14話 タツカミの集落②
7/25
カミラさんの中級回復魔法が❛ハーフ・ヒール❜に成っていました。済みません。
❛ライト・ハーフ・ヒール❜に訂正。
「…ルシルちゃん、おじちゃんが妹を助けてあげる」
「ほんとに!!」
「ああ!」
泣き顔のまま俺の目をジッと見る少女。
少女の目を見ながら、俺は笑顔で答えた。
そっと少女を抱き上げ「家を案内してくれる?」と頼む。
「うん!あっち!」
泣き止んで、南の方角を指差した。
いや、あっちって…流石に❛聖なる地図❜でも”ルシルの家”とは出ないんだよね。
「…ここから遠いの?」
「え~と、10分くらい」
「そっか~、じゃ、行こうかね?」
「お待ち下さい、大魔法使い様。彼方で宴の用意が出来ています。父も直ぐに参りますから」
「そうですだ、大魔法使い様。もう準備が整ってるっぺよ」
…お前等、空気読めよ。
出発しようとしたらバカミラ達から待ったが掛かったでゴザル。
「病人の方が先でしょう?私は元々、タツカミの集落に来る気は無かった。あのまま旅に戻る心算でしたからね。だが、ここでルシルちゃんに会った。これも何かの縁ですのでこちらを優先します。貴女方は先に宴に行って下さい」
「…そんな訳には…でしたら私もご一緒します。ブルーノ、父に伝えておいて頂戴」
「お嬢、分かったっぺ」
「では行きますよ?ルシルちゃん案内よろしくね?」
「はい!」
・
・
・
10分程歩いて、小さな二階建ての民家に到着した。ここがルシルの家だろう。
「ママー!おじちゃんがアルゥを治してくれるって!」
スルリと俺の腕から飛び降り、ドアを開けて中に入るルシル。
「ママー!ママー!」
返事が無いためか、大声で母親を呼ぶ。
…ん?返事が無い?…病気の子を置いて出かけるハズは無いよな――ハッ!!
嫌な予感がして無断で俺も家の中に入る。
❛聖なる地図❜には二階の一番奥の部屋に二つの[黄▼]が確認出来た。
ルシルはまだ一階で大声で呼びながら母親を探している。
おそらく二階の[黄▼]が妹と母親だろう。
大声で呼ばれているのに[黄▼]が動かないって事は…。
「…間に合え!❛聖なる転移❜!」
一瞬で部屋に転移した。
目の前のベッドにはガリガリに痩せた小さな女の子が寝ている。
顔面は蒼白。唇も紫色だ。
既に意識は無ようで、目を閉じグッタリとしている。
時折コホコホと乾いた咳をしながら肩を大きく上下させ、ハァハァと浅く早い呼吸をしていた。
その両手を握りしめ、傍らでアルゥ!!アルゥ!!と号泣している女性…母親か。
❛神の眼❜を使う。
【名前】アルゥ
【年齢】5歳
【種族】人間
【状態】重体(間質性肺炎)
【属性】なし
【職業】なし
Lv:3
HP:2/117
MP:1/7
【称号】なし
――不味い!今際の際か!!
「❛聖なる完全回復❜!!」
慌てて駆け寄り回復魔法を唱える。
後ろからドタドタと部屋に入って来る足音が聞こえたが、今はそんな事に構っていられない!
❛聖なる完全回復❜によりHPとMPは全快し、状態からは病名(?)が無く成ったが、まだ”重体”が”衰弱”と成っている。
意識も戻らないままだ。
❛神の眼❜のLvが10に上がってから病名が分かる(?)ようになったのは良いが…何時も思うんだが、完全回復なんだから一発で治らないモンなのかね?
