【第五回】デンモクらじお【料理等その他スキル】
「お待たせしました! 皆の憩いのゲリラレイディオ!」
「みんな夏バテしちゃってないよね? まだまだ夏は始まったばかりだよぉ」
「…………」
「…………」
「……前回はバテバテだったけどね、二人とも」
「……仕方ないじゃない、自然には逆らえないもの」
「でもでも、今回はなんと――?」
「分かってるよぉ、全身で感じちゃってるよケロちゃん! さぁ、言っちゃって!」
「灼熱地獄だった物置にクーラーを取りつけてもらいました!」
「やったぜぃ! あぁ、なんて麗しの摂氏24℃!」
「どうでもいいけど、セルシウスって響きが格好いいよね! 今だったらアバター名がセルシウスになってるね、たぶん! それぐらい清々しい気分なんだよ!」
「物語に支障が出るからやめて!?」
「第一位になっちゃえば問題ナシ! オールオッケー!」
「葵ちゃんはどうなったのさー!?」
「というわけで、いつものノリでいっちゃいましょう! ケロちゃんと!」
「シトリーの!」
「「デンオクらじおー!」
「気が付いたらもう第五回だねー。わーぱちぱちぱちー!」
「今日のゲストはボクが呼んできたからねぇ」
「もう温暖化の恐怖はないし! 何人でもウェルカム!」
「いや、一人だけど……」
「え゛ー!?」
「……俺の出番はまだかい?」
「あ、ごめんごめん! ちょっと前置きに時間かけ過ぎたかも!」
「それじゃあ紹介始めるよぉ。≪Trattoria del Diavolo≫からはるばる来てもらいました! 地獄の料理長、ニスロクさんです!」
「やぁ、どうも。地獄に来たときは是非、うちのお店をよろしく」
「このトラットリア・デル・ディアボロって? なんだか凄そうなんだけど」
「大した意味じゃないよ。イタリア語で『悪魔のレストラン』って意味だね」
「あー聞いた事あるかも。悪魔の左腕みたいな――」
「わ゛ー!!!!」
「…………?」
「時々……危ない発言するよね、君って」
「ケロちゃん、思ったことをすぐに喋っちゃう感じだからねぇ……」
「だ、大丈夫だって、たぶん。うん、深い意味はないって」
「ま、俺も店の名前を付ける時にいろいろ調べたんだけどさ。TrattoriaだとかOsteriaだとか、そういった食事処を指す言葉の後ろに『悪魔の~』を意味する『del Diavolo』を付けるのはよくあるらしいから」
「あー、『神が食物を作り、悪魔が調味料を作る』だね」
「なんで、そういう知識ばっかり詳しいのか……」
「何を隠そう漫画知識ですっ」
「ジャンプっ娘なんだねぇ」
「天使側でも同じようなグループはあるらしいし、俺としてはどっちでも良かったんだけど。せっかく悪魔側に決まったなら、とことんやってやろうかってことで」
「【ニスロク】でも第一位は大変なんだよねぇ、わざわざ依頼を回すほど材料が足りないんだからさ」
「私たちもよく材料の調達してるもんね。お礼に貰える料理で本当に助かってるから、もっと頼んでくれてもいいんだよ?」
「いや、あんまり頼んでも君らのランク維持が大変だろうからさ。そんなに料理アイテムが重宝してるなら、自分たちで作って見てもいいんじゃないかい?」
「……ボクたち料理スキル上げてないからねぇ」
「あんまり戦いに関係してないステータスはね……。第一位ともなると絶対凄いことになってるよ、うん」
「ま、確かに。始めて悪魔陣営に割り振られた時から【ニスロク】で一位を目指すことを決めてたからさ。最初の方は素材を集めに自分でダンジョンに潜ったりもしたけど、あとは料理一本だね」
「料理、採掘、釣りみたいなスキルは使えば使うほど経験値が溜まるシステムだから、ひたすら回数を重ねることが一番の近道って感じ?」
「アルマゲドンに勝った次の月に少し上昇補正も入ることもあるけど、概ねそんな感じだねぇ」
「あとグループの補正も、だね」
「スキルレベルが高い程、良い効果のアイテムが手に入るよぉ」
