偏見紹介
「お兄ちゃん! どういうこと!?」
クエストを受けたりしてわざと真夜中にグランと帰ってきた俺は、リフィアに怒鳴られていた。
「何がだ?」
俺は惚けておく。
「わかってるでしょ! 何でお兄ちゃんの家に女の人も女の子もこんなにいるの!?」
……さあ?
「パートナーだから?」
「何で疑問系!? 聞いたけど、ここはお兄ちゃんのハーレムなんでしょ!?」
「誰情報だよ」
「アーティアさんだよ! アーティアさんはペットだって言ってたよ! ペットって何!?」
……アーティア。何つう自己紹介してんだ。
「アーティアはペットじゃない。情報を得るために買った奴隷だよ」
「アーティアさんは『いつもいつもご主人様にはお世話になっています。……夜の方もたっぷり可愛がってもらって』って言ってたもん! お兄ちゃんの変態!」
誤解だ!?
「……いや、アーティアとはそんなんじゃないから」
「『は』!? 『は』ってどういうこと!?」
「……………………別に深い意味は」
「じゃあその間は何!?」
「妹よ。俺が説明してやろう」
バサッとグランが翼を広げて前に躍り出る。
「……とりあえず、座って話そうぜ」
せめてもの抵抗として、立ち話は止めてもらった。
▼△▼△▼△▼△
「まず、この家の主であるシューヤだ」
おぉ、意外と普通だ。
「少しSっ気があるが、それは夜と戦闘においてだな。こう見えて意外と戦闘好きだ」
「おいグラン。余計なこと言うなよ」
何気に妙な情報混ぜやがった。
「俺はシューヤのパートナーの機竜・ワイバーン、グランディアだ。普段はこのように鷲の姿を取っている」
真面目な自己紹介だな。
「正妻は作らない性分でな。妾はいくらでもいるぞ」
おいおい、自分も妙なこと言ってんじゃねえよ。
「白帝竜・カイザードラゴンのディメロウスだ。シューヤのパートナー兼初めての相手だ」
おい、何で知ってんだよ!
ディメスは顔を赤くして俯いてしまった。
「戦女神・ヴァルキリーのフィネアだ。シューヤのパートナー兼愛人だな」
いつの間に!?
「メテオグラビトンレックスのメティラティだ。シューヤのパートナー兼恋人だな」
メティとそんな関係になった覚えはないぞ!?
「アーティアだ。家事全般を担う。シューヤの奴隷兼玩具だな」
玩具!? どういう意味で!?
「蒼炎帝・フレイオスのナティアミゼルだ。シューヤの奴隷兼ペットだな」
ペットじゃねえし!?
「ダークエルフのエイラだ。家事の手伝いをしている。シューヤの妾だな」
何でエイラまで妾に!?
「犬の獣人のイシアだ。エイラの妹で、同じく家事の手伝いをしている。シューヤの妹ペットだな」
イシアまで巻き込むなよ!
「そして、炎系の神、魔物と契約したリフィア。シューヤの義理の妹兼俺とイシア以外の義妹になる予定だ」
俺は二人以外の全員と結婚するのかよ! 今のところその予定はないぞ!?
「……おい、グラン。何だその偏見が半端ない紹介は。事実皆無だぞ!」
「主、私と過ごしたあの夜を忘れたんですか」
「ディメスは例外でな!」
事実、ディメスだけはあってるし。
「……お兄ちゃん?」
おおう? リフィアが立ち上がって俺を睨んでるぞ?
「何で私がお兄ちゃんの正妻でも妾でも愛人でもないの!?」
……は?
「……怒るとこ、違くね?」
「違わないよ! 私もお兄ちゃんのハーレムに立候補するもん!」
「しなくていいし。大体、お前は妹だろ」
「シューヤよ。血の繋がっていない姉妹とは結婚していいのだぞ」
マジで?
「いや、でもさ……」
「往生際が悪いぞ、シューヤ! 何人もの女を侍らせてこその男だろう!」
何でグランに説教されてんの!?
