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英雄、やります(仮)  作者: 星長晶人
アンドゥー教編

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11/85

とりあえず

「え~っと、アーティアだっけ? 俺はシューヤ。よろしくな」


 さっきの奴隷売り場は結構人気のない場所にあったので、炎帝・フレイオスも連れている。……今は路地裏で自己紹介中だが。


「私はディメロウスです。ディメスと呼んでください」


「私は、メティラティです。メティと呼んでください」


「私はフィネアよ。よろしく」


「はい。アーティアと申します。よろしくお願いしますね、ご主人様」


 にっこり笑顔で言った。……結構可愛い。


「それで、炎帝さんはどうしたんだ?」


 さっきからちょっと離れたところで縮こまってる。


「……私達を見て怖がってるみたいですね。あと、蒼炎帝・フレイオスですよ」


 蒼炎帝? 確かに鬣の炎は蒼いが。


「炎帝・フレイオスの突然変異です。メティと同じようなものですね」


 そうなのか。


「だったら怯える必要はないんじゃないか? 強いんだろ?」


「はい。どうやら、相当怖い目に遭ったのかと」


 なるほどな。


「……おい」


「っ! な、何?」


 ビクッと反応する。その反応がハムスターみたいで可愛かったりする。


「……怯えてないでこっち来いよ」


 俺はゆっくり近付く。


「い、いや」


「……何でだ?」


 縮こまっている蒼炎帝・フレイオスを抱き締める。


「……だって、奴隷になる前に他の種族に滅ぼされて、ボロボロになったところを人間に捕まったんだもん」


 他種族と人間が怖い、と。


「大丈夫だ。あいつらは変わり者だからな。怖がる必要はない」


「……本当?」


「本当だ」


 ディメスは最後の生き残りだし、メティは突然変異だし、フィネアは同種族に追われてたらしいし。


「……わかった」


 そう言うと姿が変わった。


「え?」


 蒼いショートカットの髪に黄色い瞳、紺と紅二色の服で身を包んだ、美少女がいた。スタイルは抜群というわけではないが、均整は取れている。


「私はナティアミゼル。よろしくね、ご主人様♪」


 美少女、ナティアミゼルは俺の腕の中で満面の笑みで微笑むのだった。


「……とりあえず、長いからナティアな」


 色々ツッコミを放置し、言った。


「うん」


 とりあえず、俺は他の人のところへ戻った。


「……というわけで、蒼炎帝・フレイオスのナティアミゼル。ナティアって呼ぶことにした」


 四人は見ていたので簡単に言った。


「……俺を忘れているだろう、シューヤ」


 グランがむすっとしたような声で言った。


「悪い。こいつはグランディア。グランって呼んでる。普段は鷹だが、騎竜・ワイバーンだ」


 名前は二人に、正体はアーティアに向かって言った。


「よろしく頼む」


「……蒼炎帝・フレイオスに騎竜・ワイバーンですか。凄いですね、ご主人様は」


 アーティアが驚いたように言う。


「ちなみに、ディメスは白皇竜・カイザードラゴン。メティはメテオグラビトンレックス。フィネアは戦女神・ヴァルキリーだ」


「す、凄いですね。このような方達の中に私がいるのは少し合わない気がします」


「いや、俺は人間だから。かといって強くないし、そんなことは気にしなくていい」


 苦笑して言う。情けないが、事実、一番弱い。


「そうですか? ありがとうございます」


「ところで、こんな人数になったし、宿か家を探したいんだが、どこかいい場所を知らないか?」


 早速アーティアに聞いてみる。


「……そうですね。この人数になると泊まれる宿は少ないですね」


 考え込むようにして言う。


「やっぱりか。じゃあ、家を買うのはどうだ?」


「この人数がゆったり出来る大きさとなると、金貨十枚からになると思います」


 ……持ち金が消えていく。


「金貨三十枚以内でいい物件を頼む。……ディメスとメティはアーティアについていってくれ」


「は、はい」


「わかりました」


 ディメスとメティが頷く。


「俺らは飯と家具、日常に必要なものを揃える。……アーティアにはこれを渡しておく」


 俺は革袋をアーティアに差し出す。


「……これは?」


「金貨三十枚。奪われたら三人で取り返してくれればいいから」


 ……そんな気の毒な同情せざるを得ないヤツがいたら、だが。


「あと、ナンパされたら遠慮なくぶっ飛ばせ。ーー以上だ」


 三人程の美少女になると余計な輩まで呼び寄せるからな。


「……遠慮なくですと、命の保障は出来ませんよ?」


 ディメスが目を細めて言う。……そうだよな。


「そこは三人の裁量に任せるとしよう。じゃあ、別行動をするんだが、どうやって連絡を取ろうか?」


 グランとはテレパシー出来るんだが。


「パートナーと主人は念話が出来ます」


「奴隷とご主人様も念話が出来ますよ」


 おぉ、結構便利。


「わかった。じゃあ、だいたい検討がついたら買っていいからな。期待してる。ーーんじゃ、行くぞ」


 俺が言って、二手に分かれーーない。


「……あれ?」


「……いい感じに締めましたが、行く方向は同じです」


 アーティアが少し呆れていた。


「……まあ、行こうか」


 ……カッコつかねえな。

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