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<30分後>


「ね~皆まだぁ~?京香暇になってきちゃった~。」


椅子の背もたれにつかまり、バタバタと暴れる京香。

一人でじっと待つということは彼女には出来ないようである。

全員のパソコンを覗きながら部室内を歩き回り出す。


「よっしー部長[トナカイ]選んだ理由なんとなく想像つくんだけど~。」

「は!?京香ごときに俺の緻密な戦略が分かってたまるか!!ヽ(`Д´)ノ」

「ふ~ん、まぁ良いけどさ~。」


「トーナメント表もう出来たのかよ?」

「ちゃんと終わりました~。てかカズの選んだ動物[ライオン]て(笑)ベタ過ぎ~。」

「うるせっ!!追われる者にはそいつにしか分からねぇ熱い想いがあんだよ!!」

「楽しみにしてる~。」


「彩ちんは…[ハリネズミ]だっけ~?」

「はい!!ハリネズミって可愛いですよね!!あの針はちょっと怖くて触れないけど、強そうじゃないですか?」

「うーん…どうなんだろ~。京香ゴリラについてしか調べてないからなぁ…。」

「楽しみにしてて下さい!!」

「うん!!期待しとくね!!」

「はい!!」


「うん可愛い可愛い♪んでたくみんは…うさぎ?うさぎって戦えるの~?」

「今野先輩分かっていませんね…うさぎにしか使えない戦法があるんですよ…。」

「うさぎにしか使えない?よく分かんないや…。」

「まぁ…後で分かりますよ。」

「は~い。じゃあ頑張ってね~。」


「亮…。」

「何ですか京香さん。今自分は忙しいので茶化すのであれば他の方の所へ行って下さい。」

「茶化す気はないけど…なんていうか、すごいね~…。」

「そうでしょう!!これは全て対ライオンのための戦略ですから!!見て下さい!!最高でしょう!?」

「うん…。」

「余所見はしていられません!!これから最終確認に入ります。すみませんが、話はここまでで失礼。」

「は~い。」


「豪先輩はサイなんだ~。」

「うむ。昔動物番組でサイが簡単に車を破壊する動画を見てな。あの破壊力にかけてみようと思う。」

「なるほどね~。強そうだけど、京香のゴリラには絶対勝てないからね!!」

「期待しておこう。」


「んで、恵里先輩が…。」

「ゾウよ。」

「ゾウってさ、すごく優しいイメージなんだけど。」

「そうね(微笑)でも、怒らせるととても怖い動物よ。」

「そうなんだ。」

「まだ時間残ってるでしょう?」

「うん、あと20分位。」

「皆どんな戦略を立ててくるのか楽しみね。」

「うん!!」


「今野!!」

「何?ずっきー。」

「お前だけ皆の盗み見か?」

「違うし~!!京香は皆ちゃんとやってるか議長として確認して回っただけだもん!!そんなまさかちゃっかり作戦見て、話してるフリして頭の中で対策練ってるとかあるわけ…はっ!!」


『まさか…。』


「えへ……いいじゃん!!ちょっと位さ!!それに京香が見たとこで負けるような動物選んでるんですかーー?」


『む…。』

「ほらほら!!あと15分しかないよ!!急いで急いで!!」





<15分後>

「そこまでーー!!!!!」


京香の声に全員が顔を上げる。


「それじゃあ始めても良い?」

「なぁ、対戦表は?お前作ってたんじゃねぇのかよ?」

「あっ!!そうだった!!えっと、対戦表はこれっ!!!!」



『メール受信しました』



「あ、なんかメールがきたんですけど。」

「俺のとこにもきた…。」

「さっき携帯に打ち込んでたの今皆のパソコンに送っておいたから開いて見て見て!!」



カチカチッッ×8


「これはっ……。」

「へぇ、面白いじゃん(笑)」

「げぇ~、まじかよ。」



第1回戦


ハリネズミVS.ライオン




第2回戦


サイVS.ハイエナ




第3回戦


ゾウVS.ウサギ




第4回戦


カバVS.トナカイ




シード


マウンテンゴリラ






バンッ!!!




