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正義のヒロインは魔王様!?〜巫女見習いと元魔王が紡ぐ絆物語  作者: 石島マコト
第3章

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第039話 その輝きの裏で

 Gracie(グレイシー)Stella(ステラ)のミニライブを観た翌日。トモちゃんとの話題は決まっていた。


「マオ! 昨日のライブ、ちゃんと観た!?」

「うん! 初めて観たけど凄かった!」

「でしょ? 良かったっしょ?」


 以前のトモちゃん同様、私もアイドルにはあまり興味がなかったけど、正直ハマってしまったかもしれない。


「そう言えばトモちゃんは誰がお気に入りとかあるの?」

「アタシ? アタシはセンターの愛奈かなぁ」


 やっぱり一番目立っているから、なのかな? まあ普通はそうだよね。ルーシーさんの視点がおかしいだけだよね。


 だけど、トモちゃんの理由は違っていた。


「確かにセンターだし、一番目立ってるんだけど、そこじゃないっていうか……」

「え、違うの?」

「『なんでセンターに選ばれてるのか』って言えばいいのかな? ゴメン。上手く言えないわ」


 センターに選ばれている理由? それはネットでも書かれていた通り、「天性のアイドル性」があるからじゃないのかな?


「うーん、なんて言えばいいんだ? みんな愛奈のこと『天才』って言ってるけど、実はそうじゃない感じがするっていうかさー」


 トモちゃんが言いたいことはなんとなくだけど伝わった。でも同意はできなかった。私の目にはやっぱり愛奈さんは『天才』として映っていたから。


「マオはやっぱ艶美?」

「うん。でもやっぱりってどういう……」

「だってマオは目に見えて努力してる人がいたら絶対応援したくなるタイプっしょ?」


 それはそう。でもそれってみんなそういうものじゃないのかな? 頑張っている人がいたら応援したくなるよね?


「トモちゃんはそうじゃないの?」

「アタシも応援はするよ。現にマオのこと応援してるし」

「えっ!? わ、私?」


 急に話題に出され、思わず声を上げてしまった。少し裏返っていたかもしれない。


「……似てんのかもね、マオと愛奈」

「へっ?」


 思わぬ言葉にまたまた情けない声が出てしまった。私なんかがあんなにキラキラと輝いている愛奈さんと似ているはずがない。なのにトモちゃんは何を言っているんだろう?


「ま、どっちも思わず応援したくなるってことで」


 どういう意味なのか気になったから深く追及してみようと思ったけど、上手くはぐらかされてしまった。やっぱりトモちゃんには敵わない。




 放課後。体調も良くなったので今日から神社にも復帰。社務所に入ると、休憩室で話す男女の声が。古都音さんと瞬さんだ。


「あんた、ふーちゃんの次はグレステ? 節操ないねぇ……」

「そんなんじゃないんだ! ふーちゃんはふーちゃん、グレステはグレステでまた違う魅力があって……!」


 大食い系動画配信者(ストリーマー)の風茉さんにハマっていた神主・瞬さん。今度はグレステにハマっているみたい。

 それにしても、瞬さんのあの慌てぶり、まるで彼女に浮気がバレた時に言い訳をしている男の人みたい。実際に見たことはないけど、なんだかそんなイメージ。


 二人のやり取りを尻目に、私は更衣室へ。数日ぶりに巫女装束に袖を通し、気を引き締める。よし、今日も頑張らなくちゃ! そんな気持ちが湧いてくる。


 竹箒を持ち、境内の掃除へ向かう。今日も境内に人は少ないみたい。


 ――でも一人、すごく目立っている人物がいた。


 ニット帽にサングラス。マスクにマフラー。ロングコートに身を包み、おまけに足元はロングブーツ。まるで真冬のような格好。しかも全身黒尽くめ。明らかに悪目立ちしている。


「あ、怪しい……。あまり人を見かけで判断しちゃいけないけど、あの格好はさすがに怪しすぎるよ…………」


 よく見るとキョロキョロと周囲を警戒するような素振りもしている。ますます怪しい。


「も、もしかして賽銭泥棒!? でもこんな白昼堂々、見るからに怪しい格好でやって来るかな……?」


 どうすべきだろう? 声をかける? それとも誰か大人を呼んでくる? だけど目を離した隙に悪事を働かれたら? 考えがぐるぐると頭の中を巡る。


 でも黒尽くめの人物をよく見ると、絵馬掛けの前でキョロキョロと辺りを見回していた。もしかしたら絵馬の扱いに困っているのかもしれない。


「……よし!」


 ここはこの神社の人間として力にならなくちゃ。例え格好は物凄く怪しくても、参拝客みたいだし。


 とは言えやっぱり少し怖い。私は恐る恐る、ゆっくりと近付いた。


「あ、あの〜、何かお困り事ですか?」


 ――ビクッ!


 まさか声をかけられるとは思っていなかったのか、黒尽くめの人物は明らかに動揺する素振りを見せた。そして手に持っていた絵馬を落としてしまった。


 急いで絵馬を拾おうとした私。だけど拾えなかった。私の手が絵馬に触れるより先に、彼(?)の手が絵馬を掻っ攫ったから。まさに目にも留まらぬ速さだった。


「……み、見た?」

「えっ!?」

「絵馬の内容! 見たかって訊いてるの!」


 綺麗で澄んだ声。今まで性別がわからなかったけど、ようやくわかった。この声だけで、若い女性だと。


「い、いえ……。よく見えませんでした……」

「そう……。ならいいわ」


 言い終えると黒尽くめの女性は両腕で包むように絵馬を抱え、走り去ってしまった。


「あっ……! 絵馬はちゃんと神棚とかに飾ってくださいねっ!?」


 走り去る背中に語りかけた。ちゃんと聞いてくれているかはわからないけど……


「…………」

『どうした?』


 女性が走り去った方向を見ながら立ち尽くす私の頭の中に声が響く。


「……そんな、まさか……」

『舞桜?』


 ニット帽とマフラーの間から見えたライトブルーの髪。そして透き通った綺麗な声。あれは――


「艶美さん……?」

『なに?』


 ライブ配信を一度観ただけの、まだにわかファンとすら呼べないくらいの私。そんな私でもわかった。わかってしまった。信じたくはなかったけど、彼女がGracie☆Stellaのメンバー・志藤艶美さんだと。なぜなら――


「『愛奈を蹴落とせますように』……」


 彼女が落とした絵馬には、そう書かれていたのだから。

お読みいただきありがとうございました。

次回、第40話は5/21(木)投稿予定です。よろしければまたお読みください。

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