだったよ」

「わっはっは」


 和やかな時間が続く。咲坂家にとって、ようやく施設の様子が少しわかってきて安心した。


「怜良さん、あの背の高い人たちって、どの位いるの?」

「あの人たちはここの専属警護隊よ。今のところ百名位よ」

「そんなにいるんだ」

「ええ。でも交代で警備についているから、それでも最低限の人数よ」

「そっか。住み込みなんだね」

「ええ、そうよ。ちゃんと宿舎があって、生活の面倒を見る人たちも住んでいるわ。訓練所もたくさんあるから、今度案内するわね」

「それはすごいね! 見てみたい」

「優くんはそういうの好きなのね」

「うん。強い人って憧れちゃうよ」

「お、優は強い人が好きか?」

「うん、怜良さんが力持ちだから、いつもすごいって思っちゃう」

「それじゃあ、あたしももっと鍛えなきゃな」

「巴さんは、もう強そうだよ?」

「いや、まだまだだ!」

「あんた、もう五十になるじゃないか。無理してケガしなさんなよ」

「まだまだ現役だよ!」


 巴はちょっとお調子者である。


「あの警護隊の人たちと怜良さんて、どっちが強いの?」

「あの人たちは警護官というのよ。私たち男性保護官は保護局に所属しているけれど、警護官は内閣全国警護隊の所属だから、想定している状況が違うのよ。私たちは単独での行動、彼らは集団での行動を予定しているから、その違いがあるわ。でも訓練は共通している部分が多いから、力量は似ていると思うわ。ここに配属されている警護官は一等警護官と特等警護官が中心だから結構優秀よ」

「へえ、そうなんだ。みんな大きいよね」

「背が高いと有利なことが多いからね。でも状況によるわ」

「そうなんだね。僕が大きくなったら、一緒に鍛えたりできるのかな」

「優くん、もしかしてあんな風に強くなりたいの?」

「うーん、ちょっと憧れちゃう」

「そうね。訓練に少し参加すること位ならできるわよ」

「じゃあ、ちょっとずつ参加してみたいな」

「水泳練習がなくなったから、少しならいいかもね。訓練じゃないけど、今度あの人たちの野球を見てみましょうか」

「え、野球もやるの? 見てみたい!」

「それは私たちも見てみたいね」

「そうですね、交流の一環として、村の皆さんにも見てもらったり参加してもらったりできるよう検討しておきますね」

「それはみんな喜ぶよ。スポーツが好きな者も多いからね」

「ここの隊員の野球は結構レベルが高いと思いますから、見ていて面白いと思いますよ」

「さすがだね。体力があるならそうだろうね」

「他にも色々なスポーツをしていますから、できるだけ公開できたらいいと思います」


 怜良がこの拠点の最高責任者であることは、まだみんな知らない。まさか怜良が男性保護局の実質的な現場最高権限者であるとは夢にも思っていない。優でさえ。みんな怜良は優の専属保護官であるとしか思っていない。責任者は出張所長だと思っている。日常の雑務は所長にさせて、怜良は優のそばにいるため、怜良が責任者として村人の前面にでることが少ないからだ。


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