とりあえず
「え~っと、アーティアだっけ? 俺はシューヤ。よろしくな」
さっきの奴隷売り場は結構人気のない場所にあったので、炎帝・フレイオスも連れている。……今は路地裏で自己紹介中だが。
「私はディメロウスです。ディメスと呼んでください」
「私は、メティラティです。メティと呼んでください」
「私はフィネアよ。よろしく」
「はい。アーティアと申します。よろしくお願いしますね、ご主人様」
にっこり笑顔で言った。……結構可愛い。
「それで、炎帝さんはどうしたんだ?」
さっきからちょっと離れたところで縮こまってる。
「……私達を見て怖がってるみたいですね。あと、蒼炎帝・フレイオスですよ」
蒼炎帝? 確かに鬣の炎は蒼いが。
「炎帝・フレイオスの突然変異です。メティと同じようなものですね」
そうなのか。
「だったら怯える必要はないんじゃないか? 強いんだろ?」
「はい。どうやら、相当怖い目に遭ったのかと」
なるほどな。
「……おい」
「っ! な、何?」
ビクッと反応する。その反応がハムスターみたいで可愛かったりする。
「……怯えてないでこっち来いよ」
俺はゆっくり近付く。
「い、いや」
「……何でだ?」
縮こまっている蒼炎帝・フレイオスを抱き締める。
「……だって、奴隷になる前に他の種族に滅ぼされて、ボロボロになったところを人間に捕まったんだもん」
他種族と人間が怖い、と。
「大丈夫だ。あいつらは変わり者だからな。怖がる必要はない」
「……本当?」
「本当だ」
ディメスは最後の生き残りだし、メティは突然変異だし、フィネアは同種族に追われてたらしいし。
「……わかった」
そう言うと姿が変わった。
「え?」
蒼いショートカットの髪に黄色い瞳、紺と紅二色の服で身を包んだ、美少女がいた。スタイルは抜群というわけではないが、均整は取れている。
「私はナティアミゼル。よろしくね、ご主人様♪」
美少女、ナティアミゼルは俺の腕の中で満面の笑みで微笑むのだった。
「……とりあえず、長いからナティアな」
色々ツッコミを放置し、言った。
「うん」
とりあえず、俺は他の人のところへ戻った。
「……というわけで、蒼炎帝・フレイオスのナティアミゼル。ナティアって呼ぶことにした」
四人は見ていたので簡単に言った。
「……俺を忘れているだろう、シューヤ」
グランがむすっとしたような声で言った。
「悪い。こいつはグランディア。グランって呼んでる。普段は鷹だが、騎竜・ワイバーンだ」
名前は二人に、正体はアーティアに向かって言った。
「よろしく頼む」
「……蒼炎帝・フレイオスに騎竜・ワイバーンですか。凄いですね、ご主人様は」
アーティアが驚いたように言う。
「ちなみに、ディメスは白皇竜・カイザードラゴン。メティはメテオグラビトンレックス。フィネアは戦女神・ヴァルキリーだ」
「す、凄いですね。このような方達の中に私がいるのは少し合わない気がします」
「いや、俺は人間だから。かといって強くないし、そんなことは気にしなくていい」
苦笑して言う。情けないが、事実、一番弱い。
「そうですか? ありがとうございます」
「ところで、こんな人数になったし、宿か家を探したいんだが、どこかいい場所を知らないか?」
早速アーティアに聞いてみる。
「……そうですね。この人数になると泊まれる宿は少ないですね」
考え込むようにして言う。
「やっぱりか。じゃあ、家を買うのはどうだ?」
「この人数がゆったり出来る大きさとなると、金貨十枚からになると思います」
……持ち金が消えていく。
「金貨三十枚以内でいい物件を頼む。……ディメスとメティはアーティアについていってくれ」
「は、はい」
「わかりました」
ディメスとメティが頷く。
「俺らは飯と家具、日常に必要なものを揃える。……アーティアにはこれを渡しておく」
俺は革袋をアーティアに差し出す。
「……これは?」
「金貨三十枚。奪われたら三人で取り返してくれればいいから」
……そんな気の毒な同情せざるを得ないヤツがいたら、だが。
「あと、ナンパされたら遠慮なくぶっ飛ばせ。ーー以上だ」
三人程の美少女になると余計な輩まで呼び寄せるからな。
「……遠慮なくですと、命の保障は出来ませんよ?」
ディメスが目を細めて言う。……そうだよな。
「そこは三人の裁量に任せるとしよう。じゃあ、別行動をするんだが、どうやって連絡を取ろうか?」
グランとはテレパシー出来るんだが。
「パートナーと主人は念話が出来ます」
「奴隷とご主人様も念話が出来ますよ」
おぉ、結構便利。
「わかった。じゃあ、だいたい検討がついたら買っていいからな。期待してる。ーーんじゃ、行くぞ」
俺が言って、二手に分かれーーない。
「……あれ?」
「……いい感じに締めましたが、行く方向は同じです」
アーティアが少し呆れていた。
「……まあ、行こうか」
……カッコつかねえな。