ファンタジーの世界だろうよ。
まあ、病気で痩せこけた人間に回復魔法をかけたら一瞬で太るってのも可笑しいがな。
「❛聖なる陣地❜」
…ブオン!と音を立てて純白の円環が足元に広がる。これで気力を上昇させる。
「❛聖なる身体強化❜」
…アルゥちゃんの身体に強化を付与し、体力と魔力を上昇させた。
「もう一度、❛聖なる完全回復❜」
アルゥちゃんの身体を眩い純白の光が包みこむ。
「…あったかい…」
意識が戻り、か細い声を出す少女。
「アルゥ!大丈夫なの?アルゥ!」
「…ママ…なんだかとってもあったかいの…どうなってるの?…」
純白の光が消えると、少女の顔には生色が戻っていた。
うん、状態も”正常”に戻ってる。もう安心だろう。
「な、大魔法使い様!こんな魔法は見たことが無いです…」
「おじちゃん、ホントになおしてくれたの?」
途中で入って来たのはルシルとバカミラ達だった。
俺の右足をヒッシと掴み、「ねえ、おじちゃん!アルゥはなおったの?なおったの?」と必死にルシルが声を掛けて来る。
「ああ、治ったよ。側にいっておやり」
「うん!!ありがとう!…アルゥ!ママー!」
足を掴んだ手を話し、勢いよく飛びつくように二人の元に行くルシル。
やっと母親にルシルの声が届き、右手でアルゥを抱きしめ、左手でルシルを抱きしめた。
親子三人で強く抱きしめ合い、”良かったわ…良かった”と呟きながら、わんわんと泣き続ける母親。
…ええ話や…。俺まで貰い泣きしてしまいそうだ。
「…ご主人様」
「ひゃぃ!」
ビックリした~~そういえば皆も付いて来てたんだ。今まで静かだったから忘れてたわ。
「サラ、ここでは先生と…「もう無駄に御座いましょう」…」
サラ・アリス・セシリア・シオン・マリーが俺の元に集まる。
少し離れた場所で、カミラは崇めるような目で俺を見つめていた。
「大魔法使い様、いえ、大神官様。貴方様はいったい何者なので御座いますか?」
ズイっと前に出て、カミラが話しかけて来る。
「俺…わ、私は只の旅の者ですよ…」
「御戯れを…このような大回復魔法、『神聖ラーナ王国』の神官学校でも聞いたことが御座いません。大神官ジョセフ・ドゴール様ならば或いはと思いますが…ですが、光属性や水属性の魔法ではありませんね?どうぞ無知な私に御教え下さい」
先程までの”男を落とす目”から打って変わり、真摯な瞳で俺を見つめるバカミラ。
その目には、神官として未知の回復魔法に対する興味と驚愕が伺える。
「いや、ホント…え~私は旅のちりめん問屋の隠居、ミツえもんと申しまして…「嘘で御座いますね?」――はぃ…」
本当に俺は美人に弱い…いや、美少女にもだが。
そ~っとこの場を立ち去るか?
用も済んだ事だし。
と思った矢先、今度は左足をヒッシっと掴まれた。
掴んだのは再びルシルだった。
背が小さいから視界に入らないんだよね。
「どうしたの?ルシルちゃん」
「おじさん、ママとアルゥがごあいさつしたいって…。それと…」
下から両手を広げて”抱っこ”のポーズをとる。
「はいよ」再びルシルを抱き上げた。
何はともあれ、この場を逃げられる…そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。
「…それとね、おじちゃんありがとう…ちゅっ…これはおれいね」
おお!頬っぺたにキスされちゃったよ。
えへへ、可愛いなあ~もう~
「「「「「………くっ!!(ムッ)」」」」」
冷気と共に、背後からどす黒いオーラが滲み出た。
王女達だ。
「何だよ皆~。子供のお礼のチューじゃないか~」
「マサト様、子供でも”女”です!女に歳は関係ないのですよ!」
何を言ってやがる。
アリスの言葉を無視して、俺はベッドに近寄った。
「あの、何とお礼を申し上げてよいやら…本当に有難うご座いました」
ペコペコと頭を下げる母親。
「いいんですよ。気にしないで下さい」
「ですが…その、お代は…」
「今、戴きました。ルシルちゃんのチューを頬に。それで充分です」
「えっ?」
「充分です」
「…しかしお布施を…」
「要りません」
「しかしそれでは…子供の命を助けて戴いたというのに…」
「ならば、神に感謝して下さい」
頭を下げる母親を片手で制する。
ジッと目を見つめると、観念してくれたようだ。
「…はぃ…はぃ…本当に有難うご座いました…貴方が神アマテラス様の御使いであると信じます…嗚呼、神アマテラス様、感謝致します…」
母親は涙を流しながら窓から空を見上げ、神様にブツブツと感謝の言葉を言い始めた。
うんうん、アマテラス様に感謝しとけば良いよ。
「おじちゃん…」
今度はベッドの方から声が聞こえた。アルゥちゃんだ。
「なあに?」
「おじちゃんがアルゥのびょうきをなおしてくれたの?」
「そうだよ。魔法でね」
「ありがとう…そだ、おじちゃん、ちょっとおみみをかして?」
「うん?」
ルシルを降ろし、アルゥの顔の前に耳を近付ける。
何々、内緒の話し?
「…ちゅっ…アルゥもおれい」
はわわわわ~~~何これ何これ!
