幼馴染と従兄
彼女の名前はエイミー·サーフロー。この国の伯爵家の長女である。
エイミーは人よりも容姿が恵まれていた。父親譲りのプラチナブロンドヘアに亡き母親譲りの宝石のような碧眼。
お茶会に参加すると毎回
「君、可愛いね!どこの令嬢だい?」
「婚約者はいるかい?うちの息子は…」
と貴族当主や子息たちに声をかけられる。
「申し訳ございません。」と冷ややかな空気を纏って言い放ち、何度も逃げている、苦労人だ。
エイミーはこれだけ断っていれば、男は寄り付かないと思っているが、その容姿のよさ故に
"クールビューティー"となってしまい、ますます、拍車をかけていたことに気がついていなかったのだ。
「エイミー、どうかしたのか?」
「ああ、トール…」
屋敷の庭の四阿で項垂れていた彼女に声をかけてきたのはトール·エヴァンス。彼女の従兄の侯爵子息だ。同い年の彼は母親の兄の子どもで、よく屋敷に遊びに来ている。
「元気ないな?なんかあったんだろ?」
「また、お茶会で声をかけられて…それに、いろいろ疲れてしまったの…」
「またかよ…お前、本当にモテんのな…。」
「モテたくてなってるわけじゃないわ…
皆、私の容姿しかみてないのが丸わかりだもの!もう、社交したくないわ…」
そんなとき第三者の声が聞こえた。
「エイミーは可愛いから仕方ないよ。」
「「ジャック!」」
来たのは留学していた三つ年上の幼馴染のジャック·ホーキング侯爵子息だった。
「エイミーは昔から可愛いからね。俺やトールがいないと誰かに取られる。」
「??」
「ジャック、いつ帰ってきたんだ?」
トールが問うとエイミーも問いただす。
「そうよ!手紙にも何も書いてなかったし、帰ってくるなら、教えてよ!」
「さっきさ。ごめんね。こっちでやる事ができたから、留学先の学業をスキップするのに忙しくて連絡しそびれたんだ。」
「やる事?」
「それはまた説明するよ。これから取り掛かる予定なんだよ。」
「予定って何だよ?」
トールがジャックに問いかける。
「それは今は言えない。ただ、トール。お前にも若干関係するとだけ伝えておこう。とりあえず、エイミー、お茶貰える?」
ジャックは当然のようにエイミーの横に座わる。
「おい!何でエイミーの横に座るんだよ!」
「だって、向かいはお前が座ってるだろ?男の横に座るとか…」
「エイミーの横もおかしいだろ!?」
「そうか?エイミーは俺が横に座るの嫌かい?」
ジャックはエイミーを見つめる。
「あ、えっと…大丈夫よ…?」
「何か『?』見えるけど?」
「もう!そんな意地悪言うならトールの横に座ってちょうだい!」
「ごめん、ごめん。エイミーは相変わらず、可愛いね。」
エイミーの頭を撫でながら、謝ってるとは思えない笑顔をみせるジャックだった。




