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24話:動揺するお姫様


「約束?」


「忘れたの? 勝ったら相手の言うことを一つ聞けるって約束」


「あぁー」


 すっかり忘れていた。

 というか俺は別に願いなんてないんだが……


「あ、その顔は「別に俺は願いなんてない」……って言いたげな感じね」


「フィオナはエスパーか何かなのか?」


 人の心を読めるのは脅威だな。

 それとも俺の顔にそう書いてあったのだろうか。


「でも本当に願いなんてないから、気にしなくていいんだぞ? むしろもう既に何個か叶えてもらってるし」


「それじゃアタシの気が収まらないわ。約束をした上で勝負に負けた以上、敗者には敗者なりの有様があるの!」


「うーむ……」


 まぁフィオナの気持ちは分からなくもない。

 特に彼女は陛下と同じで義理堅いというか……そういう一面があるからな。


 とてもいいことではあるのだが……


「あっ、そうだ。なら一つお願いをしてもいいか?」


「何でもいいわよ! あっ、ちなみに前もって言っておくけど、不純なお願いはダメだからね!」


「不純なお願いとは?」


「そ、それはっ! い、色々よっ!」


 突然顔を真っ赤にして目を逸らすフィオナ。

 その表情から意図を汲み取るに、多分返してはいけない場面だったか。


「まぁいいわ。さっきのは気にしないで! それで、お願いって?」


「王都を案内してほしいなって。まだ此処に来てからゆっくりと散策とか出来てなかったから」


「あ~確かにそうね。そういうことなら、お安い御用だわ。そろそろお店も開く時間帯だし、このまま行っちゃう?」


「フィオナがいいなら、俺は構わないぞ」


 疲れが出ているなら休めと言いたいところだったが、表情を見た限り大丈夫そうだった。

 この回復力も父親譲りなのだろうか。


「なら、早速行きましょ。この王女たるアタシが直々にこの国の素晴らしさを紹介してあげるんだから感謝なさい!」


「ああ、宜しく頼む」


 と、いうわけで。

 俺は勝者としてフィオナと共に王都を散策することになった。

 


 ♦



 フィオナとの早朝鍛錬が終わった後。

 俺は王宮内のフィオナの部屋の前にいた。


 準備をしたいから待っていてほしいと言われたのだ。


「お待たせ! 待たせて悪いわね」


 バタンと扉が開くと、御粧ししたフィオナが部屋から出てきた。

 

 髪色に合った白いワンピースに良い感じにカールされた銀髪。

 化粧も厚すぎず、ほんのりとされていて元が美人なものだから、それが更に際立っていた。


「な、なによ。さっきからじっと見て」


 不審そうに俺を見るフィオナに俺は答えた。


「可愛いなって思ってさ。さっきまで剣を振っていた女の子と同一人物には思えないくらいに」


「か、かかかっ、可愛いっ!?」


 俺の一言に酷く動揺する。

 別にお世辞とかではなく、本心から言ったつもりなんだが……言葉選びが不敬だったか?


「す、すまん。言葉が幼稚すぎたな。もうフィオナだって立派な――」


「ち、違うの!」


 フィオナは俺の言葉を遮ると。


「す、少しびっくりしただけだから。正面からか、可愛いなんて男の人に言われたのは初めてだったから……」


 モジモジしながら。

 その恥ずかしさを隠すように俺から目線を逸らす。


「フィオナ?」


 俺が問いかけても目を逸らしたまま、しばらく返答がなかった。

 だが一分ほど経った後、フィオナは深呼吸すると、再び俺に目を合わせてきた。


「取り乱しちゃってごめん。でもそう言って貰えて嬉しいわ。ありがとうね」


「お、おう……」


 フィオナは急に冷静さを取り戻すと。

 

「じゃあ、早速行きましょ。あんたにはこれからお腹一杯になるくらいこの国の良さを知ってもらうんだからっ! さぁ、早くついてきなさいっ!」


 意気込みを語ると。

 フィオナは何故か凄く嬉しそうにしながら、前を歩いていくのだった。

お読みいただき、ありがとうございます!

モチベーションの向上にも繋がりますので、面白い・応援したいと思っていただけましたら是非ブックマークと広告下にある「☆☆☆☆☆」から評価をしていただけると大変嬉しく思います。


宜しくお願い致します。

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