表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

第一話 第五世代VRMMORPG

初めまして伯爵です。

目指すはやりたくなるMMO。

そんな内容を意識していきたいです。

––––Sクラス刀技グランプリを優勝したのは今年も彼女、神泉霧雨(かみいずみきりあ)嬢です!

今年で2年連続制覇ともあり、女子刀技者では最強と名高い霧雨嬢ですが、今の気持ちは如何でしょうか?


ふとホログラムのテレビジョンスクリーンから聞き覚えのある名を耳が捉えた。

目を向ければ今世間では世界最大流行スポーツの1つ、総合格闘技グランプリにおける最大人気を誇る、刀技試合(サムライアーツ)の日本頂上グランプリが映し出されていた。

その女子部門における覇者こそが、今インタビューを受けている神泉霧雨嬢というわけだ。


––––今年も実力が拮抗した方々が多く、なんとか勝ち抜けたことに安堵しています。


なんて恥じらい顔を見せながら殊勝な態度で質問を交わしていく様は、この手の質疑応答を数多くこなして来た賜物であろうか。

試合で魅せる大胆不敵な刀捌きだけを見れば、むしろ真逆の印象をすら受ける。


––––"Second Fantasy Online"のインストールが完了しました。


と、今をときめく時の人たる神泉霧雨嬢のインタビューを眺めていれば、脳内に響く電子合成音に無機質に流れる視覚テロップ。

|拡張現実(AR)が当たり前に普及した世の中ではあるが……

––––俺はイマイチ苦手だ。得意ではないだけと言ってもいい。


Second Fantasy Online、通称SFO。

拡張現実に|仮想現実(VR)における発展が著しい現代において、その最新鋭の先触れと呼ばれるゲームタイトルだ。

"第五世代"と呼称されている新技術により開発されたVRMMORPG。

第一世代は仮想現実とは名ばかりの荒いテクスチャ、目立つ遅延ラグ、機械的反応しか返さないAI。


そしてそれらをフォーカスと呼ばれる技術でテクスチャ全体の過負荷を避ける事により、視覚グラフィックの質を向上させた第二世代。


第三世代においてはサーバーの見直しから始まり、細やかな技術向上、そして豊富な反応パターン、アルゴリズムを擁したAIの投入。

この第三世代において、世が望むとされた仮想現実の水準を満たしたと言われている。


そして第四世代と謳われるタイトルのデモンストレーションが東京や仮想現実内で行われる中発表された、"第五世代"のVRMMORPG、Second Fantasy Onlineと言うわけだ。

当然世界はその発表に震撼したし、そう騙っただけの中身を伴わない代物だと揶揄されたりもした。

だが、開発総責任者の名前を見た人々は––––まさか、と誰もが考えた。


現代を語る上で避けては通れない1つの名がある。

それは今世を創り上げた父と呼ばれた人物。

拡張現実及び仮想現実の世界的普及、その礎を築き上げるために世に電脳化を広めた伝説的科学者。

彼が居たからこそ今世があるとまで呼ばれ、現代では人の手による"技術特異点(シンギュラリティ)とさえ言われている。

まさに現代の科学の父であり母だ。


とはいえその血縁まで天才とはいかなかったのか、その子孫からは以降目だった活躍はなかったのだが……

"神創成美(かみはじめなるみ)"、SFOの開発主任であり総責任者。

かの伝説の子孫であり、その再誕を噂された才女である。


実際公開された内容が事実であるならば、SFOにおける技術は世界を見渡してなお新鋭を凌ぐだろう。

仮想でありながら現実に限りなく近い世界。

そして数々のVRMMOを手掛けてきたプロデューサーが語る、これがゲーマーの為のMMOだという言葉。

––––世界はその正式リリースを前に静かな熱狂に包まれていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