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15話 タツカミの集落③

長くてすみません。

説明が下手だなぁ…(しみじみ)

7/29

カミラの職業

魔法師→神官・魔法師に訂正

この世界では”属性一つ”と”MP”があれば『生活魔法』の内、火・水・風・土の四つを使う事が出来る。

普通、火属性ならば火、水属性ならば水だと考えるが、ここではどの属性でも基本の四つを使用できるのだ。

ただ、同じ属性の方が問題なく使える。他の属性のモノを使おうとすると威力が小さかったり、上手く使えないのだと言う。

だが、自分が苦手なモノや属性の無い人間は”魔道具”を使用すれば事足りるのだそうだ。

結局生活魔法を使うよりも魔道具を使う方が便利なため、一般人は道具に頼り、魔法を使う機会が少なくなった。

人力で木を伐り、家を造り、橋を架け、田を耕し、馬で荷車を曳く…魔法が無くても人々は生活が出来るのだ。


MPは一晩寝れば回復するとはいえ、使い過ぎて昏倒した者もいただろうし、過去には死んだ人もいただろう。

疲労を感じながら一日数回の生活魔法を使うよりも、火や水の魔法が付与された”石英”を買って使う方が簡単だ。

ここで一般人と魔法師の違いが出来てしまった。


では『生活魔法』というのは何なのか?だ。

『生活魔法』も(れっき)とした魔法。

相手に”火”を()つければ火傷をするし、”水”や”風”、”土”を()つけて目にでも入れば、怪我をする。

これは自然現象でも同じだ。




これは俺の仮説。


神アマテラス様が何のゲームを元にこの世界を創造したかは分からない。

この世界の大気中に”魔素”を取り入れた彼女(神アマテラス様)は、”魔法”を中心とした世界を造りたかったんじゃないだろうか?

だから”剣技”も無ければ”スキル”も無い。

❛鍛冶❜や❛隠密❜ですら”魔法”なのだ。所謂”補助魔法”の分類だろう。


『生活魔法』はあの方(神アマテラス様)がこの世界に与えた”恩恵”なのだと思う。

属性があれば誰に教えて貰わなくても、生まれた時から使える便利な魔法。

(いや、言葉か文字を憶えるまでは使えないだろうが)

