21話
――狩神祭三日前
タクトはいつも通り役場で仕事を見繕いに来ていた。朝は戦闘訓練、昼は仕事、夜は筋トレがここ数日の日課になっていた。ただ金銭面では結構厳しかった。一回の仕事で稼げる金額と一日の食費二人分がほぼ同額のため蓄えに回す余裕は無かった。少しでも高額な仕事を探しリストを眺めるもどれも大差が無い……となれば、内容で選ぶべきか。
「タクト、仕事探してるのか?」
不意に声をかけられ体がビクッとする。声の主はコルガだった。村長も一緒にいる。
「これからゴブリン退治に行くんだが、手伝ってくれねぇか?ゴブリンだから沢山は出せないが報酬はこれ位でどうだ?」
コルガが提示してきた額はリストの額の約1.4倍だった。迷う余地はなく即答した。
コルガと門に向かうと自衛団の人が集合していた。タクトの事を紹介すると実力が同じになるように班分けが行われた。自衛団32名そこにタクトを含め各班11名の編成になった。タクトの班はコルガがリーダーでフールもいる。コルガの実力を考えれば納得のいく編成であった。至急されたバックラーと片手剣を装備し整列する。
「皆知っての通りここ4、5日で急激にゴブリンの出没数が増えている。それも日々増加傾向にある。今日の目的は村に被害が出る前に駆逐する事だ!ノルマは無い。時間一杯一匹でも多く仕留めろ!!ただし、無理と油断はするな!!奴らは常に5匹位で徒党を組んでる。周囲の警戒を決して怠るな!!行くぞ!!」
コルガの激励を終え各班が出発した。
数日ぶりに入った森は以前とは明らかに違っていた。獣の…いやゴブリンの声がよく聞こえる。以前は鳥か虫の鳴き声位しか聞こえ無かった。雄叫びや遠吠えではなく仲間同士で会話をしているのであろう声が聞こえてくる。暫く森を散策していると先頭のコルガが右手に上げた。「止まれ」の合図である。剣を持ったゴブリンが二匹、盾を持ったゴブリンがー匹の計三匹がいた。コルガ含む五人が応戦、タクトとフールは周囲の警戒、残り四人の弓使いが援護と周囲の警戒を任された。前衛五人が息を殺し距離を縮めていく。後数メートルになると「突撃」と大声が響き渡った。同時に前衛が駆け出す。突然襲ってくる人間に驚いたゴブリンは狼狽えている。奇襲は成功した…筈だった。
「後方から剣2!!!」
後方を警戒していた弓使いが叫ぶ。周囲を警戒していたメンバーが後方を確認する。
「迎撃を!!フール、タクト君応戦を!」
後衛の指揮を任された女性が素早く指示を出す。コルガが指揮を出せない状況になった時は彼女の指揮に従う事になってる。走って行くタクト達の頭上を複数の矢が飛んで行く。