「京香さん!!なぜこのような組み合わせに!?今までの流れを見ていたならばここはハイエナVS.ライオンにするべきでしょう!!?」

「でも、これくじ引きだもん。」

「それはそうかもしれませんが、先程の自分の対ライオンについての熱い話を聞いたじゃないですか!!」

「でもこれくじだもん!!」

「分かりますけどっ!!!!」


机を叩いて立ち上がり議長が作った対戦表に反対の意を示す亮。

いつもの冷静さが全く見られない亮に若干引きながらも京香が対抗する。

公平なくじ引きのために、ケチをつけてもどうしようもないがやりきれない気持ちに顔を歪める亮に和正が声をかける。


「なんだよ亮(笑)1回目勝ったら次俺ら当たるじゃん(笑)それとも何か?お前最初っから豪先輩に負ける気でいんの?それじゃぁ仕方ねぇな(笑)ま、サイに勝てないようじゃライオンに勝てるはずねぇよ(笑)」


挑発的な発言を受けて、少し俯いた亮の右拳が震える。


「言いましたね…。」

「ん?」

「舐めた口を…。」

「なんだよ?」


震える拳を上げたかと思うと、勢い良く和正を指差す。


「言ってくれましたね!!上等ですよ!!自分がサイに負ける?はっ!!(嘲笑)馬鹿にしないで下さい。こちとら時間いっぱい練ってますから。君を王者の座から突き落とすための作戦をね!!君の方こそ初戦敗退なんて無残な結果で落胆させないで下さいね。」


少しずつ声を落ち着かせながらも棘を放つ亮に和正は


「面白ぇ。」


ニヤリ


と聞こえてきそうな笑みを向けた。





「(小声)なんか先輩達…熱くないですか?」

「(小声)藤川先輩…いつもと違うような…。」

「(小声)亮はやっぱ体育会系だからねー。やっぱ勝負には負けたくないんだよ。結構熱い男だからねー。カズはカズでやっぱ同じ年の亮には負けたくないんだろうね。勉強は惨敗だから(笑)」

「いいから早く始めようよ!!時間もそんなにたくさん無いんだから!!」

「そうね…。挑発のし合い。時間の無駄だわ。」


早く始めたくてうずうずしている京香に、騒ぐ2人に毒を吐く恵里。

言われた2人は少しだけびくつき、席に着いた。


静まった場を議長の京香が取り仕切る。


「じゃあ、第1回戦はハリネズミ対ライオン!!彩ちんとカズ前に出てきて下さい!!」

「えっ!!前でやるんですか…?」

「そうだよ~!!皆の前で言葉のバトルしなきゃ!!彩ちんなら出来る!!」

「…はいっ!!頑張ります!!」


その顔に少しの不安を醸し出しながら、彩は前に進み出た。

周りからは可愛い後輩、唯一の同級生を応援する声が。


「ふっふっふっ…。」


いつもなら彩を応援する立場にいるはずだが、今回は敵。

対戦相手の和正が怪しく笑う。


「カズ先輩…?」


様子のおかしい和正を変に思い彩が声をかける。

少し俯き加減に小さく笑う声が少しずつ大きくなる。


「ふっふっ…ふふふふっ…ふっふはははははははは!!!!」


ビクゥッ!!


気がつけばこれでもかという位に体を反り、腰に手を当てながら天井に向けて笑い声を張り上げる和正に完全に引く彩。そんなことお構いなしに、和正が話し出す。


「悪いなあやや!!可愛い妹ではあるが、この勝負王者として負けるわけにはいかねぇ!!こんな兄を許せ!!なに、ハリネズミが弱いってわけじゃねぇ…ただ、ただライオンが強すぎるだけだ!!なんてったって王者だからなーーー!!!!!ふはははははは!!」


