第907話 恐竜の魔物が棲む島 穏やかな休日&洗濯魔法
誤字脱字を修正していますが、内容に変更はありません。
妖精さんの食事を作りながら昼食を簡単に済ませて、シルバーと島へ移動する。
もう敵の襲撃を心配する必要はないけど、何かあるといけないので一応結界を張って妖精さんの家まで歩いた。
玄関には昨日差し入れしたカレーの寸胴鍋と食器が綺麗に洗って置かれ、お礼の手紙が添えられていた。
『サラ様へ
カレーと異国の料理を美味しく頂きました。
我々のために、お手数をお掛けして申し訳ありませんが、これからも何卒よろしくお願いいたします』
相変わらず硬い文章だな。
異国の料理というのは、夕食のメニューにした親子丼の事だろう。
ガーグ老から妖精の食事は嗜好品扱いだと聞いたから、異世界にない材料でも問題ないと判断して米料理を出してみたのだ。
食べた事もない米料理だけど、妖精さんは美味しいと思ってくれたようだ。
ちなみに今日は牛丼にしてみた。
寸胴鍋と食器を収納したあと、アイテムBOXに入れた牛丼を人数分出して玄関の扉をノックする。
すると扉が開いた瞬間、次々と牛丼が消えていく。
姿の見えない妖精さん達が持っていったのだろう。
最後の牛丼が消えるのを見届けてから、ホームへ戻って兄にリクエストされた食パンとコーヒーを準備し、着替えの服を隣の部屋へ取りに行く。
兄と旭とセイさんの分は7着あればいい。茜と早崎さんの分も取りに行かないと……。
母に父と奏伯父さんとシュウゲンさんの着替えを用意しておくよう電話した。
洗濯を頼まれていたのを思い出し、先に荷物を取りに再び島へ行く。
呼び出したルシファーから服を受け取り、食材と着替えを渡してホームへ戻ると大量の洗濯に頭を悩ませた。
旭の家族の分は、お母さんがするから必要ないらしいけど……。
7人の1週間分は多い。家の洗濯機じゃ追い付かないな。
コインランドリーで済ませる? それでも時間が掛かりそう。他に何かいい方法がないかしら?
洗濯って、魔法で出来ないかなぁ~。
水魔法と風魔法を使えば、何とかなりそうな気がする。
迷っている時間が勿体ないし、兄の分を取り出して実験してみよう。
マンションの駐車場に移動して目の前に大きな水球を作り出し、その中に服を入れていく。
魔法で作った水球だからか、中に入れた服も重力で落ちたりしなかった。
更に液体洗剤を水球の中に腕を入れて投下し、風魔法で水が回転するようなイメージを与えると、服がクルクルと回り始める。
おおっ、これはいけそうだ! 問題は脱水よね。
水だけを収納すれば水球の中にある服は落下するだろうから、汚れないようにブルーシートを敷いておこう。
10分後。水を収納してみると、予想通り服がブルーシートの上に落下した。
濯ぎのために、もう一度同じ作業を繰り返し、最後に柔軟剤を入れて水を収納すると、服は乾いた状態になり干す必要がなくなった。
魔法で洗濯が簡単に出来るとは……。もっと早く、試してみれば良かった。
アイテムBOXの能力がない人には使えないけどね。
ただ、洗濯水と表示された量が多い。容量が無限に入るとはいえ、汚水が入っているのは嫌だな。
生ごみ、可燃ごみ、不燃ごみも、かなり溜まっている。
アイテムBOXに不要なごみを処理出来る機能があればいいんだけど……。
残り6人分の洗濯も魔法でさくさく終わらせて、服を畳んでいるうちに夕方になる。
実家へ行き、母と夕食の準備をしていると、双子達がやってきた。
キッチンに顔を出した遥斗が手伝うと言ってくれたから、春巻きを皮で包む作業をお願いする。
手が空いたので、エビマヨに使用する海老の皮を剥き背ワタを取って下準備を済ませ、青菜を炒める。
ワンタンスープを作り終わった母が春巻きを揚げ始めると、私は隣でエビマヨを作り始めた。