さっきのルシルちゃんのキスとも違う。
口を開いたままそっと唇が頬に触れる。
ハッとする程の軟らかさ!
小さい子のキスって、こんなにも軟らかいモノなの??
これが天使のキスか!?
キスされた頬を手で押さえ、うっとりとしてしまう。
「「「「「………くっ!!(ムッ)」」」」」
再びどす黒いオーラが滲み出る。
いや、お前たちもやってみて貰えよ?
俺の気持ちが分かるからさ。
「アルゥちゃん、この子達は俺の弟子なんだ。この子達のホッペにもチューしてあげてくれる?」
「うん!」
「君達、一人ずつ顔を近付けて、チューしてみて貰いなさい。俺の気持ちが分かるから」
言われた通りに顔を近付けて頬にキスをして貰う王女達。
「はぅ!」
「はわわ~」
「ひゃう!」
「……!!」
「恍惚!」
皆、キスされた頬を手で押さえうっとりとしている。
そうだろうそうだろう、驚くほど軟らかくてびっくりしちゃうだろ?
最後に姉のルシルにもキスをして「エヘヘ…」と言いながら姉妹二人で抱き合った。
仲の良い姉妹だな。
幸せな雰囲気を味わえて気持ちが和むよ…そうだ!
❛聖なる箱❜から[桃の缶詰]を取り出して[木の器]に取り出し、[木のフォーク]を刺してルシルに手渡す。
「これなあに?」
「モモカン…甘いモノだよ…妹に食べさせたかったんでしょ?」
「いいの?」
「うん」
「ありがと…アルゥ、あ~ん」
「あ~ん…モグモグ…あ、あま~~い!おねえちゃん、これすごくあまいよ~」
「ほんと?…あたしも…パク…ほんとだ~!あま~い!なにこれ~」
モモカンだってば。病気の時といったら[桃の缶詰]だろ?…え?昭和の臭いがする?いいじゃね~か!
・
・
・
「お母さん、アルゥちゃんは生まれた時から病弱だったと聞きました。何か心当たりはありますか?」
現在の”状態”は正常に成っているが、病気になった原因が分からない。…そもそも”間質性肺炎”って何さ?
普通の肺炎と違うの?
いや、普通の肺炎ってのも何だか分からないんだが…細菌とウイルスの違いだって知らないし。
「はぁ、この子は幼い頃から熱を出しやすかったのです。今までは3~4日で良く成っていたのですが…ここ一月は熱が下がらず、カミラお嬢様に幾度か回復魔法をかけて戴いていたのですが…」
ふ~ん、カミラさんの❛ライト・ハーフ・ヒール❜が効かなかったという事は、只の風邪じゃ無かったという事か?
それにカミラさん、あんたチャンと仕事してたのね。色気ばかり振り撒く馬鹿女かと思ったが、少し見直したよ。
「ま、待って下さい!私はキチンと❛ライト・ハーフ・ヒール❜を掛けました…決して手を抜いた事はありません!」
チラッとカミラさんを見たのが責めている様に感じたのか?カミラさんが慌てて口を開く。
「いや、別に責めてはいないですよ?」
「…聞いてください!…私は18で神聖ラーナ王国の神官学校を卒業し、集落に戻って幾人もの人に回復魔法を掛けました…全身全霊を掛けてとは行きませんが、決して手を抜いた事などありません。…治った人もいれば、亡くなった人も数知れず。死に抗う事は人の身では叶いません」
…そりゃそうだ。それこそ神様じゃなきゃ出来ないよ。
しかし困った…。この世界は”魔法”が栄えた為に医療は無いに等しい。
薬草やポーションがあっても、それは”対症療法”であって予防は出来ない。
俺も切除するまでよく熱を出したが、例えば”扁桃腺炎”。
普段は何とも無いが、少し体調が悪く成ると途端に腫れて高熱を出した。
虫垂炎もそうだけど、要は悪く成らなきゃ病気じゃ無い。
病気じゃ無ければ、回復魔法もポーションも無駄。
❛聖なる完全回復❜で今は完全回復したけど、アルゥちゃんが”何で熱を出しやすいのか?”が分からない。体質なのかアレルギーなのか、原因を取り除けなければ、イコール今後も病気になる可能性が高いって事だ。
それに、この世界にだって麻疹とか風疹とか、色んな病気があるんだろう?
