同級生
最北の「神獣の谷」でシャドウ・ケルベロスを消し飛ばしてから10日。
広金兼彦は、【脳内省エネモード(知力F-)】のボケ状態のまま、新大陸の東部に広がる美しい庭園『アート庭』を、ポフ、ポフ、とリフティングをしながらのんびりとお散歩していた。
兼彦「あはは、このお庭、いろんな色のサッカーゴールがあって楽しいなぁ」
10日前の覚醒時に「瑛人たちが白金貨5000枚を持ってこの砂浜に上陸する」という未来を完全演算していたが、今のボケた脳内(知力F-)ではそんな精密な予言はすべて忘却の彼方に消え去っている。ただただ、目の前の美しいバラの垣根に夢中だった。
すると、前方の花の陰から、ガサガサと不穏な物音が響き、見覚えのある3人の人影が武器を構えて飛び出してきた。
瑛人(ALL E)「ひ……広金……兼彦……!?」
青野(知力A)「なんでお前がこの島にいるんだよァァァーーーッッッ!!!(絶開)」
兼彦は「あれぇ?」とボケた顔でリフティングを止め、ボールをぽふっと胸でキャッチした。
元の世界の誰とも会わずにこの過酷な島を旅してきた兼彦は、目の前にいるのが大好きなクラスメイトだと気づき、純粋に嬉しくなってのんびりと手を振った。
兼彦「あ、瑛人じゃん。青野に山田も。奇遇だねぇ」
山田(知力B)「奇遇なわけねえだろ!! おいお前、ステータスはどうなってんだよ!」
山田がパニックになりながら『神の照準』の魔眼で自分を覗き込んでくるが、今の兼彦はただの【体力E・知力F-・パワーF・スピードE】の完全なゴミ虫状態である。
瑛人「待て、兼彦! お前の後ろの茂みから、さっきから俺たちが必死に避けてる特大の『マジックライオン(Sランク)』が3匹、牙剥いて飛びかかってきてるぞ! 逃げろ!!」
バラの垣根を食い破り、スピードSの神速で、兼彦の背後から巨大な獅子の魔獣が襲いかかる。
衝突まで、あと0.1秒。常人なら死を自覚することすらできない刹那の瞬間。
その時、兼彦の脳内で、パチリと何かのリミッターが弾け飛んだ。
【固有スキル:自動覚醒スイッチ・強制発動】
兼彦の焦点の合っていなかった瞳が、ガラリと深淵のような、冷徹で鋭い「超天才の質感」へと変貌する。
知力【F- ➔ SS】、スピード【E ➔ SS】。
世界は完全に停止した(スローモーション)。
兼彦*(……演算開始。障害物の配置、ターゲットの速度、および空気抵抗を計算。背後のマジックライオン3匹は物理カットの魔力障壁を纏っているね。……勝機あり。数日前、食堂で食べた魔獣肉ハンバーグの『脂の粘性と摩擦係数』から導き出したあの新魔球……ここで初のテスト運用(実戦投入)をさせてもらうよ)*
完全演算を終えた兼彦は、落ちてきたサッカーボールの周囲の重力と魔力素の対流を完全ハッキング。
【アクティブスキル:完璧なる魔力弾】
兼彦の足元に、周囲の空気を一瞬で真空にするほどの勢いで魔力を吸い込んだ、完璧なディンプル(くぼみ)を刻まれた超高密度の魔球が生成される。
兼彦は、痛覚を完全に遮断した左足(体力S)に、音速を遥か一歩超える大爆発的脚力(パワーA)を込め、その魔球をド芯から鋭く擦り上げるように振り抜いた!
バコォォォォォンッ!!!!!
アート庭全体を激しく揺るがす超高周波の破裂音。
放たれた魔球は、空中を飛ぶ中で凄まじい順回転(縦回転)を帯び、スピードSで突進してきた魔獣たちの頭上で、物理法則を無視して直角に近い角度でガクンと急降下した。
【新必殺技:超絶ギザギザ・ドライブシュート】
地面に激突した魔球は、肉の脂の数式から応用された「摩擦抵抗ゼロ」の超不規則なギザギザバウンドを発生させ、獅子3匹の脳天を完全に予測不可能な軌道からピンポイントで次々と爆破・貫通していった。
ズガァァァァァーーンッ!!!!!
災害級の魔獣3匹は、悲鳴を上げる暇すら与えられず、一撃で同時に光のチリとなって完全に消滅した。
兼彦「ふむ……。芝生の抵抗、計算通りだね」
システム音がピコンと鳴り、覚醒による凄まじい脳の疲労を和らげるため、兼彦の脳のメモリは一気にシャットダウンする。
瞳の輝きが消え、兼彦の目はまたいつもの「知力F-」の完全なボケ状態に戻った。
兼彦「あれぇ? ライオンさんたち、どこ行っちゃったのかなぁ? お昼寝かなぁ? ねぇ瑛人、お腹空いたから一緒に何か食べよぉ」
瑛人・青野・山田「お前あいつらより圧倒的にバケモノじゃねえかァァァーーーッ!!!(絶叫)」
最弱のゴミ虫だと思っていた広金兼彦が、実はこの新大陸を一人で支配する「最強のサッカーサイボーグ」であったことを知り、瑛人たちの絶叫が美しいアート庭に響き渡るのだった――。
とりあえずここからは本編に繋がれます!
本編をご覧下さい!
フレンドリア・シリーズになっています!




