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22話

ゴブリンと闘うために走っている―。矢の風切り音―。

あの時とそっくりだ。この世界に来て始めてカグヤが闘う姿を見た時、始めて命の危険を感じた時、そして始めて闘う事を決めた時―。

今、思えばあの時も―いや、始めっからずっと守られていたんだ。ゴブリン三匹ならカグヤ一人の方が余裕で闘えたと思う。それでも意思を汲み取って二人で闘う方を選んでくれた。それも「左右から弓を持った奴を挟み撃ち」なんて尤もらしい作戦を立ててまで…。直線で敵の集団に突っ込むより遥かに安全だよな。剣を持ったゴブリンまで引き受けてくれたんだから…。今頃気づくなんて情けないよな。―だけど…


剣を持つ手に力を込める。これ以上は味方に当たるため矢を打つのが止まっている。アレだけ打たれた矢も数ヶ所かすり傷を負わせた程度に止まっている。動いてる獲物に当てにくい矢を森の中でこれだけ当てれれば上出来だろう。ゴブリンに剣を降り下ろすもののゴブリンに弾かれる。ゴブリンが反撃に転じるが、ひどく緩慢だ。普段カグヤと打ち合っている為そう感じたのだろう。ゴブリンの放つ連撃を丁寧に躱していく。数度目に斜めに斬り下ろされた剣の柄を狙い全力で剣を降り下ろすと大きく甲高い音を響かせゴブリンが剣を落とした。痺れが残る手で腹を目掛け突きを出すとズブズブっと音を立てて腹に吸い込まれていく。剣を引き抜くと血飛沫と共にゴブリンが仰向けに倒れ血溜まりを作っていく。フールの方を見ると向こうも丁度終わったとこだった。フールは右手を斬られたみたいだが出血は大したことない。前衛五人も終わっており走ってくるのが見える。


―だけど…だけど!今回は気づけた。根拠は無いむしろ妄想や勘違いと言っていい類いだ。たとえ妄想や勘違いだとしても何かを変えるキッカケになる筈だ。今だって些細な勘違いがキッカケで始めは倒せなかったゴブリンを倒せる迄に強くなれた。今浮かんでるこの小さくとても大きな妄想だって意味を持たせれるかどうか、どんな意味を持つかどうかは自分次第なんだ!


タクトはコルガ達と合流し隊列を組んで再びゴブリンを探して森の中を歩きだした。


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