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トール·エヴァンス

トール·エヴァンス。彼はエヴァンス侯爵家の嫡男だ。彼には昔から心配な存在がいる。それは従妹のエイミー·サーフローのことだ。


父親の妹の子どもで伯爵令嬢の彼女は類稀なる容姿が災いして、茶会で子息や当主から声をかけられ続けている。

どんなに冷たく対応しても、彼女に声をかける輩は後を絶たない。

彼が同じ茶会に参加していればいいのだが、そうもいかない。

茶会になんか参加しなければいいのに…と彼は何度も思っただろう。


彼が彼女に対する感情を表すならば

『妹を溺愛する兄』


だろう。

エイミーの相手は俺が認めた奴でないと駄目だ!と意味不明なことを言っている。



そんなある日だった。


「坊ちゃま、旦那様がお呼びです。」


執事に声をかけられ、父親の元へ移動する。


「父上、お呼びですか?」

「トールか。入りなさい。」


彼が応接室へ入ると父親の姉であるフォルト辺境伯夫人がいた。


「伯母上、ご機嫌麗しゅう。」

「トール。ご機嫌よう。」

「座ってくれ。実はな、嫌な噂を耳にしてな…。」

「私もそれで王都へ来たのよ。」

「父上、伯母上、嫌な噂とは?」

「エイミーの婚約者が決まるという噂よ。」

「しかも、ガーランド侯爵の嫡男だ。」

「ど、どういうことです!?エイミーは伯爵家の次期当主ですよ?嫡男と婚姻できるわけ…」

「あの男はエイミーを体よく追い出して、連子という名の実子に伯爵家を継がせようとしているんだ。」

「実子…?

あの女が…?アメリア?でしたか?つまり、叔父上はずっと…」

「そうだ。あいつは上手く隠していて尻尾を掴めなかったが、容姿がそっくりだからな。

後妻を迎える前にこちらになんの相談もなかったのは連子ではなく隠し子だったからと結論付けた。」

「トール、最近エイミーはどう?私は手紙でやり取りしている分には問題なさそうだけれど…」

「今日もサーフロー家へ行きましたが茶会で声をかけられことが多くて疲れている様子以外は…」

「そうか…真相は調査中だがホーキング侯爵が急に明日面会を求めていてね。ジャックが帰ってきたのだろう?あちらもこの噂を掴んでいるのだろう。」

「そういえば、ジャックはやる事があるから、急遽帰ってきたと…」

「では、フォルト辺境伯として姪を護るために動くわ。」

「姉上、やりすぎないように。」

「あら?貴方だって、可愛い妹の子どもであるエイミーを護りたいでしょ?一緒よ。」

「父上、伯母上、僕にできることは?」

「お前は学院でエイミーを護るんだ。」

「学院には私達は干渉できないし、ガーランドの嫡男との接触は可能な限り抑えなさい。」


彼は父親と伯母の言いつけ通り、学院ではエイミーといることにした。

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