「……まあ、別にハーレムじゃないからいいけどさ」
今のところはディメスだけだ。
「大丈夫です。今日の夜、全員で押しかけますから」
「止めろ」
アーティアをすぐ一蹴する。
「まあいいや。俺は風呂入ったら寝る。お前らも、夜更かしはするなよ」
そう言って席を立ち、去った。
▼△▼△▼△▼△
「……ふぅ」
まあ、アーティアはああ言ったが、誰も来ないだろ。
俺は風呂に入った後、すぐにベットに横になって目を閉じる。
……そういや、今日はアーティアが風呂に来なかったな。おかげで今日は何もなく寝れそうだ。
「……」
……ドアがゆっくり開けられる音がした。薄く目を開けると、確かにドアが開いていた。
「……ご主人様? もう寝られましたか?」
入ってきたのは、アーティアだ。
「起きてるんですね? 寝た振りのままでもいいですよ? 私一人でしますから」
「何をするつもりだよ」
バレてたので、起きることにした。
「……もちろん、気持ちいいことですよ」
アーティアはもぞもぞと俺の布団に潜り込んでくる。
「おい」
「ふふっ」
アーティアが俺に覆い被さるように現れた。
「……で、何の用だ?」
「何のって……。わかっている癖に、言わせるんですか? 夜・這・い、です♪」
……何で嬉しそうに言うかな。
「……まあ、最近アーティアは俺の中で変態化してるから、いつかは来るんじゃないかと思ってたけど」
「昨日のあれは予行練習というわけですね」
アーティアは納得したように言う。
「いや、ちげえよ」
「そうですか。それはともかく、早く営みましょう」
「何でだ。俺はするとは言ってないぞ」
「えっ? ……ご主人様は私をいらない奴隷だと言うのですか?」
「は? いやいや、何でそんな話になってんだよ」
「奴隷はご主人様に求められることが悦びです。ご主人様が私を求められないのは私がいらない奴隷だからです」
「……俺にはわからん理論だな」
「ご主人様はご主人様だからわからないんです。……ご主人様に捨てられたら、私はどうやって生きれば……」
「深刻になりすぎだろ。大体、俺はまだ捨てるとは一言も……」
「じゃあ子作りしましょう!」
さっきまで俯いてたのに、嬉しそうに顔を上げて言った。
「飛びすぎだ、バカ」
捨てるか営むかの二択とか有り得ねえし。
「……ご主人様は私をいらない奴隷だと言うのですね?」
「いるけど、何でその二択?」
「? 奴隷なんて、性玩具として使うか盾にするか、使い捨てるかのどれかしかありませんよ?」
……何で不思議そうな顔してんの?
「いや、一緒に戦うとかあるじゃん」
「それはオマケです。むしろご奉仕こそが奴隷の本業!」
「……男の奴隷買うヤツは?」
「そういう趣味か、盾か使い捨てですね。基本、奴隷より普通の人の方が強いものです。一緒に戦うためにわざわざ奴隷を買うのは、戦う時に勝手に逃げたりさせないようにですね」
そういうものなのか。
「ナティアはどうなんだ?」
「ナティアさんは戦闘色が強いですから、役に立つと思って買ったのでは?」
「まあ、そうだな」
グランに勧められるがままだったが。
「ーーという名目で、性奴隷にするつもりだったと」
「……いや、違うし」
第一、最初見た時は男か女かなんてわかんなかったし。声聞いて知ったけど、鬣あるじゃん、メスライオンなのに。
「……とりあえず、私もう我慢出来ないんです。いいですか?」
僅かに赤みを帯びた頬。月明かりで薄暗い中、何やら色っぽい雰囲気を出しているアーティアがとても可愛く見えて。
「……しょうがない奴隷だな」
「……ご主人様」
俺は最初は優しく、後に本能に任せて一夜を過ごした。
次はリフィアが召喚された時のことを書こうと思います。
炎系の神全部と契約出来た理由、とかですね。




