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星の船
星を結んで浮かべた船
汽笛のあとに吐き出した、雲に隠れて沈んでいく。
連れていけ。そう呼び掛けても、
泣いて、鳴いても、深く。
やがて暖かい光がゆっくりと顔を出す。
その光に、いつか感じたあの温もりと、
同じように優しく抱かれていた。
会いに来てくれた。
また夜は来るが、少しだけ安心して目を閉じる。
これはひと時の間だけ。それでも夢を見てみたくなった。
きっと夢の中に彼女は居る。
目一杯甘えよう。
たくさん話をしよう。
あの歌をもう一度、歌ってもらおう。
夜が、明けていく。
そこで揺れている小さな花の咲く場所は
一匹の猫が何年も前に寝床にしていた場所。
花は力強く伸ばした根に体を預け、波の音に合わせて揺れている。
少しだけ背の高い同じ花と一緒に。
隣の花の温もりは、どんなに暗い闇の中でも、決して冷えることはない。
眠りから目を覚ましても、この幸せは続いている。
いつまでもいつまでも。続いている。