それは魔法師を造る為のモノ…いや、皆が魔法を使えるように成る為のモノだ。

自然に人間が生まれ、それらの魔法を使って進化するのを待っていたんだろうが…生まれたのは魔物だった。


文化や文明、歴史は人の生活によって生み出されるモノ。

自然に人が生まれ、魔法を使い始めていれば、進化させたり創意工夫が成される。

仕方なくこの世界に後から人間を(いざな)い、初めにタロウとハナコしか魔法を教える者がいなかった為、魔法は偏ったものになったのだと思う。

子供を育てる事に重きが置かれ、”魔法を育む”事を重要視したとは思えないからだ。


現在、魔法学校は攻撃と補助魔法を主に教え、神官学校は回復と防御魔法を主に教えるのだと聞いた。

これらが二つに分かれている事を考えても、その可能性は高い。

攻撃魔法を憶えた者が防御魔法を憶える事は少なく、回復魔法は回復魔法ばかりを訓練するという。

満遍(まんべん)なく魔法を憶える事が出来ず、自分にあった魔法に特化して行くため、この世界の住人は自ら可能性を狭めてしまった。

”生活魔法”を訓練すれば初級魔法を憶える。”初級魔法”を憶えれば、職業は”魔法師”になる。

ここまでは”魔法師”に成った人間なら知っている事だ。そして初級魔法→中級魔法→上級魔法と進化して行く事も。


初級攻撃魔法を訓練すれば、次は初級の回復魔法を憶える事は、王女達のLv上げの時に判明している。

それをこの世界の人が知っているかどうかはまだ不明だ。


何百何千万の人間が魔法師に育っていれば、魔王軍も人の力で撃退出来たんじゃ無いだろうか。

この世界、(むし)ろ”魔法使い”としては、現在は退化してしまった世界のような気がするのだ。


初級魔法が使えなくても、何もない所から火が出、水が湧き、風が吹き、土が盛られれば、生活魔法だけで満足してしまった者も多いだろう。

まあ、一般人はMPが10~20しか無いのにMPを2消費して”生活魔法”を訓練するのは難しい。

始めはポーションを多用しなければ成らないし。


折角のあの方(神アマテラス様)が与えた恩恵を、享受(きょうじゅ)している人間が少ないのだ。



と、ここまでの”俺の仮説”を要所要所を(ぼか)し、掻い摘んで皆に説明した。

ウンウンと頷く者もいれば、カミラさんのように目を輝かせている者。

ルシルちゃんやアルゥちゃんのように、”何だか分からない”といった顔をしている者もいる。


[ギフト玉]を掌に載せ、アルゥちゃんの前に差し出して「これに触ってごらん?」と伝えた。

初級魔法までは付与できる[ギフト玉]だが、敢えて各属性と生活魔法しか付与していない。

ただ、属性付与されると同時に四つの生活魔法も付与されるモノだ。


「これでいい?」

アルゥちゃんが[ギフト玉]に手を乗せる。

…小さくて痩せこけた手だな…。

ここ暫くはキチンと食事も出来なかったようだから、当たり前なのかもしれないが…可哀相に…。

❛聖なる完全回復❜ホーリー・パーフェクト・ヒールでも、栄養状態までは治せないしなぁ。

早く元気に成ってモリモリ食べて、良く成って欲しいよ。



「何か感じるかな?」

「う~ん…なんだかあったかいものと…かぜ?のおとがきこえるけど…よくわかんない」

…ふ~ん、そういう(ふう)に感じるんだ。

あったかいものは光か火、残りは風か?

現在アルゥちゃんの属性は”無し”だが、母親のロンダさんは”風属性”。

強制的に付与する❛聖なる贈与❜(ホーリー・ギフト)とは違い、血縁や血統にある属性を感じるのだろうか?

最初の人間(・・・・・)達は、アマテラス様が改造(・・)してこの世界に(いざな)った子供達。

それらは全て魔法が使えたハズなんだから。


「…そのまま《習得》って言ってごらん?」

「わかった…しゅうとく…あ、ああっ!…なんか、あったかいものがからだにはいったよ!」

良し!成功だ!

これはこの世界に革命を(もたら)すぜ~~~!

おっしゃぁ~~~~~~~!!(たぎ)って来たぜ~~~~!!!

まあ、秘密にする心算だけどな。テヘッ。


【名前】アルゥ

【年齢】5歳

【種族】人間

【状態】正常

【属性】火

【職業】なし

 Lv:3

 HP:117/117

 MP:7/7

【称号】使徒の祝福を受けし者


❛神の眼❜(ホーリー・アイ)で確認済みだ。

…風も感じたようだけど、[ギフト玉]で付与されなかったのね?

まあ、一つでも付与出来ればいいか。

流石に全属性が付与されるよりも――そこいらじゅうで”五属性の魔法師”が誕生したら、王女達の有難味が無く成るような気がするし。


「アルゥちゃん、もう君は生活魔法を使えるハズだ…頭に浮かばないかな?」

「う~ん、()ならすぐにうかぶよ?」

「よし、それを思い浮かべながら呪文を言ってごらん?…掌を上にしてね、そこに火が乗る感じで」

「うん、やってみる…え~と❛ファイア❜……うそ!おじちゃんなにこれ!」


MPを2消費し、アルゥちゃんは❛ファイア❜を唱えた。

蝋燭の炎のような小さな火が、掌の上に乗る。

俺は()かさず右手に❛聖なる軟化❜(ホーリー・ソフト)強く(・・)唱え、アルゥちゃんの掌に重ねた。

「うわぁ~、こんどはあたまのなかでぴこーんっておとがした!なにこれなにこれ!」

…俺のHPは1しか減ってないんだが、Lv差のためかアルゥちゃんのLvは3つあがってLv6に成っている。


”使徒の祝福を受けし者”が称号に付いたためか、ステータスの上り幅も大きい。

HPが270に、MPが30に成った。

また、❛ファイア❜でMPを2消費したのにLvアップと共に回復している。

…俺はHPもMPも自然回復力が大きかったから気付かなかったが、この世界の人はLvアップと共にステータスが回復するのね……ゲームか!