「つまりは上位者の作った料理の方が、より需要が高くなりやすいと」
「もちろん。まぁ、所持金の少ない初心者のために、低レベルアイテムを使った料理もウチは置いてるけどね」
「流石だねぇ。料理アイテムの効果って回復プラスαが中心なんだっけ?」
「そうだよ。回復量はランクに比例して、あとは攻撃力・防御力――あとは体力の最大値を一時的に上げるものもあるね」
「一応これらのアイテムってアルマゲドンでも使えるから、纏めて料理を用意してたのが9月の話かぁ」
「あー、最下層で天使に絡まれたやつだね」
「あのときはいろいろと追いつかなかったからね。[ダンタリオン]からも『例の《奥義スキル》も実装されたばかりだから大目に用意して欲しい』って頼まれたわけよ」
「あのアルマゲドンもギリギリのところだったし、実際勝てたのはニスロクの協力があってこそってことだよねぇ」
「ま、感謝してるなら――これからもどうぞ御贔屓にってことで」
「むしろ最後に、しっかりアピールしないといけないかもねぇ」
「『これまでのデンモクらじおは――以上の提供でお送りしました』みたいな?」
「そうそうそれそれ。名前がズラーっと並んでたりして……って他のお店とか出てきたっけ?」
「……出てないかも?」
「スキルの関係上、専門で店を出してるのはウチのような料理アイテムぐらいだからなぁ。一応、釣った魚を売る専門で動いているプレイヤーも、アイテムの強化を請け負うプレイヤーもいるんだけども――」
「あららら。殆どボクらに関わりがなかったじゃない」
「……これは番外編の余地がありそうですねぇ……」
「……ケロちゃん? おーい、大丈夫?」
「……あれ? あぁ、大丈夫大丈夫。少し作者の思念が――」
「大丈夫じゃないやつだそれ!! ボク知ってんだから!!」
「俺も実を言うと、作者の都合で登場したキャラクターだったり……」
「《天使のパイ》……うっ頭が……!」
「というか、ニスロクも結構早い段階で出てきたとか聞いたけど?」
「そもそも、ケルベロス→ブエル→ニスロクの順番で生まれたとか――」
「あっれぇ? おっかしいなぁ、ボクの名前が聞こえなかったんだけど?」
「その次がアスモデウスさんで――」
「んんんん? おっかしいなぁ、シトリーのシの字も出て来ないんだけど!?」
「――その次がシトリーかなぁ」
「もう! 今は一話から出てるのに、あれが後から書き足されてたってことがバレちゃうじゃないかぁ!」
「なんだかんだ言って頻繁に書き直してるし、そんなの今更じゃない」
「ま、始まりはなんであれ、12月あたりにはそれこそ店名が出るぐらい使ってもらえたから満足なんだけどさ。下手すると9月以降出番がないと思ってたよ」
「ほら! こうやって出番に怯えてる人もいたってのに! プロローグと最初の説明回が終わるなり、メインの章が始まる人は違うぜ!」
「わ、私の過去編のことはいいじゃないの! むしろあれ……恥ずかしい思い出しかないんだけど……」
「何言ってんのさ! 見せ場があるって良いことじゃない、ねぇ?」
「そうだとも、贅沢はよくない」
「そんなぁ……。でもシトリーだって、ねぇ?」
「そうだとも。そもそも――」
「そもそも?」
「言ってやりなよニスロク!」
「二人ともタイミングは違えど、グラシャ=ラボラスと喧嘩するなり姿消すのはどうかと――」
「「わ゛ー!!!!」」
「っ!?」
「も、もう時間も押して来てるしね! そろそろラジオも終わりの時間じゃない?」
「そ、そうだよケロちゃん! エンドコール入らないとだよ!」
「そんなに思い出したくない出来事だったのかい……」
「今日はね、ニスロクにスキルの話もいっぱいしてもらったし!」
「お礼に最後にお店の紹介もしておかないとだね!」
「このラジオは!」
「ご覧の提供でお送りいたしました!」
「ご覧のってこれラジオなんだけど――」
「次回もこうご期待! ケロちゃんと!」
「シトリーと!」
「……はぁ。ニスロクの――」
「「「デンモクらじおでしたー!」」」




