4. 水晶の塔 La tour de cristal
鈴の音の効用は明らかではない。ただ、ユダヤ教に於ける祭司の服装は、裾に金の鈴と糸玉の柘榴を提げるものと『出エジプト記』28章に規定され、その音で「死を免れる」とされている。
31 あなたはまた、エポデに属する上服をすべて青地で作らなければならない。32 頭を通す口を、そのまん中に設け、その口の周囲には、よろいのえりのように織物の縁をつけて、ほころびないようにし、33 そのすそには青糸、紫糸、緋糸で、ざくろを作り、そのすその周囲につけ、また周囲に金の鈴をざくろの間々につけなければならない。34 すなわち金の鈴にざくろ、また金の鈴にざくろと、上服のすその周囲につけなければならない。35 アロンは務の時、これを着なければならない。彼が聖所にはいって主の前にいたる時、また出る時、その音が聞えて、彼は死を免れるであろう。
家に帰ると、自分が見たことをお祖母様に話しました。それから服を取り、たくさんの鈴を結びつけ、鈴のついた短杖2本を用意しました。そうして装備を整えると、再び城へと向かい、短杖を振りながら歩いていきました。「チクタク、チクタク…」 「チクタク、チクタク…」
De retour à la maison elle raconta à sa grand-mère ce qu’elle avait vu, puis prenant ses vêtements elle y attacha une grande quantité de grelots, et s’étant munie de deux petits bâtons garnis de sonnettes, ainsi équipée, elle reprit le chemin du château en agitant ces bâtons : Tique, tique tac…. tique, tique tac….
塔の麓に到着すると、ベル・オランジュは水晶の壁越しに、赤毛の妖精に苦しめられているお父様の姿を見つけました。
Arrivée au pied de la tour, Belle-Orange aperçut, à travers le mur de cristal, son père que tourmentait la fée Rousse.
この邪悪な女は、寵愛を受けようとあらゆる手段を講じました。しかし、ジェンティル・エマールは彼女の誘惑に全く靡きませんでした。
Cette méchante femme cherchait par toutes sortes de moyens à se faire aimer. Mais Gentil-Aymar restait insensible à ses séductions.
ベル・オランジュはお父様に千度もキスを投げ、眠り込んでしまわないよう、短杖を振りながら立ち去りました。
Belle-Orange envoya mille baisers à son père, et craignant le sommeil, elle agita ses bâtons et se retira.
脚注
grelots: 「橇の鈴」「ジングルベル」をいう。元は馬具で、警笛代わりだが、厄除けにも使われてきた。ここでは「眠りを覚ます」表象
tique, tique tac….: 日本語では鈴の音を「チリンチリン」と聞くので、「チク、チクタク」というのは別物に見えてしまうが、原典を尊重
cristal: 「水晶の壁」とは、今日のショーウィンドウに当たる物を想像したのであろう。板ガラスの量産法が確立したのは20世紀中のことである