びしぃっ!!と音が聞こえてきそうな勢いで彩を指差し笑う和正に彩の内なる闘志にも火が付く。


「私だって!!…負けませんっ!!カズ先輩のライオンなんて全然怖くないですから!!」

「言ってくれるじゃん!!流石俺の妹!!(笑)」

「妹じゃありません!!下剋上です!!」


ゴングが鳴る前から白熱する2人を見て、


「そうです彩さん!!清田君なんてけちょんけちょんにしてしまいなさい!!」

「あははははは!!彩ちんうける~(笑)やっちゃえやっちゃえ~~!!」

「意外ね、彩みたいに気を遣える子はてっきり先輩の和正に遠慮して勝ちを譲るかと思ったわ。」

「西田…熱いな。」

「やっぱり彩ちゃんも元運動部の負けん気があるんじゃ…?」

「あははー(笑)楽しくなりそうだねー(笑)」

「いいからさっさと始めろよ(呆笑)」

「あ、そうですね。京香。」

「は~い!!こらこらカズに彩ちん落ち着きなさ~い!!始めるよ!?」


「おうっ/はいっ!!」


「どっちから仕掛けても良いけど、ちゃんと調べたことを根拠に戦うこと!!良いね?じゃあ、


勝負スタート!!!!」


京香の声と共に彩を睨み付ける和正。それにひるむことなく頬を膨らませて睨み返す彩。

先に和正が仕掛ける。


「悪いなあやや!!ライオンはネコ科ヒョウ属。ネコ科の中でも2番目にでかいんだ!!体長は全長2.5m以上あるし、体重だって120kg以上!!この時点でもう既に俺の勝ちだろ!!」


「大きさがなんですかっ!!そんなことではひるみませんよっ!!ハリネズミは14~21cmで小柄ですけど、体に6000から7000本の針を持ってるんです!!ライオンでも敵いません!!


それに先輩が言ってるライオンてオスライオンですよね?狩りをしてるのはメスライオン!オスライオンは何もしないじゃないですか!!」


2人の戦いを観ながら、まだ出番のない部員達は好き放題に話す。


「へ~。ライオンのオスって狩りしないんだ~。なのに百獣の王とか納得できないね!!」

「確かにオスは狩りに参加しません…けどその分群れを守るために戦うので…オスの方がメスよりも力は強いんですよ…。」

「詳しいな篠田。」

「そういえば拓未は動物図鑑が好きだったわね。」

「あ~?確か朝図鑑読んでたよな?」

「たっくん動物大好きだもんね!!」

「では、拓未君に解説を願いましょうか。」

「え…俺ですか?」

「そうね、お願いできるかしら?」

「そこまで全ての動物に精通しているわけじゃ…。」

「良いじゃねぇか拓未!!良いとこ見せとけ!!断ったら今後朝読での図鑑禁止!!」

「先生それ職権乱用!!」

「うるせっ!!桜庭に言われたくねっつの!!」

「(どっちもどっち…)…分かりました。分かる範囲で答えるので。」


拓未を解説員にし、白熱する彩と和正の戦いを見守る7人。


「残念でした~(笑)確かにオスライオンは狩りはしねぇけど、オスはオスで外敵や他のオスライオンから自分の群れを守るために戦うんです~(笑)体のでかさもオスの方がメスよりでかいし、力もオスの方が強いんだよ!!」


「群れで生活するってことは、1人では何も出来ないのと同じじゃないですか!!ハリネズミは単独生活する動物で、ちゃんと1匹でも生きてく力を持ってます!!」


「なっ!!…ライオンはチームワークがある動物なんですー。だからぼっちのハリネズミと違って愛情に溢れてるわけ!!そんな動物がぼっち動物に比べて弱いわけねぇじゃん!!」


「今この議論にチームワークは関係ないです!!正々堂々1対1で勝負して下さい!!」


「例え1対1だとしてもライオンがハリネズミには負けないっつの(笑)大体ハリネズミって何食べてんの?草?ドッグフード?」


「あの…今野先輩。」

「ん~何~?」

「これって、戦いなんですよね?」

「うん、そうだよ~。なんで?」

「さっきから2人が言ってるのって…なんかお互いが選んだ動物の悪口?っていうか…動物好きの自分としては心苦しいです…。」

「想像以上に醜い争いになりましたね。」

「あぁ。西田も意外と言うな。」

「あーっはっはっ!!いいぞー!!やれやれー!!」

「先生…煽らないで下さい。」

「いやぁこれだから今野が持ってくる議題は好きなんだよ俺(笑)」

「はぁ…京香。時間には制限をつけた方が良いんじゃないかしら?このままだと終わらなさそうよ。どちらも折れる気はなさそうだし。」


外野が話し合っている間にも白熱する和正と彩の討論。


しまいには生態系から脱線し、「ペットとして飼えるか否か」や「フォルムのカッコよさ」の話になってしまっている。提案者の京香も無責任に放置する訳にはいかず、2人にストップをかける。