完成した料理を収納して島へ移動し、洗濯済みの服と一緒にルシファーへ渡す。
実家に戻ると、私達の分の炒飯を作っていた母が作り終わったところだった。
「いただきます!」
双子達が、熱々の春巻きを口に入れて相好を崩す。
「美味しい~」
私はダンジョン産の蟹がたっぷり入ったワンタンスープを飲み、にこにこしながら食べている2人の様子を見て、今日は何をしていたのか聞いてみた。
「ホーム内をドライブしてたよ。ここは、かなり広いね。どこまで行けるの?」
「そうね、Lvが上がった恩恵と合わせて家から半径700Kmは大丈夫よ」
「それなら日本国内が殆ど行けるじゃん! ホーム内が凄すぎる!」
「マッピングで移動すれば、どの観光地にも一瞬で行けるわよ」
「異世界に居ながら、国内旅行が出来るなんていいね!」
ホーム内の広さを実感したのか、遥斗が嬉しそうに雅人と顔を見合わせる。
「日本に居た頃は、仕事が忙しくて滅多に旅行する時間がなかったからな。移動時間が短縮出来れば、九州にも行けそうだ」
そう雅人が同意したので、来週の土日は4人でプチ旅行でもしようかな?
母が安定期に入ってから行こうと思っていたけど、マッピングで移動するなら体に負担は掛からない。
ネットで宿泊先を予約しておこう。
食欲旺盛な双子達がエビマヨを全部取ってしまう前に、自分の分を確保してゆっくり食べた。
夕食を済ませて家に帰ると、さっそくPCを開いて宿泊先を検討する。
どうせなら遠い場所がいいだろうか?
まだ北海道はホーム内の移動距離が足らず行けないのが残念だ。
九州なら福岡へ行ってみたい。本場の豚骨ラーメン、もつ鍋、明太子は、どれも美味しそう。
あぁ、でも母には豚骨ラーメンの匂いが駄目かも……。
それほど、つわりは酷くないと言っていたけど独特の匂いがするからね。
観光地にはマッピングで行けばいいので、宿泊先は温泉がある所がいい。
どこの温泉がいいかな~。貸し切りになるから、部屋付きの露天風呂は要らないか。
ダンジョンで稼いだお金を父が日本円に換金してくれたから、少しいい旅館にしよう。
色々と考えながら2部屋の予約を済ませた。
サプライズ旅行に喜んでくれるといいいな!
お風呂に入ってからシルバーを呼び出し、丁寧にブラッシングしてあげる。
気持ちよさそうに目を閉じているシルバーは、尻尾をゆらゆらと揺らしていた。
今は会えない他の従魔達が寂しがってないか心配だ。
フォレストと泰雅は、兄と旭が可愛がっているだろう。
黄金と山吹は、放置されていないかしら?
父と奏伯父さんが、ちゃんと面倒を見てくれてるといいけど……。
そんな事を思いながら、ヒールの検証をするため空になったペットボトルを取り出す。
前回は生物の時間を巻き戻して成功した。
ペットボトルの中身は元に戻るだろうか?
兄と旭が飲んでいたコーラが入っていたペットボトルを前にヒールを掛けると、一瞬にしてコーラが入っている状態になった。
水洗いをしたペットボトルだけど、中身がなくても大丈夫らしい。
空の缶ビールも同じようにしたら、空いていたプルタブが閉まり新品になった。
一度しか戻せないと言う規制はあるけど、単純に2倍になったと考えれば、お得だよね~。
何が入っていたか分からないプラスチックトレーにヒールを掛けると、ささみがラップでパックされた状態まで戻った。
時間調整を誤ると、前回のように鳥になってしまうから注意が必要だ。
何が出て来るか分からない楽しさもあり、ついついヒールを掛けすぎて魔力切れになってしまった私は、そのまま意識を失ったのだった。
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