恋は盲目とは言いますが

目の見えない同級生と他人のフリをして交流する話


　音桐壮二は夏休みのある日、一学期のうちに突然休学した高嶺の花の同級生・星合桜子に遭遇した。
　そこで星合桜子の休学の理由が急な失明であることと、目の前の自分のことを同級生の「音桐壮二」だと認識できていないことに気付く。
　音桐はそんな彼女に別人のふりをして近づく。彼女の目が見えているころは冴えない自分への引け目から満足に話すこともできなかったが、他人の仮面をかぶることによって嘘のように気楽にしゃべることができた。この嘘が後に人間関係に大きなひずみを生んでいく。