子供が罹りやすい病気とかさ。
アルゥちゃんのように病弱な子供には……あれしか無いかね…。
いや、絶対じゃ無いけどさ。少しでも罹り難くする為に。
「皆、アルゥちゃんにアレをしようと思うんだけど…」
「御意」
「はい。マサト様」
「旦那様、それが良いでしょう」
「にーさん、賛成」
「…コクコク」
うん、了解を得た。クマ子に与えた後、皆にも与えた”使徒の祝福を受けし者”の称号。
あの時のシオンの言葉、『”称号”っていうのは、良くも悪くも祝福なのさ。病気しなかったり、強く成ったり、Lvが上がりやすく成ったりする人もいる』
…アルゥちゃんに称号を与えれば、病気になる可能性が低くなるかもしれない。
あ、”使徒の祝福をを受けし者”の称号が加わったら、アリスの称号が”巫女”から”聖女”に変わったのにはビックリしたなぁ。
「…え~と、カミラさん。申し訳ないケド、チョッと席を外して貰えますか?お母さんとルシルちゃんはそのままで」
「ええっ!アレって何ですか?何をするのですか?…是非、私にも見学させて下さい!御願いします!」
「ご主人様の邪魔になります。カミラ様、退室を…ご主人様、排除致しますか?」
「サラ、排除はダメ。…カミラさん、直ぐに終わりますから」
「あ、ちょ、押さないでお願い!…秘術…秘術ですね?…他言致しませんから――私にも見せて下さい!私とて神官の端くれ、そこから学べるものがあるかも知れません。役に立てたい!…回復魔法が効かない人を、何人も死なせた!…”赤の他人”と、割り切っていると思いますか!?…わ、私は!…この集落では”お嬢”だの”神官様”だのと崇められ、結婚も出来ない女です。普通の女に成れないのなら、せめて神官として回復魔法を極めたいの!」
…秘術じゃ無ぇって。
サラに身体を押され、ドアの出入り口を確りと掴んで抵抗している。
しかしそうか、本当に反省だ。
”バカミラ”なんて言ってゴメンね。
カミラさんにはカミラさんなりの理由があった訳か。
「サラ…良いよ。中に入れてあげて」
「…しかし…」
「いいさ。だいいち俺達がいなく成った後、何かあったらカミラさんに回復させて貰わなきゃ成らないんだし」
「…御意」
「カミラさん。貴女の熱意に応えましょう」
「ハァハァ…はい…ハァ…はい…ありが…とうございます…はぁ…」
随分と必死に抵抗したらしく、息も絶え絶えだ。
「さて、アルゥちゃん。今からおじちゃんがアルゥちゃんがもっと元気に成れるように”祝福の魔法”を掛けます。いいかな?」
「もっとげんきになれるの?ママのおてつだいとかできる?おねーちゃんとあそべるようになる?」
「うん。成れるよ」
「じゃぁいいよ!」
うんうん良い子だ。
「お母さん、アルゥちゃんに”祝福の魔法”を掛けたいと思います。宜しいでしょうか?」
親にも確認しなきゃね。
「はい。貴方様に救って貰った命です。この子が元気に成れるのなら、喜んでお願い致します。…父親は今、収穫祭の手伝いに行って不在ですが、私から説明しますので。この子の為になる事なら反対などする訳がありません」
はい、言質を得ました~では「❛聖なる陣地❜」
俺の足元から純白の光が床の上を広がり、円環がクルクルと回りながら光の帯を上に向かって押し上げる。
「これはさっきの!」
「シッ!カミラ様、御静かに!」
「❛聖なる契約❜…アルゥちゃん、神アマテラス様の使徒、ヤマダ・マサトが君に祝福を与えます。元気に育ちなさい。沢山の友達を作り、いっぱい遊びなさい。両親とお姉さんを大切にね」
「うん!いっぱいあそぶ!」
文言は適当に言っただけだが、❛神の眼❜で確認すると”称号”がちゃんと付いていた。
【名前】アルゥ
【年齢】5歳
【種族】人間
【状態】正常
【属性】なし
【職業】なし
Lv:3
HP:117/117
MP:7/7
【称号】使徒の祝福を受けし者 ←new
序に母親とルシルちゃんにも与えた。
「私にも…私にも…是非!」
床に頭を擦りつけるようにして懇願するカミラさん。
この世界は土足で室内に上がるから、白のロングワンピースの膝下は土で汚れてしまった。
その服が汚れないようにルシルを避け、それが俺がここに来る原因と成ったのに…因果なモノだ。
しかし美人に土下座させるってのは、何というか…物凄い背徳感があるなぁ~
「カミラさん、立って下さい」
「はい!先生!」と言いながらスクッと起立する。
先生って…。
さっきまで数回”神アマテラス様の使徒”って言ったのは聞こえなかったんだろうか?
