二度目なら迷うことはない
簡単に見つかったら、隠されている意味ないよな。
俺はそんなことを考えながらも、探索を続ける。
「どうだ、あったのか?」
「ないよ……というか、どうせなら一緒に探してくれよ」
「ふ……拙者の力だぞ?ギミックと呼ばれるものすらも壊してしまうほどの力があるかもしれないだろ?」
「さすがに、そこまでギミックは弱くないだろ」
真剣な表情でカナが言ってくるが、それはさすがにないと思ってしまう。
いや、ないであってほしいが正解なのかもしれないが……
本来ではあり得ないことであっても、このゲーム世界であるなら予想外なことが起きたところで、そんなものかで済ませてしまいそうだ。
いや、よくないよな。
そうやってなんでもかんでもを、この世界が悪いってことにするのは……
「見つかりましたか?」
「まだだな」
「でしたら少し休憩をなさぃませんか?」
「休憩?」
「はい。あまり根を詰めて探しても見つかるとは限りませんわ」
「そうだな」
確かに言っていることについては正しいことだ。
だけど、なんだろうかこの違和感は……
まるで、消えたナオのことを探すのを遅らせるような動きだ。
何かを知っているとでもいうのだろうか?
いや、それは考えすぎなのか?
俺はどうしてこのタイミングで言ってきたのかを考えたが、正解はわからない。
だけど、そんなときだった。
「拙者も休憩をしようと思う、どうだ?」
カナがそんな言葉とともに、俺に近づいてくる。
まるで有無を言わせないような動きに、俺は違和感しか覚えない。
「何かあるのか?」
「何を言っている?」
「絶対におかしいだろ」
「そんなことはないぞ、なあヤン」
「ええ、ありませんわ」
何がどうして、こんなわかりやすい誤魔化しかたができるっていうのだろうか?
だけど、わからないこともあった、どうして誤魔化してまで行かせないようにしている理由がわからない。
ここにいないものたちがピンチだとしても、俺を引き留める理由にはならないはずだ。
だって、主人公である自分が行かなければ、物語が動き出すことはないはずだ。
それなのに、ここまでのことをするのには理由がないとおかしい。
俺は思い当たる理由について、考えてみた。
何がある?
エロゲーだし、それに直結することか?
待っていれば服が破けるとかなのか?
そうなると、誰の服が破けるんだ?
俺はふと二人を見る。
何か変化が起きているわけではない。
そうなると考えられるのは別のことだ。
何かを隠しているというのは確実だ。
それが何なのかわからないが、ここで止まるという選択肢は俺にはなかった。
だから探索を続けようとしたときに、カナが口を開く。
「おいおい、いいのか?探してもよ」
声は変わらないが、雰囲気はまるで別人のように変わる。
この状況をなんとなく知っている俺は聞き返す。
「どういう意味だ?」
「はは!そんなこと、自分で理解できるだろ?お前はここでおとなしくしてればいいんだよ」
「おとなしくだと……」
「そうだ。そうしてれば、救えるものもあるんだからな!」
「どういう意味だよ」
「さあな、自分で考えろ」
こういうときに、言うだけ言って答えを教えてくれない。
前と同じで試練を与えてくるような、もしくは嘲笑っているような。
二度目のこの状況に、俺は何か言ってくる存在が喜ぶようなことをするべきか一瞬も迷うことはない。
「そうやって言ってもな。だったら余計にお前らを連れてナオのところに行くだけだ」
「何を言って!」
「何を言ってるかって?決まってる。よく言うだろ?やらないで後悔するのなら、やって後悔しろってな」
「ま……」
また何かを言う前に俺は言い切ると、また壁に手を振れた。
ガコンという音とともに、隠し扉が開く。
「なるほどなあああああああああああああ」
そして俺は落ちていくのだった。
※
(気持ち悪いし、なんでこれだけ動いてるのよ)
あなたが来ていないから、本来であれば誰も動けないはずだとナオは思っていた。
だけど、そんなナオの考えが甘いかのようにモンスターが動いている。
見た目はなんといえばいいのか、ミミズを大きくした存在だといえばわかりやすいだろうか?
そいつがうねうねとこちらに近寄ってくるのを見ているだけで、ナオからすれば背筋にぞわっとしたものを感じずにはいられなかった。
(近寄ってこないでよ)
ナオはそう考えるが、モンスターは近づいてくる。
ゆっくりだけど確実に近づいてくる存在に、少しずつ恐怖を抱いていた。
ついに足に巻き付くようにして近づいたときには、ダメだと少し感じたが、そのタイミングでミミズのようなモンスターは動きを止めた。
そして聞こえてくるのだ、うるさい声が……




