第41話 医学部受験に挑戦する男
気晴らしに医学部受験の話をしてみたいと思う。
小学生の時、オレは勉強しなくても学校の成績はトップだった。
中学生になると、勉強しないとトップは取れなくなった。
幸い高校は地元の公立進学校に入ることができた。
ある日、母親が高校生のオレに言った。
「医学部に行ったら食いっぱぐれがないわよ」
そんな不純な動機で医者になるってのはどうなんだ。
オレは憤慨した。
その一方で、医学部を受けてみようか、という考えには冒険心をくすぐられた。
なんといっても難しいし挑戦しがいがある。
ちょっとフルマラソンに出てみようかな、という感覚だ。
結果的には地元国立大学の医学部に受かった。
オレにとっては出来過ぎだったと思う。
今でも脳外科の手術中にレジデントと受験の話になる。
こうした雑談をするのは主に終盤の閉頭操作の時だ。
「数学は暗記ですね。全部、どこかで見た問題ばかりですから」
「オレにとっては国語が得点源だったな」
皆、それぞれに受験を楽しんでいたみたいだ。
ゲームの延長みたいなものなんだろう。
医学部を目指そうかな、と思っている受験生がいたらオレからアドバイスしたい。
医学部受験に崇高な使命感など必要ない。
学力の不足は猛勉強で補え。
フルマラソンと同じ、大切なのは挑戦しようという気持ちだ。
首尾よく医学部に入ったら後戻りはできない。
死ぬほど勉強しろ。
さもなくば容赦なく留年させられる。
そして医者になったらそれ以上の勉強が待っている。
遭遇したことのない病気と戦わなくてはならないからだ。
幸い、仲間たちは人並み外れた努力を苦にしない連中ばかり。
医療現場は病気というモンスターの跋扈するリアル異世界だ。
オレと冒険者パーティーを組みたい奴はぜひ医学部受験に挑んでくれ。
異世界での戦いにキミが参加してくれるのを待っている。