「アルゥちゃん、身体に異常は無いかな?辛いようならこれで止めるケド…」

「ううん!なんともないよ!…それに、なんかからだがつよくなったかんじ!」

「じゃあ、今度は少し火が大きく成る様にイメージして魔法を唱えてみてくれる?」

「うん!」

数回繰り返した後❛神の眼❜(ホーリー・アイ)を使うと、アルゥちゃんの職業に”魔法師”が付いた。

これで初級魔法の❛ファイアー・ブリット❜が使える。


あはははは…魔法師の促成栽培をやっちまったぜ!

しかも魔法師に成った途端、MPは急上昇だ。


【名前】アルゥ

【年齢】5歳

【種族】人間

【状態】正常

【属性】光

【職業】魔法師

 Lv:10

 HP:450/450

 MP:650/650

【称号】使徒の祝福を受けし者


「アルゥちゃん、さっき”ピコーン”て成った後、違う魔法が浮かばなかった?」

「え~とね、❛ファイアー・ブリット❜ってゆーのがうかんだの…なにこれ?」

…まあ、これはLv差のある相手で、しかも頑丈()な人間を相手にしているから出来る事であって、普通は人間相手に魔法の訓練は出来ないからなぁ…ましてや相手が魔物じゃ、命の危険があるし。

普通に生活魔法を使っているだけでは、熟練度(?)がどの程度上がるのか分からんしな。


「いいかい、アルゥちゃん。アルゥちゃんは魔法師に成った。そして❛ファイアー・ブリット❜っていうのは初級の攻撃魔法なんだ。無暗に……ゴホン…アルゥちゃんは魔法使いさんになったの。❛ファイアー・ブリット❜っていう魔法はね、魔物や人を傷つけてしまう魔法なの。だから、気に入らない~とか、頭に来た~とかでは、絶対に使ってはいけないよ?特に人間相手ではね?」

説明の途中で首を傾げているので、途中からなるべく優しい言葉を選んだんだが…伝わったか?


「…うん…ケンカでつかっちゃダメってことだよね?」

「そうそう」

「う~ん…じゃ、どういうときにつかえばいいの?」

「自分やお姉ちゃん、お父さんやお母さんがキケンな時。魔物とか人に襲われて、もう”これを使うしかない”って時に使うんだよ」

「は~い」


説明は下手なんだが、何とか分かってくれたようだ。

「じゃ、試しにどんな魔法か使ってみようか。おじちゃんの方に手を出して、魔法を唱えてごらん?」

「…おじちゃん、さっきのおはなしとちがうけど??」

賢い子だなぁ。チャンと話を分かっていたか。

「ああ、これは練習だよ。どういう魔法なのか知らないと困るでしょう?…それにおじちゃんは強いから全く問題ないよ。おじちゃんがいなく成った後は、お外の誰もいない所で練習するといい。いざという時の為に、練習は必要だよ?その時は、必ずお父さんかお母さんに付いて貰う事。いいね?じゃ、やってみようか!」


「え~と、はい。…ん~()をこう??…おじちゃんにむかって~❛ファイアー・ブリット❜」

何が起こるのか自分でも分からない。恐る恐る手を俺に向け魔法を唱える。

アルゥの手からはゴルフボール大の赤い炎の弾が飛び出し、ブシュンと音を立てて俺に当たった。

うん、全く問題なし。

アルゥちゃんは魔法が飛び出た掌を見ながら、不思議そうに首を傾げている。


「ね、問題ないでしょう?今ので”魔法の感じ”は分かったよね?…その魔法をいっぱい練習すると、次は回復魔法も憶えられるからね。他の水や風や土の生活魔法も練習すれば、アルゥちゃんは”大魔法使いさま”に成れるかもしれないよ?」

「ほんとに!?」

満面の笑みで俺を見つめるアルゥちゃん。


「うん…本当さ……おわぁあっ!」

話しの途中で膝下に何かの感触があった。

何かと思ったら、俺の両足にカミラさんがしがみ付いている。

床に伏せながら俺の膝下を両腕で抱え、涙や鼻水まで流していた。

…おいおい、美人が台無しだよ。


「だ、だいぜんぜい……どぼじで…」

俺の顔を見上げながら、言葉に成らない声を出していた。

「よしよし、チーンしましょうね~はい、チーン」

ティッシュで涙と鼻水を拭き、カミラさんが落ち着くのを待った。


「…失礼しました。大先生。驚天動地の事でしたので、我を忘れてしまいました」

…いや、大先生て。

「アルゥには属性がありません。家の”鑑定の宝珠”で確認してますから間違いありません。それが、属性どころか私にも使えない初級攻撃魔法が使えるように成るなどと…奇跡以外に考えられません。大先生、完全回復魔法といい、その奇跡の魔道具といい、どのような……「おお!ここに居ったのかカミラ!大魔法使い様を皆が待ちわびている――」…パパ!今、大先生に大事な事をお尋ねしているの!」

「そんな事言ってもお嬢、もう宴もたけなわだっぺ」


途中で(おさ)とブルーノが入室して来た。

そういやぁ宴会に招かれてたんだっけ。

まだカミラさんとルシルちゃんと母親のLv上げもあったんだがなぁ…時間切れか?

