75話
「他の人を傷つけてまで手にする物なんて、あっちゃいけないんです! 魔法はそんな事をするためにあるわけじゃない筈です!」
ミックに向かって亡者が数体向かって来て、リサから距離をとならければならなくなる。
「お黙りなさい! さあリサ、私と共に魔法使いギルドを変えていきましょう!」
「私の魔法の価値……」
彼女は目を閉じて精神を集中させる。魔法の素質のない戦士やアンジーたちにも見える程、彼女の身体が魔力で発光している。これ程の力を持っていたから、リサは生かされネクロマンサーたちに目を付けられたのだろう。
「リサ?」
「師匠が認めてくれた価値を、この場で使って証明します!」
彼女の魔力に反応して篝火から火柱が上がる。火は彼女の得意とする属性なのだろう。だが、さらに彼女に向かって風が流れ込んでくるのを、ミックたちは感じていた。
「2つの属性を同時に扱っている? そんな事が出来る魔法使いなんて聞いた事ないわ!」
「リサ、何をするつもりですか!」
「師匠が教えてくれたこの魔法で、私の思いを伝えます」
今までアンジーやミックを襲っていた亡者たちが皆リサの方へ向かう。
「やめなさいリサ! 亡者たち、早く彼女を止め……!」
「火炎流!」
篝火から集まった火が二つの火炎となって、洞窟内で暴れまわる。荒れ狂う2匹の竜が、亡者たちを次々と焼き尽くしていく。
ミックたちは唖然としたままその光景を見ていた。炎は彼らには触れることなく、亡者だけを襲っている。
「リサ、どういう事ですか。あなたは私を裏切るのですか?」
亡者は一掃されたが、肉の巨人は火炎流を受けてなお、まだ残っていたが、既にいつ倒れてもおかしくない程ダメージを受けていた。
「これが答えです師匠。私は魔法を素質関係なく多くの人に使って欲しい。ですが、師匠はそうでない人を切り捨てるといった。だから私はあなたの下を離れます」
リサは師匠の考えを知った。そのために彼から離れる事を決意した。
「そして、そのために私の村を、両親を奪った事は許せない! そして何年も私の記憶を改ざんしていた事も! これはその怒りです!」
彼女の村を襲ったのを魔物の仕業にして、幻術で何年も彼女を騙し続けていた。故に彼女は魔法でその怒りをぶつけたのだ。
「せっかくの素質を無駄にするとは……もうあなたに価値はない。行きなさい肉の巨人!」
肉の巨人が彼女に向かっていく。リサも魔法を使う準備をするが、ふらつきその場に膝をついてしまった。
「あれほどの魔法を使っては流石に魔力は残ってないでしょう。観念しなさい!」




