第41話 静かな余波 ―日常と無限の狭間―
朝の光が、教室に差し込む。
静かなざわめき。
ノートの音。
誰かの小さな笑い声。
すべてが――普通だった。
ガウタムは席に座り、窓の外を眺めていた。
青い空。
流れる雲。
何も変わっていない。
……はずだった。
(静かすぎるな)
彼は心の中で呟く。
世界は、確かに戻った。
だが――
“繋がり”は消えていない。
目を閉じると、感じる。
遠くの世界。
異なる存在。
無数の流れ。
すべてが、まだ彼と繋がっている。
「……まあいいか」
小さく息を吐く。
その時――
「ガウタム?」
声がした。
振り向くと、一人の少女が立っていた。
ディヤ。
いつもと同じ制服。
だが、その瞳は――ほんの少しだけ深い。
「ぼーっとしてる」
軽く笑う。
ガウタムも、わずかに微笑んだ。
「ちょっとな」
短い会話。
だが――
その瞬間、空気が微かに震えた。
誰も気づかないほどの変化。
だが二人だけは――気づいた。
ディヤが小さく目を細める。
「……まだ終わってないでしょ?」
静かな問い。
ガウタムは窓の外を見る。
空の奥。
見えないはずの“向こう側”。
「終わったよ」
一度、そう答える。
だが――
少しだけ間を置いて、続ける。
「……でも、続いてる」
ディヤがふっと笑う。
「やっぱりね」
彼女は隣の席に座る。
何も特別なことはしない。
ただ、そこにいる。
だがそれだけで――
何かが安定する。
ガウタムは静かに目を閉じる。
(これでいい)
無限も。
日常も。
どちらも、否定しない。
その時――
ほんの一瞬だけ。
空が、揺れた。
誰にも見えないほどの歪み。
だが確かに――
“外側”からの視線。
新しい存在。
新しい世界。
新しい――物語。
ガウタムは目を開ける。
そして、ほんの少しだけ笑った。
「……来るなら、来い」
その声は小さい。
だが、確かに届く。
無限の向こうへ。
風が吹く。
日常が続く。
だが物語は――
まだ終わっていない。
――続く。