「ほほう、カミラよ。大魔法使い様に何を尋ねているのだ?それにそこで火の生活魔法を使って遊んでいるアルゥは何だ?何故、アルゥが魔法を使えるのじゃ!?何があった、カミラ?」


ちょっと目を離した隙に、ルシルちゃんの前で得意そうに生活魔法を見せているアルゥ。

遊ぶんじゃ無いって言ったでしょ!…❛ファイアー・ブリット❜じゃ無いからいいか。


面倒だが今までの事を手短に長に説明をして、[ギフト玉]も差し上げた。

明日にでもカミラさんだけLv上げをして、後の事はカミラさんに任せよう。

ルシルちゃんと母親は生活魔法を使えるそうだから、こちらのLv上げはサラ達に任せるか。

[MPポーション]を沢山渡して置けば大丈夫だろう。

さて、宴会に顔をだしますかねぇ――




『…余にもくれ!!』

…あれ?何だか幻聴が聞こえた…気のせいか?


『マサト殿、ワシも欲しいのぅ…それ。国宝級以上のモノじゃぞぃ』

『マサちゃん!私にもくれ!国宝にするから!』


…ウェストランド王に賢者シモンにダーちゃん?

チラッっと王女達の方に目をやると、皆ニコニコとしていた。

ああ、また実況中継してたって事かよ。

道理で今まで静かにしてると思ったんだ。

また俺の事を”世に知らしめるため~”とか何とかかよ~有難迷惑ナンだけど…。


「何じゃ、何処から声が聞こえるのじゃ?」

長がキョロキョロと室内を見廻している。

一応説明しておくか。

「え~と、長。これは私が造った魔道具、[電話玉]から声が聞こえるのです。そこのおうじょ…ゴホン、弟子たちが身に着けているネックレスですね。初めの声が、神聖ラーナ王国ダニエル・ウェストランド国王、次が王都トゥーキングの賢者シモン・エリュク殿。最後がエルフ国のダールトン・シルフィー国王の声です」


「「ひぃ!!!」」

名前を出した途端、腰を抜かしたようにドサリと尻を床に付ける長とブルーノ。

そんなに、恐れ多い事か?

自分だってこの集落の長だろうに…

俺にしてみりゃ、只のクレクレタコラ達なんだが。

母親や姉妹(ルシルとアルゥ)はキョトンとした顔をしている。

まあ、一般人には国王なんて身近じゃ無いだろうしなぁ。

カミラさんは俺の前で正座してワクテカ待機中。

今は他の事などどうでもいい感じ…というか、目に入ってない感じだ。


「はぁ~~~」

一つ溜息を吐いてから、❛聖なる箱❜(ホーリー・ボックス)から[ギフト玉]数十個を取り出す。

8個をアリスに、4個をサラに手渡して[アイテム・ポーチ]に仕舞わせた。

先にあっち(国王達)を片付けよう。

「アリス、サラ。転移して国王に渡してきておくれ。アリスは西に、サラは東に行ってくれる?使い方も説明して来てね?」

「はい、マサト様…《転移》」「御意。《転移》」


アリスとサラが転移しても、長達はまだ呆然としている。

[電話玉]を使って、国王達が互いに社交辞令の話を始めたからだろう。

加えて先程までここにいたアリスとサラの声も微かに聞こえる所為もあるか?

