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一月十一日 追記
一月十一日 追記
奏子の体は冷え切った。
奏子の体は死にきった。
私の体はまだ暖かい。
私の体はまだ生き続けている。
奏子は私を置き去りにした。
奏子は私を裏切った。
私が「連れて行ってくれ」と頼んだ時、確かに彼女は肯いていたというのに。
奏子は私を憎んでいたのに違いない。
奏子は表面的な媚びを披瀝し私を欺いていたのに違いない。
私は屍人にさえ裏切られた。
ーーいやそうではない。
私は屍人に裏切られたのではなく、「跡部奏子」に裏切られたのだ。
そうだ。
お前は私を欺く緋色の娼婦。
私はそれを踏みにじるために海からあらわれた暴虐の使徒。
私はお前の欺きを裁く。
私はお前を消そう。
私の記憶から。
私は今、顫える手で、私の前から吹き飛んでしまう世界を辛うじて繋ぎ止めている。
私は怖い。
私が私を殺してしまうのではないかと。
私の精神と血肉は不一致だ。
もしも一致したその時は。……




