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【70000PV感謝!】シンタイキヨウカってなに?  作者: taso
第三章 嫋やかな體
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126話.クサツの戦い方、散らつく亡霊の影

 今回やっとあのキャラが活躍します!ってタイトルでもろバレですね……笑


126話.クサツの戦い方、散らつく亡霊の影



「知春!そ、それは魔物なんですか!?倒してしまっても構わんのだろうですか!?」

「ダメだから!倒したらダメだから!!」

「アイモ、どーどー」

「あははっ!想像以上におもろい反応!!」


 地下迷宮の第三層に訪れた俺たち。午前いっぱいを戦闘訓練に使い、今は安全(フリー)エリアでランチを兼ねたピクニックを楽しんでいた。


 心地よい草原の中での食事も一段落つき、俺は午後の探索にクサツも加えようかと『鏡花』のスキルで召喚したのだが……。


 初めてクサツを見るアイモの反応が、何故だか想像の斜め上だった。つーか白百合の後ろに隠れて顔だけ出し、クサツを恐る恐る見ている。どういう感情?


「こいつはクサツ。見た目はカピバラだけど、俺の新しいスキルで召喚した……白百合が言うには妖精みたいな存在らしい」

「先程言っていた知春の相棒……ですか?」

「そうそう!可愛いし人懐っこいし、あったかくて癒されるんだよなぁ。つかアタシも撫でる!」

「一花、鼻息荒い……。私も撫でる、撫で……アイモ、手を離して。クサツ撫でられない!」


 クサツを撫でる俺のそばに一花が寄ってきて撫で撫でに参加する。クサツはとっても気持ちよさそうだ。そんな俺たちを羨ましそうに見ている白百合と、そんな白百合を離そうとしないアイモ。両肩を手で掴んでいるだけなのに、白百合は動けないでいる。どんな力で掴んでるんだよ。こえーよ……。


「アイモはなんでそんな怖がってるんだ?クサツは大人しくていいやつだぞ?」

「それは、そうなんでしょうけど……」

「アイモ、昔から小さい動物が苦手。さわれない」


 白百合の話では、子猫とかハムスターとか、とにかく小さくて愛らしい生き物は怖くて触る事が出来ないらしい。だからどういう感情よ?


「私は幼い時から、母の教えで医学に興味を持つようになり、人体を主として生物の身体の構造などを学んでいました。ですから生命がいかに脆く壊れやすいのかも理解出来てしまうのです……」


 ある程度大きな動物であれば怖くはないが、小さい生き物は触れてはいけないもの、危ういものと感じてしまうため、触るのが怖い……ということらしい。


 分かる気はする。俺も体質的に弱かったから、色んな本やネットで身体の仕組みなんかを独学ながら学んでいた。知識があると言うだけで、物の見え方は大きく変わってしまうし、それが恐れとなって現れてしまう事もあるのだろう。


 アイモに至ってはもともとが戦闘術、つまり壊し方を学ぶために医学的な知識を教わっていたと聞いたし、生命への畏怖にも近い怖さを抱いてしまうのだろうか?俺の推測でしかないけれど。もしかしたらアイモ自身も理屈の分からない感情なのかもしれない。


「ガラスとか壊れやすいものに触れるのが怖い、みたいなのに近いのかもな?」

「人間の赤ちゃんとかも、すんげぇ小さい手してて、力加減を間違えたらって考えると怖ぇよな」

「そんな感じで、アイモは小さい動物を見るとこうやって隠れちゃう」

「隠れてはおりません。物理的な距離を維持することで相互の不可侵をですね」

「分かったから、あと肩痛い」


 お嬢様と護衛のコンビによる微笑ましいやり取りは置いておくとして、このままではクサツが戦闘に悪い影響を及ぼしかねないか?戦闘への参加は今日は見送るかな。


 いや、待てよ?ある程度大きくなれば大丈夫って言ってたな。クサツの“あの能力”を試す良い機会じゃないか!!


「なあクサツ、ここでなら大きくなれるか?」

「キュル?キュルル〜!」


 俺の言葉を理解したのか、クサツは愛らしく鳴いてシュタっと遠ざかり、それから足元の草をおもむろに食べ始めた。お腹が空いてたのかなと一瞬思ったが、これってもしかして……?


 暫く草を食べていると、身体が淡く光を放ち始め、ぐんぐんと身体が大きくなっていく。子供のカピバラの見た目から、大人のカピバラへと急激に成長するかのように大きくなった。


 大人のカピバラも可愛いんだよなぁ!毛質は少しゴワっとしながらもしなやかで、大きな顔とでっぷりとした身体、そこから生えている細くて筋肉質の脚がギャップ萌えで良いんだよ。全体的なぬぼーっとした見た目に癒されるんだ。今度この大きさのクサツと温泉に入りたいな!!


「どうだアイモ、クサツの能力でこんな風に大きくなれるんだ。この身体で突進したりと戦えるらしいんだけど」

「これが……さっきの個体なのですか?とても同じものには思えないですが」

「まあまあまあまあ!いいから触ってみろよ!なでなですると癒されるぞ!!」


 と言いながら俺は既に大きくなったクサツを撫でている。大きくなった瞬間にもう飛びついてたよね。一花が若干引いていたようにも見えたが気のせいだ。


「で、では……。なるほど、普通の動物のように温かいのですね……。これは……大丈夫そうです。というかむしろ……」


 クサツは俺とアイモに撫でられて気持ち良かったのか、身体をゴロンっと横たわらせて心地良さそうに目を閉じている。そのクサツを俺とアイモがさらに撫でくりまわしていく。アイモもすっかりクサツの虜みたいだな!