床に尻を付けたまま、あんぐりと口を開けている二人。


こりゃぁ回復まで時間がかかるなぁ。

宴会には後で顔を出す程度で良いか…。


「…セシリア・シオン・マリー。三人はここでルシルちゃんや母親のLv上げをやってくれないか?生活魔法を(わざ)と受けるくらい、君達なら問題ないハズだ。一応、ポーションも置いておくからさ」

「「「はい。(コク)」」」


「俺はちょっとカミラさんのLv上げをしてくる。俺達がここを出た後、子供達に魔法を教えなきゃ成らないのはカミラさんだからさ。❛聖なる転移❜ホーリー・トランスポート

「あっ!ちょっと旦那様!何処へ…」


カミラさんの右腕を掴み❛聖なる転移❜ホーリー・トランスポートを唱える。目指すはバーチの海岸だ。

カミラさんのLvは18。俺は46。

数十回の攻撃魔法を俺が受ければLvが上がるかも知れないが、倒す事が前提じゃ無いので経験値の入りは少ない。

だったら、”魔物を倒させ”ればいい。

テンタコルのLvは10~11しかないが、数百匹を倒せばLvは上がるハズ。


転移する前にセシリアの声が聞こえたような気がしたが…まあ、用件があれば[電話玉]を使うだろう。


50回以上の転移を繰り返し、バーチの海岸に付いた。

透かさず❛聖なる防壁❜(ホーリー・バリア)を展開。

浜辺は既にテンタコルの集団で溢れていた。


「……あれ!?大先生!ここは何処ですか!?何故室内にいたのに海岸!?…しかもタコの魔物に囲まれてる!?」


ああ、突然の事でパニくってるよ。当たり前か。

カミラさんの両肩をガシッっと掴み「落ち着いてください。カミラさん」と声を掛けて正気に戻るのを待つ。

相変わらずテンタコル達は❛聖なる防壁❜(ホーリー・バリア)をドンドンと叩き、興奮している。

バリアで遮られ、中に魔物が入って来れない事が分かったようで、次第に落ち着きを取り戻したカミラさん。


「ふぅ…大先生、これは防御魔法なのですね…私を連れて来た魔法はいったい何なのですか?…途中でビュンビュンと風景が変わったようですが…❛疾風❜ですか?」

落ち着いた途端、再び”生徒モード”に切り替わった。

「今のは”転移”の魔法です。私は人を連れると12km程度しか一度に転移出来ないため、数回に分けて”転移”しました。風景が切り替わったように感じたのはその為です」

「!!…あれが”転移”の魔法なのですか!(いにしえ)にタロウ様とハナコ様が使ったという伝説の魔法…神官学校の歴史の授業で教わった記憶があります。その後使える人間はいないという話しですが…大先生はいったい何者なのですか?」

そっか…やっぱり転移魔法を使える人間はいないのか。

そのタロウとハナコも、アマテラス様が神聖属性の魔法を使えるようにしたんだろうなぁ。


「まあ、大した者じゃありませんよ。さてカミラさん。今から貴方に初級攻撃魔法を憶えて貰います。それを使ってアイツ等を倒して下さい」

「…大した者じゃ無いって……ふぅ~分かりました。詮索はしません。処で大先生、先程❛フルヒール❜の魔法を戴いたばかりなのに、次は何故攻撃魔法を憶えねば成らないのですか?……(あれ?そういえば❛フルヒール❜と頭に浮かぶのに属性名が付かない…光ならばライト・水ならばアクア・風ならばウインドと前に付く筈なのに…大先生の魔法っていったい…)」



「Lv上げの為です。カミラさんのLvはまだ18。その[聖衣(せいい)神官服]でLvが+3されているとはいえLv21では神官として低すぎます。(いや、他の神官の事は知らないケドさ)。MPが1428だと、1回にMPを30消費する❛フルヒール❜が約40回しか使用できません。…集落で、もし大災害でもあった時にどうするのです?500人の市民がいるんですよね?全員に❛フルヒール❜を唱える状況というのは無理でしょうが…”人々に癒しと慈愛を与え続けるよう努力致します”と、約束しましたよね。救える人は救いたいと思いませんか?」


因みに今のカミラさんのステータスは


【名前】カミラ・カーチス

【年齢】32歳

【種族】人間

【状態】正常

【属性】光

【職業】神官・魔法師

 Lv:21(18)

 HP:819/819(702/702)

 MP:1428/1428(1224/1224)

【称号】使徒の祝福を受けし者


と成っている。

「(今は大先生の素性や属性はどうでもいい。私は回復魔法を極めるんだ!)…はい…はい。集落の民を癒すため、努力をします!大先生!よろしくお願いします!…キャッ!何を…」

