表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/126

第184話 大声で怒鳴る男 2

 怒鳴るオッサンにオレは尋ねた。


「実際には治るのに1ヶ月くらいかかったとか?」

「そうや」

「にもかかわらず2週間の診断書だったということですね」

「それ、無茶苦茶やろ」


 硬軟のうち、とりあえず硬の方で対処しておくか。


「どうやらウチには1回しかかかっておられないみたいですけど」

「そ、それがどうかしたんか」

「他所の病院にかかっていたんですかね」

「そうやったかもしれん」

「だったらそちらの病院で追加の診断書を書いてもらっても良かったんじゃないですか、『全治1ヶ月』って」


 このテのやりとりは何十回やってきたか分からない。


「いや、他所にはかからんかった。ここだけや。せやからここの診断書がすべてやったんや」

「なるほど。じゃあ、2週間経った時点でまたウチを受診してもらっていたら診断書を新たに発行することもできたのですけど」

「そやけど最初に2週間て言うとるやないか」

「よく見てくださいよ。『2週間の通院加療を要する見込みである』と書いていますよね。『見込み』なんで、最初に2週間と書いても、それが絶対というわけではないんですよ」

「何をぐじゃぐじゃ言うとんねん!」


 オッサンは一段と声が大きくなる。

 怒らせてばかりいてもらちが明かないので、助け船を出すことにした。


「まあ、体が痛すぎて病院に来ることもできなかったという事でしょうか」

「そ、そや」


 この辺から硬軟の軟を使うとするか。


「御本人にしてみたら1ヶ月も痛い思いして、罰金5万円ってのは納得いかないですよね」

「そらそうや」

「5万円払うからこっちが殴らせてくれって言いたいくらいでしょう」

「いや、そこまでは言わんけどな」


 ちょっとは冷静なところもあるのかな、このオッサン。

 考えてみれば気の毒な話には違いない。


「5万円ってのは安すぎですよ、私もそう思います」

「そやろ」

「それで検察に怒鳴り込んだら上手くあしらわれたわけですね」

「まあ、そういうことかもしれんな」


 検察の方が海千山千だったというわけだ。


「検察の担当者もね、『こんな裁判はおかしい』と言わずに診断書のせいにしたわけですよ。つまり、自分たち検察も裁判所も非難されないように、外部に理由をこじつけたってことですね」

「お、おう」

「担当者にしてみたら赤子の手をひねるみたいなものだったんでしょうね。いやあ、同情しますよ」


 オッサンはだんだん大人しくなってきた。

 そろそろ、こちらも外部に理由をこじつけるタイミングだ。


(次回に続く)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