まあいい。
❛聖なる箱❜から[ブラックドラゴンの革][グリーンドラゴンの革][イエロードラゴンの革][レッドドラゴンの革]を取り出して、❛聖なる錬金❜。黒い色の神官服を造った。
[聖衣神官服]防暑・防寒、全属性耐性・全魔法耐性・Lv+3/攻撃力/防御力/速度/精神力が上昇する。
カミラさんに近寄り、❛聖なる贈与❜で❛聖なる大回復❜を与えた。
「❛聖なる契約❜…神アマテラス様の使徒、ヤマダ・マサトがカミラに命じる。汝には今、❛フルヒール❜の魔法を与えた。死には抗えねども、この魔法で病や怪我に苦しむ人々を癒せ。加えて汝に祝福と[聖衣神官服]を与える。その服は神官には沿ぐわぬ。人前ではこの神官服を着用せよ。また、神官とは”神に仕える者”の事。今後も神に仕え、癒しと慈愛を人々に与え続けるよう勤めよ」
「はい…はい…人々に癒しと慈愛を与え続けるよう努力致します…」
再び床の上に膝を突けて、両手を胸の前で組むカミラさん。
…無我夢中なのか、やはり”使徒”って所の突っ込みは無いのね。
それに皆が俺を”ご主人様・旦那様・にーさん”って呼んだ事にも質問する事も無いし。
で、お次はっと。
❛聖なる箱❜から[鑑定玉]と[ミスリル塊(10kg)]を取り出してアイテム造りだ。
これでMPの残量をかくに……「ちょ、カミラさん!ここで脱がない!」
「えっ?でも先程先生が”人前では神官服を着用せよ”と…」
急いでサラが廊下に引きずり出した。
…危ねぇなぁ、おい!
人前で裸に成っていいのは子供だけだぜ!…それはそれで可笑しいか。
先程の二つを❛聖なる錬金❜し、[鑑定玉]付きネックレスを造った。
着替え終わって部屋に入ったカミラさんの首に掛ける。
「これはおまけです。カミラさん、ネックレスの水晶の部分に触ってみて下さい」
「…はぁ………えっ!これって”鑑定の宝珠”ですか!ステータスが見えるのですが!?…それにステータスが上がっています!」
「ああ、それはその”[聖衣神官服]”の所為ですよ。Lvが+3されるんです」
「……もう、何だか色々あり過ぎて訳が分からなく成ってきました…。”大魔法使い”と”大神官”を極めると、この様な事まで出来るのですか…はぁ~」
だから”神の使徒”だって言ってるだろうに。
――この世界、Lv差がある者に攻撃をすると、相手を倒さなくても経験値が入るらしくLvが上がる。
シス子が俺の左腕に噛みついただけで、Lvが3上がっていたので確認済みだ。
ステータスが上がれば体力が上がり死に難くなるだろうし、魔力が上がればカミラさんは魔法を使う回数が増える。
カミラさん、溜息を吐くのはまだ早いんだ。
これから君達のLv上げをやるんだからさ。
旅の途中で皆に魔法のMP消費量について聞いた。
生活魔法はMPを2。初級魔法はMPを10。中級魔法はMPを20。上級魔法はMPを30。
回復魔法は小回復がMPを10。中回復がMP20。大回復がMPを30。
そう、❛フルヒール❜は一回にMPを30消費するのだ。
カミラさんは❛フルヒール❜を40回程しか使えないんだから。
身の安全を考えると、30回前後か?
アルゥちゃんとルシルちゃんもレベリングだ。
そしてここであのアイテムを使う。
[自走式荷車]を王女達に運転させている間、暇な時間に造った物。
[聖なる水晶玉]に❛聖なる贈与❜を❛聖なる付与❜した処、[ギフト玉]が造れた。
[ギフト玉]には火・風・水・土・光の五属性と、生活・初級魔法が付与してある。
[ギフト玉]に手で触れ、《習得》と唱えれば付与される…と、思う。
皆には全属性を❛聖なる贈与❜してあるので、まだ誰にも試せていないのだ。
何回使えるのか?
どの属性や魔法が選ばれるのか?
それとも全てが付与されるのか、全く分からない状態だ。
俺の仮説。
”この世界は、神アマテラス様が魔法を中心に造ったモノ”だとすれば、大変なチートアイテムに成る事請け合いなんだ…。
”魔法使い”の世の中で、属性も無ければ魔法を使えない人間が沢山いる。
そんな人達にしてみれば、それこそ”魔法のアイテム”なのだから…
・
・
・