()を大きくするために、俺は上半身の[聖衣]を脱いでいた。

深々と下げた頭を上げた時に俺が裸だったため、ビックリしたのだろう。


「えっ?生活魔法を初級魔法にする訓練だけど…Lv46の俺に攻撃すれば、初級魔法を憶えらえるからさ…アルゥちゃんのように」

…俺が初級魔法を与えても良いが、それではカミラさんが集落の人間に訓練する事が出来ない。


「そうですか…失礼しました…なんというか、その…素晴らしいお身体ですね…」

ちょ、照れないでよ…。32歳なんだから、男の裸くらい見た事あるでしょうに。

田んぼに集まってた人の中には、上着が(はだ)けて上半身が裸だった人だっていたよ?


「コホン…では始めます。カミラさん、❛ファイア❜を出して俺の身体に触れて下さい。数回繰り返せば❛ファイアー・ブリット❜を憶えます」

既に俺の身体には❛聖なる軟化❜(ホーリー・ソフト)を唱えて軟らかく(・・・・)してある。

「しかし…その…回復魔法以外で男性の身体に触れるなど…恥ずかしいです…」

頬を染めてモジモジとし始めた。…おい!アンタまさかその年で処じ…


「ゴホン!ゴホン!…カミラ!これは訓練!授業ですよ!真面目にやって下さい!」

「…あっ!はい、大先生!❛ファイア❜!」


いけね、つい”カミラ”って呼び捨てにしちまった。

まあいい。

カミラが手を伸ばし、生活魔法の❛ファイア❜が俺の身体に当たる。

相変わらずHPは1減っただけだが、3回繰り返した処でカミラは❛ファイアー・ブリット❜を憶え、Lvも2上がった。

「無事に❛ファイアー・ブリット❜を憶えたね?次は❛ウオーター❜を俺の目に()つけて!」

「はい!❛ウオーター❜!」

うん。目に水が当たってもHPは1減っただけ。これも3回で❛ウオーター・ブリット❜を憶え、Lvが2上がった。

「次は❛ウインド❜!」

「はい!」

「次は❛サンド❜!」

「はい!」

こうしてカミラはLvが26にまで上がり、初級攻撃魔法の❛ファイアー・ブリット❜・❛ウオーター・ブリット❜・❛ウインド・カッター❜・❛ストーン・ブリット❜の四つを憶え、他に自分の属性である”光”の生活魔法❛ライト❜を憶えた。


「じゃあ、これでカミラさんは四つの初級攻撃魔法を憶えましたね?次はあの魔物を倒してみましょう。170回は使えるんです。バンバン倒しちゃって下さい」

「…カミラと」

「はぁ?」

「カミラと呼び捨てにして下さい、大先生!敬語も抜きで!」

胸の前で両手の拳を握り、そう訴えるカミラ。

あ~はいはい。

その方が俺も楽でいいんだよ。


「カミラ!君はもう回復魔法が使えるから、火・水・風・土の全てを使って魔物を倒しなさい。[鑑定玉]付きネックレスでMPの残量を常に確認するように。MPが1/3以下になったら、ここにある[MPポーション]を飲んで回復するんだ。では開始!」

「はい!大先生!❛ファイアー・ブリット❜!❛ウオーター・ブリット❜!❛ウインド・カッター❜!❛ストーン・ブリット❜!――――」


カミラの魔法によりテンタコルは駆逐されていく。

❛神の眼❜(ホーリー・アイ)で確認しながら観察していると、面白い事に気付いた。

五属性を与えた王女達が戦った時、❛ファイアー・ブリット❜でテンタコルに与えたダメージは1発で50だった。

光属性しか持たないカミラでは、1発で30のダメージしか与えられない。

五人(王女達)のダメージ量が同じだったのだから、”五属性の魔法師”という称号が関係しているハズ。


「やりました!大先生。Lvが32に上がって新しい魔法を憶えました。光属性中級攻撃魔法の❛レーザー❜と、同じく中級防御魔法の❛ライト・ウオール❜です!」

頬を染め、少女の様に飛び跳ねながら嬉々とするカミラ。

うんうん。美人は絵になるね~

そんな事より次のLvアップの時の為に、俺に向かって❛レーザー❜を唱えて貰った。

太さは2cm程だろうか?金色の光の束が真っ直ぐに伸びて来る様は、男心を擽るものがある。

…俺も使ってみてぇ~






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