「おい……二人だけズリぃぞ!!」

「私も……撫でる!!」


 それから大人四人でクサツを包囲しての撫で撫でタイムは暫く続いたのだった。



 さて、そんなクサツの戦闘能力だが、これが思っていた以上に強かった。


 カピバラと言うのは普段ののんびりとした様子からは想像出来ないのだが、走る速さはかなりのものなんだとか。時速で40〜50km/hとか、場合によっては60出る個体もいるとか。車が幹線道路を走る速さと言えばその速さも窺える。


 そして大人のカピバラは重さも40kgはあるそうだが、クサツに至ってはもっと重たいはず。多分60弱はあるかもしれないな。


「キュルル〜!!」


 そんな重さと速さで突進するんだから、その威力はかなりのものだろう。今もグラスディアの脇腹に決まった突進によって、あの大きなグラスディアの身体がすっ飛んでいったからな。仕留め切るには至らなかったが、グラスディアは気絶しているのか動く様子が無く、そこからとどめを刺すのは容易だった。


 加えて『大気妖化』による感覚では、クサツは体当たりするタイミングで身体の周りに魔素を纏わせているらしく。それによって身体の耐久性と突進の威力が向上しているみたいだ。これって『待機妖化』の防御と同じ事を体当たりに応用しているのか?俺もあとで真似してみよ!!


「クサツの戦闘能力は侮れませんね。パーティの大事な戦力としてカウントして良さそうです」

「遊撃による突進、私たちで隙を作ったり、クサツに隙を作ってもらってコンボに繋げたりも?」

「攻略の速度もこれで上げられそうだな!知春だけじゃなくてクサツもとは、嬉しい誤算ってやつだな!」


 みんなの評価も概ね良さそうだ。特にアイモの恐怖感は戦闘中には見られなかったし、大きい状態では問題ないのか、あるいは戦闘中に限っては集中を乱さないのか。ここらへんも検証するべきか?


 加えて鋭く大きな歯による攻撃や、魔物の脚を噛んでの拘束とかもいけそうだし。クサツの可能性もまた無限大みたいだな。



「時間も時間だろうし、あと何回か戦ったら上がろう」

「そうですね。……あと二回程度ですかね。索敵お願いします」

「ん?なんだこれ?」

「どうしたの一花?」

「いや、なんか不思議な気配というか、なんか異質な感じというか」


 一花が違和感を捉えて、とある方をじっと見ている。俺の足元にいつの間にか小さくなっていたクサツも、同じ方をじっと見て警戒しているようだ。


 俺の『大気妖化』では特段感知できていないんだけど、それは白百合とアイモも同じようだった。

 戦闘能力の高いアイモが気配を察知出来ていないのは不思議な気もするが、アイモの場合はスキル外スキルというやつで、そんなに遠くの気配を捉えるのは難しいとも以前に言っていた。アイモの察知範囲の外側に何かいるのか?


「一花どうする?近づいてみるか?」

「いや……やめといたほうが良いかもな」

「一花が警戒するの、珍しい」

「アタシは常に警戒してるっつーの。相手がどんな魔物か分かる時、あとは戦って勝ち目がありそうなやつにしか挑まねぇよ」

「とすると、一花が感じ取っているのは強い存在なのでしょうか?」

「強いっつーか……なんも掴めねぇ。なんとなくそこにいるような気はするんだけどな。全くの未知、いわゆる安納芋ってやつ」


 それを言うならアンノウンだろ。なんで蜜たっぷりのサツマイモが出てくるんだよ。帰りに焼き芋屋行こうか?と今はふざけてる場合じゃないな。


「もしかして『草原の亡霊』……か?」

「ああ……ケンゾウさんが言ってた」

「どうなんだろ?目撃情報も曖昧」

「とは言えユニークスキルによる危機察知のある一花と、動物的な直感がありそうなクサツの両名が警戒している存在ですからね」

「……少しだけ近づいてみて、目視出来なかったら今日は帰るか?」

「そう……ですね。警戒を厳にして行きましょう」


 それから一花を先頭に、アイモと白百合、俺とクサツといった編成で少しずつ近づいていってはみたんだが……。


「あ、消えたな」

「……クサツも?」

「キュル〜……」

「ダメそうですね。相手が警戒心の高い存在だったみたいで、ホッとしたと言うべきでしょうか……」

「一応、ギルドに報告して今日は終わりにしよう」


 初めてのパーティでの探索は、なんとも言えない後味の悪さで終える事になった。『草原の亡霊』……そんなやつが本当にいるのだろうか。さっきのはいったい何だったのだろうか?草原エリアは安全なのか、それとも警戒をさらに高めるべきなのか。


 俺たちは帰り道を意識して明るく振る舞いながら、今日は何を食べて帰ろうか?なんて話しつつ歩いていた。何を食べるかってそりゃあ……。


「焼き芋だろ」

「焼き芋」

「焼き芋ですね」

「なんでハモってるんだよ!?」

「キュルルルル」




✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

菅田(スダ) 知春(チハル)


◆シンタイキヨウカ

・新躰強化 Lv.10

 ・深體強化 Lv.7

・身体器用 Lv.8

・進退強化 Lv.8

・待機妖化 Lv.6

・大気妖化 Lv.6

・鏡花 Lv.5

・気妖 Lv.6

・息 Lv.8

・気 Lv.8


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

津賀(ツガ) 一花(イチカ)


◆ラビットラピッド Lv.27


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

陽乃下(ヒノモト) 白百合(サユリ)


◆ディープフォレスト Lv.30


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

◆シモナ・アンダーソン


◆魔操 Lv.10 体術 Lv.11 回復 Lv.7

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