命の源
ブックマークしてくれた方ありがとうございますありがとうございます!
「ああ……暑い……今ならバーベキューの食材達の気持ちが解る……」
この砂漠の名称はフェデラー大砂漠と呼ばれ、かなり広大で何処が端か分かっていないという。
オアシスが結構な数存在するので砂漠横断はそこまで苦行じゃないらしい。
俺達が向かっているデザートサンドは砂漠の入口に位置しており、玄関口の役目を果たしている。
ベリーニ曰く2、3日歩けば着くと言うのだが、現代っ子の俺にはかなり厳しい現実だった。
目覚めるのなら爽やかな草原にある遺跡で目覚めたかった。
街まで徒歩5分くらいの好立地。
気温は20度くらいがベストだな。
今の気温は何度くらいなんだろうか。
日は傾いてきているが、それでも服を着てサウナに籠っているような感覚に陥る。
汗が噴き出て止まらない。
こ、このままでは脱水症状か熱中症で死んでしまう。
隣を歩く2人にちらりと視線を送るが、額にじっとりと汗をかいているもののそこまで暑さを感じているようには見えない。
これが現地人と現代っ子の違いなのか……
「あの……水を……くれないか……」
「え? 何よあんた……魔法まで忘れちゃったワケ!?」
「そのようで……面目ねぇ……って魔法とどう関係が……」
わけ分からんからもうそれでいいどす。
暑さで思考回路までカラカラしてきたような感覚でござる。
「しょうがないなー! はい、“水球”」
ベリーニが唱えると彼女の前に拳大の水が塊となって現れた。
ふよふよと力無く形を変えるそれは天からの光を乱反射し、とても冷たそうで干からびた俺には至高の存在に感じられた。
「水だ!」
次の瞬間、俺は驚きや戸惑いなどの感情をかなぐり捨て、その高貴な存在を無心に飲み下していた。
冷たい、うまい、生き返る。
乾燥した俺の細胞一つ一つに染み渡り、活性化を始める。
「ついでに水浴びさせてあげるよ、ほら上向いて」
背後からミモザの声が聞こえ、上を見上げた数秒後、ベリーニが作り出した水球よりも数倍大きい水の塊が出現。
彼女の言葉と合わせて次に何が起こるかはバカでも理解できる。
俺は恍惚とした表情を浮かべて脱力し、降り注ぐ水流に全てを委ねた。
「あとコレも少し口に入れな」
一頻り水浴びを堪能した俺の眼前に、ミモザが白い粉が入った小瓶を出してきたので言われた通り少量を口に放り込んだ。
うん、甘しょっぱい。
なるほど、これは塩と砂糖か。
汗をかいたら適度に塩というのはどこの世界も一緒なんだな。
どうやら2人はちょこちょこ水魔法を使って温度を調節していたらしい。
これは砂漠に挑む上で必要不可欠な技術で、砂漠の遺跡にいた俺も当然その技術を持っていると思っており、汗だくの俺を見てもそういう鍛錬なのかと気にしなかったそうだ。
そこは是非とも気にして頂きたかった。
「ありがとう。助かったよ」
「いいよー、もしかして魔法の使い方とかも覚えて無いの?」
「そうみたいだな。分かるのは本当に名前だけなんだ、これから先基本的な事でも教えてくれると助かるんだが……」
「よかろう! 私の解る範囲でなら教えてあげましょう!」
「ベリーニったら張り切っちゃってまぁ……駆け出しのくせに」
「あっそれ言っちゃダメなのにい! ミモザの意地悪!」
「駆け出しなのか? それにしちゃあ採取はサマになってたけど」
「そ、ベリーニはハンターになったてまだ半年しか経ってないのよ。独学で色々学んでたみたいだけどね」
「うー……」
ベリーニが恨めしそうにミモザを睨みつけているが、俺にとっては半年だろうが一年だろうが先輩は先輩だ。
そしてこの世界で生きて来た年齢分まるまる人生の先輩でもある。
それはミモザにだって当てはまるわけで。
「半年だからと言えど経験者な事は変わりない。よろしく頼むぜ先輩方」
俺の言葉に自分も含まれている事がわかり少しキョトンとした表情を浮かべたミモザだったが、フッと鼻で笑うと無言でまた歩き出した。
それを追ってベリーニと俺が歩き出す。
日がもう少し落ちれば楽になるだろうし、夜になったら適当な所でキャンプをすると言う。
食事は現地調達だとも言っていたので確実に魔物の肉を食べるのだろう。
少し戸惑いはあるが小説や漫画などではそれなりに食べれる物として描いてあるので平気なんじゃないか。
果たしてどんな味がするのか。
一抹の不安と楽観的な期待を胸に道無き道に再度足を踏み出したのだった。
感想や誤字脱字報告是非ともお待ちしています!