「カズ!!彩ちん!!ちょっとストップ!!」

「「あぁんっ!?何だよ!!?/何ですか!!?」」

「おおぅ…2人共白熱し過ぎ!!動物を貶すための議題じゃないんだよ!!」

「「うっ…ごめんなさい。」」

「分かればよろしい!!う~ん、どうしよ?きっと皆自分の番になるとこんな風になっちゃうのかな?」

「なるでしょうね。特に桜庭部長、亮、鈴木先生は確実にこうなるわ。」


「「「ひどいな/ひどいです。」」」


「どうしよっかな~。」

「じゃあ、ある程度話を聞いたら拓未に結果を委ねてはどうかしら?」

「え…俺ですか?」

「えぇ。拓未は動物に詳しいし説得力もあるから。どう?」

『そうしようぜ!!/そうしましょう!!』

「はいじゃあそれで決定ね~。じゃあたくみん二人の勝敗は?」



「えーと…清田先輩のライオンの勝利で…。」


「よっしゃー!!王者は勝ーつ!!」

ガッツポーズで大はしゃぎの和正の横で彩がうらめしそうにこちらを見る。


「どうして?拓未君ならハリネズミのすごさ分かってくれると思ってたのに…。」

「では!!たくみん!解説をどうぞ!!」


「こほん、では…。彩ちゃんが選んだハリネズミが全くもって弱いとかそういうことを言いたいわけではないんだけど、攻撃性というところから判断すると、ライオンの勝ちってことになります。」

「それって…ライオンが大きくて肉食獣だから?」

「えっと、そうじゃなくて、そもそもハリネズミの針は比較的柔らかくて、刺されば勿論痛いけど、殺傷能力は低いんです。同じ針をもつ動物でも、ヤマアラシなら…。えっと、すみません梶本先輩。自分のパソコンの画面写し出してもらえますか?」

「ええ。分かったわ。」

「今プロジェクターの方に映し出しますが、カチッ…これがヤマアラシです。ハリネズミと比べて体長も大きく、針の長さや硬さについてもハリネズミを上回ります。この針に刺さった場合は、場所が悪ければ敵の内臓に、そうでなかったとしても傷口から炎症を引き起こし、死に至らしめるという恐ろしさがあります。実際に野生のライオンやチーターなんかがヤマアラシを襲おうとしたものの、その針のするどさに諦めて退散したという動画なんかはいくつか投稿されていますね。だから、もし彩ちゃんがハリネズミでなくヤマアラシを選んでいたら、この勝負は彩ちゃんの勝ちになったと思う。」

「そっかぁ…でもそうだよね。ハリネズミってペットとしても人気だし、あんまり危険が多かったら皆飼えないもんね。」

「うん、飼う時にも色々気を付けてあげないといけないデリケートな動物だしね、だからこういった勝負には向いていなかっただけか…も?えっと、何でしょう?」


隣の席の彩への解説に夢中になっていると、知らず知らずの内に他の部員が自分を取り囲んでいるのに気が付き驚いた。


「いや~やっぱ拓未君すごいね!!」

「本当。それに動物のこととなると饒舌になるのね。」

「篠田の動物に対する熱意が良く分かるな。」

「それに非常に解説が分かりやすいですね。」

「ああ、納得もできるしな!」

「すごいね~たくみん。」

「拓未…お前クラスでもそん位話せるようになると良いのにな…。」


「やめて下さいよ…。」

「てなわけで、1回戦はカズが選んだライオンの勝ちね!!

そしてお次!2回戦は…えーと…」


『俺だ/自分ですね。』

「豪が選んだサイ対…亮が選んだハイエナね。」

「先輩方!頑張って下さいね!!」


『ああ/ええ。』




③へ続く。


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