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手がかり

 探索中。


「何んも無いや…。」

 疲れたのか、飽きたのかペーターは手頃な石に腰を降ろした。


「おっかしいな…。 」

 白頭巾も探索の手を止めた。


「手がかり残して無いんじゃない?」

 首を左右に振り、『ポキポキ』と音を出しているペーター。



 滴る。


「冷たぁ!」

 ペーターの大声に、身構える白頭巾。

 カートと神父は驚き、固まっていた。


「どうしたのペーター! 大丈夫?」

 白頭巾が駆け寄る。


「大丈夫…。」

 申し訳なさそうなペーター。

「何があったの?」

「首筋に水滴が…。」

 天井を見上げる。釣られ白頭巾も見上げた。


 そこには、無数の氷柱つらら状になった石の尖端にゆっくりと水が溜まり、限界を超えた順番に落ちていた。


 しばらくの間。


 上から下へと水滴の落下を追う様に観察する白頭巾。その姿はまるで『水飲み鳥』。


「もしかして!」

 何かを思い付いたようで、天井の氷柱石と対なっている床の柱石を見て回る。


 そのうち、一つに目を止め、

「ここだけ、不自然…。」

 しゃがみ込む。


 白頭巾の指摘通りに、柱石から拡がる裾の一部が盛り上がっていた。


 手にした短剣を振り上げ、はたと止めた。

「これ使っちゃ駄目か…。」

 短剣を鞘に戻し、通常のナイフを取り出した。


 逆手に持ったナイフを不自然に盛り上がった柱石の裾に突き立てた。


 何度も繰り返す。


 手応えと共に、突き立てたナイフの力が伝わり、埋もれていたものの形に割れ始める。


 皆が集まり、白頭巾の手元を見詰めた。

 何が、出てくるのかと期待を込めて。


 割れ目の隙間に、ナイフの尖端を差し込みねる。

 梃子てこの原理で持ち上がる埋もれていたものが、表面を割る。


「何それ?」

 ペーターが、耐えられなくなり聞いた。

 白頭巾は手に取りながら、

「何だろう?」

 目の高さまで持ち上げた。それは、厚さ五センチ程の本の大きさの素焼きの板。(我々感覚だと雑誌の大きさ。)

「重くは無いけど…。」


 ペーターは覗き込んみ、

「器ってわけじゃなさそうだね。」


「持って帰って調べてみるわ。」

 ペーターに渡す。


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