26話:王都散策
ローレンスの朝市はフィオナの言う通り、大盛況だった。
まだ始まったばかりだというのに早々に人だかりが出来始める。
「予想以上だな」
しかも規模がとんでもない。
俺が前に見た朝市とは比べ物にならないくらいだった。
「朝市でこれだけ人が集まるのも商都ローレンスならではね。ちなみに朝市でしか売っていない商品もあるのよ」
「へぇ~」
「ま、とにかくこの街道を歩いてみましょ。見ているだけでも結構面白いんだから!」
俺はフィオナに連れられ、商店街を歩く。
確かに色々な物が売っているな。
衣類・雑貨・食品・野菜果物……
露店形式ではあるが、物品によってはしっかりとしたショーケースに入れられていた。
中には物珍しいものも……
「何か欲しい物があったら、言いなさい。アタシが買って差し上げるわ。これでね!」
そう言いながら、チラチラと裸の札束を見せてくる。
一体どこから出してきたんだ、それは……
「流石に、欲しい物くらいは自分で買うからそれはしまってくれ」
「それじゃあ、お礼の意味がないじゃないの。大丈夫よ、このお金はアタシが特別に用意させた国のお金だもの。全部経費で落とせるから問題ないわ」
「いやいや、それダメじゃないか?」
容易に使ってはいけないような気がするが、フィオナ曰く俺はそれほどのことされるに値するとのこと。
結局、このままじゃ収拾がつきそうになかったので一品だけ買ってもらうことになった。
「何が欲しい?」
「うーん、そうだな……」
何でも一つとなると選ぶに苦労するな。
その上、周りには様々な露店。
この無数に等しい選択肢から一つを選び抜くのは中々に至難の業である。
「なぁフィオナ。もう少し奥の方に……ってあれ?」
いつの間にかフィオナの姿がない。
さっきまで隣にいたはずなのに。
と、思っていたら前方右斜め前の露店にフィオナの姿を視認する。
「どうしたんだ?」
「ん、ああ……とても綺麗な水晶ペンダントがあったから見ていたの」
「水晶ペンダント?」
ショーケースに入っていたのは色とりどりの水晶? のようなものが埋め込まれたペンダント。
見たことがないものだったので不思議に思っていると、店主のお姉さんが説明してくれた。
「ペンダントトップに磨いた輝晶石を埋め込んだものです。ローレンスでは人気のアクセサリーなんですよ」
「輝晶石?」
「ローレンスの鉱山で採れる希少鉱石の一種よ。産出量が少ないから、高値で取引されてこういうアクセサリーとしても使われるの。この石は磨けば磨くほど水晶のように輝くから、水晶ペンダントって呼ばれているわ」
「高級品ってわけか」
チラッと値札を見てみたが、まぁ話を聞けば納得の額だった。
少なくとも一般人には中々手を出せない代物だ。
多分、貴族とか身分の高い人間が好んで買っていくものなんだろうな。
「…………」
フィオナはじーっとそのペンダントを見ている。
その眼はいかにも、「欲しいです」と言った感じだった。
「……欲しいのか?」
さりげなーく聞いてみると、我に返ったかフィオナは即座に首を振った。
「べ、別にそういうわけじゃないわ! ただ、綺麗だなって思っただけ! こんなもの、その気になればすぐにでも買えるんだから!」
誤魔化すように声を張るフィオナ。
すぐにでも買えるというのは嘘じゃないんだろうけど。
「ささっ、次行くわよ。あんたの欲しい物を探すんでしょ?」
「あ、ああ……」
照れ隠しをするように。
フィオナは奥の方へと歩いていってしまった。
残された俺はそのペンダントを見つめる。
「確かに綺麗だな」
きっとあの二人が身に着けると、もっと綺麗に光り輝くだろうな。
「なにしているの? 早く行くわよ!」
立ち止まる俺に早く来るよう催促してくる。
俺は「すぐに行く」と返事をすると、事を済ませ、フィオナの後を追った。
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