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10話

ルードゥス・シュタッバーテン。

シュタッバーテン家の長男であり後継者。

やや長めの金髪に少し鋭い目つきの中に光る青い瞳。にっこりと微笑めば、そのクールでだけどどこか大人の色気を醸し出し、社交界では多くの女性の憧れのまと。

シュタッバーテン家から生まれてくる子供は、髪の色である高位の魔力か、瞳のである下位の魔力を持って生まれる。彼は高位の魔力を持っており、雷属性の魔法を得意としている。

貴族の間では優秀な人物とされているが、実際の彼はただのクズでしかない。


女遊びが激しく、気に入った女性に甘い言葉で近づき、関係を持つ。

一夜限りの者もいれば、何度も体を重ねる女性もいる。

全員が全員、彼の容姿と言葉に騙され、彼の性欲を満たすだけの道具になってしまった。

結果、気づけは子供を授かる女性が何人もいた。

もちろん、それを喜びもした。だけど、女性の前でだけ。彼は一度女性が子を孕れば、それ以降関係を持つことなく、突然として姿を消す。

もう数え切れないほどの女性がこのクズに傷つけられた。だけどそんなこと知ったことではないというように、この男は馬鹿みたいに溢れる性欲をまた騙した女性で発散する。


しかも、この男が狙う相手は決まって、彼自身が自分よりも下だと思った人間だけ。身分も、人としても。

だから、実の妹であるアンジュもこの男の対象だった。

外で襲わないのは、自分の身分へのプライドだった。街にいるゴロツキと同じようなことはしたくないからと、時々ある、どうしても家族揃って出席しないといけない時だけ、アンジュは屋敷に入る許可をもらえる。

使用人達もアンジュの家族からの仕打ちを知っているからこそ、部屋に気にかけて様子をみにくることもない。だから彼は、いつも深夜にアンジュを襲いにくる。

今回のように……


「あぁ言い方を間違えましたね。何番目の女性との間にできた、何人目の子供でしょうか?」


だけど、そんな事実は決して知られてはいけない。彼は多くのものから信頼され、期待され、憧れを抱かれている男だ。そんなことが知られてしまっては、たとえ後継者になったとしてもうまく立ち回ることはできない。


「お兄様。別に私は、このことを知ったからと言って、誰かに言うつもりはありません」


アンジュがこの事実を知ったのは本当に偶然だった。

たまたまこの男が、素の状態で、誰がいるかもわからないところで独り言をベラベラと喋っていた。

女は馬鹿だの、ちょろいだの、あの女はよかった、あの女とはもう終わりだな。そんな言葉を悪気もなく、彼はベラベラと喋っていた。

その時のアンジュは、衝撃的な事実と自分がここにいることがバレないようにしないといけないと、かなり必死だった。


「でもお兄様。将来的なことを考えるのであれば、関係を持った女性を野放しにしてはいけませんよ。女性はとても嫉妬深いんですからね」


あぁちょっとだけこの男の末路が想像できる。

どんな有名人にも、やばいファンというのはいる。そして、テレビの外と中で違う人だっている。そして、そんな人のほとんどは、女性関係のいざこざで刺されて死んでしまう。

きっとこの男の枝分かれされた未来の一つに、そんな結末があるのだろう。


「平民だから、身分が低いから手を出せない。なんて思っていると……私を殺す前に、あなたが死んでしまいますよ」


彼の体を少し押して、私はその横をすり抜ける。

部屋の中に戻り、出入り口の扉を開ける。


「それではお兄様、お帰りください。明日の朝は王太子を見送るのです。寝坊してはいけません」

「……お前は、誰だ……」


振り返った兄は随分と怯えていた。

特に怯えるようなことはしていないし、誰だと聞かれても、答えは一つだ。


「面白いことを聞かれるのですね。あなたの妹である、アンジュ・シュタッバーテン。その何者でもありませんよ」


まぁ兄にとっては、今まで散々虐げた妹が、急に自分を脅すような真似をしたんだ。同一人物には見えないだろうな……。


「さぁお兄様。ご用がなければ、お引き取りください」


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